今回から数回にわたって、セーフティネットである国の社会保障制度が働き方によって、色々違ってくることについてお伝えしたい思います。


日本が高度成長をしてきた時代は、終身雇用や年功序列がサラリーマンの形としてごく一般的でした。しかし、今は転職も一般的になり、実力主義も浸透してきたということから、入社そうそう、すぐ退職してしまったり、就職難の状況が続いているという背景もあって、フリーターのような非正規雇用されている方々や自分で独立して事業を開始しようと考えている方々も多いのではないでしょうか?


非正規雇用の状態や個人事業主として働いている場合は、サラリーマンと比較すると、社会保障制度がそれ程手厚い設計になっていないので、その点を十分理解して、万が一の場合の自己防衛策を考えておく必要があると思います。

私もそうでしたが、若いうちは会社でこき使われるより、自分の力で起業なりして、思い通りの人生を生きたいと早計に思いがちですが、社会保障の面から見ると、サラリーマンの方が、遥かに優遇されている(実際にはそれにかかるコストを会社と折半で負担しているのですが)のだと言う事実認識は必要かと思います。


まず最初に、日本が世界に誇れる社会保障制度の一つである健康保険について見ていきましょう。日本は国民皆保険制度のもと、全ての国民が公的健康保険制度に加入することになっていて、病気やけがをしても誰でも医療機関で受診でき、その費用の7割(義務教育就学前および70歳以上75歳未満は原則8割、75歳以上は原則9割)が保険でカバーされます。

この健康保険制度は会社員の場合は、協会健保ないしは組合健保に加入することになります。非正規雇用や自営業者等は国民健康保険に加入することになります。それ以外に75歳以上の方を対象にした『後期高齢者医療制度』がありますが、今回は割愛します。


保険料率については、協会健保の場合標準報酬月額の約10%前後、組合健保の場合も会社の組合によってバラつきはあるものの似たり寄ったりかと思います。

一方、国民健康保険の場合、世帯単位での加入となり、世帯の総収入額に対してかかる所得割り、世帯の加入員数で計算される均等割り、一世帯あたりの額である世帯割りの総計が保険料となります。市区町村によっては資産割りといって固定資産額によって保険料が加算されるところもあります。

新入社員の平均初任給20万円として、一方フリーターないしは個人事業で同じ程度の収入があった場合の比較をすると国民保険の方が若干保険料は少なくなりますが、会社負担が半分あることを考慮すれば当然サラリーマンの方が個人の負担額が少なくなります。


保険料に関して、国保(国民健康保険)と健保(協会ないしは組合健康保険)の大きな違いは被扶養者の取扱いです。健保の場合、追加の保険料の支払いなく、被扶養者が健保に加入できますが、国保の場合は、被扶養者の収入が全くなくても、均等割りで保険料が増額されます。


保険の給付に関しても国保と健保に次のような差があることを理解されておく必要があると思います。

国保は基本的に自営業者を前提に設計された為、傷病手当金や出産手当金が支給されません。傷病手当金は病気やけがの療養で4日以上連続して休職した場合、4日目から標準報酬日額の3分の2が支給されます。支給期間は最大1年半ですので、回復に時間がかかるうつ病などに罹った場合には非常に助かります。

出産手当金は出産の為に仕事を休み、賃金が支給されなかった時には所得保障として傷病手当金同様、標準報酬日額の3分の2が出産前42日間、出産後56日間計98日分支給されます。


上記以外は国保と健保で大きな差はありませんが、健保でも組合健保はその組合の財政状況により、国で定めている法定給付だけでなく、独自の付加給付もあります。

例えば高額療養費の上限額を法定以下に抑えたり、検診費用の補助をしたり、保養所があったり等々、色々ベネフィットがあります。


次回は、若い方々は今は関係ないと思っている年金について見ていきたいと思います。こうご期待!