過去二回にわたり、日本の社会保険制度のうち健康保険と年金について書いてきましたが、今回は労災保険と雇用保険について書いてみたいと思います。
労災保険は政府が保険者として運営し、すべての労働者が対象となり、業務災害、通勤災害による傷病の療養給付、休業給付等が支給されるものです。 前々回説明した健保の療養や休業の給付と異なる点は、労災保険はあくまで業務災害・通勤災害といった業務に起因する傷病に適用されます。会社が労災の申請を行う必要があり、労災保険で療養給付が出る場合は健保と異なり、3割の自己負担はなく全額保険でカバーされます。
又、労災保険は雇用主が保険料を全額負担し、パート・アルバイト等でも労災保険適用労働者となり、原則労働者を一人でも使用する事業は強制適用事業となります。
次に雇用保険について見て行きましょう。
雇用保険は労働者が失業した場合などに必要な給付を行うことで設計されたもので、被保険者と事業主とで保険料は負担しています。
会社を辞めた、辞めさせられた場合の失業中に、基本手当がもらえる制度ですが、退職理由、雇用保険加入期間、年齢によって基本手当の最大給付日数が決められています。基本手当をもらうにはハローワークへ行って、求職の申込みをして、失業の認定を受けなければなりません。失業の認定を受けた日数分支給されるシステムです。
雇用保険は失業給付だけでなく、条件さえ合えば育児休業給付、介護休業給付、教育訓練給付も受けられます。就職促進給付として、就業手当、再就職手当等があります。高齢者の再就職促進給付として高年齢雇用継続給付金、高年齢再就職給付金等もあります。
雇用保険について、特に覚えておいて欲しいのは、自分はパート・アルバイトだから雇用保険に入れないなどと諦めないで下さい。3年前に雇用保険の適用拡大を図って、一週間20時間以上の労働時間があり、31日以上の雇用見込があれば雇用保険に加入させなければならないというように、適用範囲が拡大されました。
以上日本の社会保険制度について説明してきましたが、若い皆さんには、まだ関係ありませんが、40歳以上になると介護保険に加入しなければなりませんが、この詳細については今回は割愛しましょう。
近年の日本経済の停滞から、企業が人件費抑制を目的に非正規雇用者を増やしている現状に鑑み、労働者を守る観点から、昨今雇用保険同様、厚生年金・健康保険といった社会保険の適用範囲の拡大が計られています。厚生年金・健康保険についても、企業であれば(個人経営は除く)正社員の一日、一ヶ月の所定労働時間の概ね3/4以上働いて、尚且つ、2か月以内の有期労働でなければ社会保険に加入させなければならないことになっています。
これから社会に出ようとする方や出られたばかりの方など、自分の働き方を色々考えているかと思いますが、働き方によって日本の社会保障制度の恩典が変わることなど理解頂けたら大変幸せです。 又、社会保険制度に関する知識が十分にない会社も散見されますので、自己防衛の為に知識を頭の片隅に入れて置くことも大切かと思います。