私の夫は学歴と経歴が良い。


大手企業の本社勤務、有名大学卒、シンガポール育ちの帰国子女で英語も出来る。


金や株などの資産運用も堅実で、着実に貯蓄を増やすタイプだ。


私も旧帝大卒の銀行員。

肩書きだけは良いと思う。


いわゆるハイスペ夫婦だ。


周りから見たら羨むような生活だろう。



ハイスペ=豊か であり、

ハイスペ=幸せ である。


そう思って、外堀を固めて生きてきた。


でも、ハイスペ=幸せではなかった。


その証拠に、私と夫はいつも息苦しさを感じながら生きてきたからだ。


勝ち負けの世界で生きてきた代償だ。


見下される事への恐れ。

上でいる為に努力し続け、✕をつけられないように腐心する毎日。

理想と違う自分を叱責して、認めない。


私と夫は、完璧主義で理想が高い。

強迫観念も強いし、不安症だ。


そういう生き方を是として生きてきた。

それが幸せだと当たり前に信じて疑わなかっ

た。


でもその幸せは幻想であり、私も夫も幻想の世界で生きてきたように思う。



夫の部署は激務で、駐在員という立場上、頼れる同僚が周りにいない。

何かあると矢面に立たされる損な役回りだ。


そのストレスからか、夫は不眠症で、数年前から内科で睡眠薬を処方してもらっている。


ここ最近は、睡眠薬が効かなくなってきて、悪夢にうなされるようになった。


動悸、耳鳴り。


いよいよ夫も危機感を覚えて心療内科へ。


「抑鬱の一歩手前です。仕事を休んだ方が良いですよ」

と医師から言われ、夫は会社の総務と話して産業医への面談を申し込んでいた。


夫が上司に報告したところ、

「放置すると朝起き上がれなくなるぞ。

眠れるようになるまで仕事を休みなさい。

休んでいる間は俺が代わりに仕事するから。」


と、休職を認めてもらえたらしい。


セッション前の私だったら、夫を冷ややかに見ていたと思う。

「生真面目すぎる。仕事を抱え込むから精神を病むのよ、不器用な人。」

「もっと、うまいことやれば良いのに。」

と、他人事のように思っていただろう。


もしくは、

「私の方が稼いでやろう。」

と、夫より上に立とうと企んだかもしれない。


でも今の私は、夫が初めて出すSOSを、すごく勇気のいる事だと知っている。


休むという選択を視野に入れて会社に報告するのは、夫にとっては大きな決断だと思う。


きっと不安だっただろう。

自分を不甲斐ないと思って自責してきただろう。

「まだ頑張れる」

と我慢し続ける事も考えただろう。


でも夫は心療内科に行き、会社にも報告し、休む事を選んだ。


これは自分を大切にする行為だし、とても良い事だよなぁと思う。

ずっと心配だったから、正直安堵した。


休んでいる間はジムに通ったり、料理教室に通うのも良いねぇ、と夫と2人でネットで料理教室を調べたりした。


夫も私も抱えている問題は同じようなものだから、一緒に乗り越えていきたい。