「日本経済復活の鍵」について連続して書いてきましたが、前回執筆してから、色々あって、2か月経ってしまいました。

 

前回まで何の話を書いていたのか、覚えてくださっている方は多分居られないかと思います。お手数でも過去のブログに遡って、読み直して頂ければ幸いです。

 

日本経済の復活には日本人の労働生産性を上げることが喫緊の課題だという話をしました。

現在の日本の労働生産性の低迷の大きな要因の一つは日本の労使関係あるいは人事管理システムであると思います。日本の人事制度は世界標準から見ると大変特異なものです。

 

戦後、日本経済の急成長を支えた要因の一つが、日本独特の労使関係、人事管理システムであると1979年に米人社会学者によって発表された著書『Japan as No.1』に記されています。

 

特筆すべき労使関係は終身雇用制度、年功序列制度であり、それを可能にする企業の長期的視点での利益追求、企業との協調的な労使関係、比較的少ない給与格差、企業内福利厚生の充実があげられると思います。

このような労使関係を可能にしたのは、日本経済が右肩上がりで伸びていたためです。

 

1990年代に入り、種々の要因から経済成長が止まると、日本経済牽引の一因であるこれらの特異な制度が機能しなくなってきます。企業の成長が鈍化すれば、固定費を抑えるため、人件費の抑制を図ることに経営者は汲々となります。新規雇用はおさえられても、そう簡単にリストラは実施できず、おのずと社員の給与はおさえこまれるようになり、また、企業成長期には順調に年功で係長、課長、部長のポジションを用意できたものが難しくなり、管理職ポジション待ちの社員があふれ出します。

その結果社員は無理して頑張る気概をなくし、与えられた仕事だけを無難にこなせば良いという守りの姿勢に入ってきます。それが仕事の生産性や効率を大きく落とすこととなります。

 
1980年代までの人事管理システムをもはや維持できない状況になってきたので、経営者はもっともらしく従来の年功序列から実績主義、成果主義にシステムを変えると公言せざるを得なくなりました。しかし、過去そのような人事評価をしてこなかった為、実績成果を評価する基準もあいまいとなり、社員の不満を高め、やる気を損なうようになり、それが生産性の低下の一因となっています。
 
たとえ、企業業績が上向いてきても、長引く不況のもとでは、またすぐ業績の落ち込みがくるのではとの不安から、経営者は正社員の雇用に二の足を踏んだり、経営の効率化を図るための新規投資に消極的になる傾向が強くなります。
足らない労働力については、不況時にいつでも簡単にリストラできる非正規社員の採用で切り抜けようとします。一般に非正規社員に振り分けられる仕事は付加価値の低い単純労働になります。したがい、労働する側も生産性を上げることなど考えず、仮に付加価値を高める仕事ができる才能があっても、それを発揮することもなく、生産性が一向に上がらない結果となってしまっていると思います。
 
今回は、日本独特の労使関係の崩壊の後にある中途半端な人事管理システムが如何に日本の労働生産性を上げることにブレーキをかけているかについて書いてみました。
 
労働生産性を考えてみると、日本は生産業である第二次産業においては、「カイゼン」という万国共通語を生み出すほど、その生産性を上げることに大変な努力と成果を上げてきました。
しかしながら、日本に今最も必要なのは、第三次産業における生産性の向上ですが、残念なことにホワイトカラー層には生産性を上げるという意識が非常に低いと言わざるを得ません。
 
次回はホワイトカラー層の生産性向上を阻害する要因とその解決策について書いてみたいと思います。