「 えーではこれから、明日の実習のグループ決めを行います。」
少し騒ついた放課後の教室内に、教壇に立ったパティ先生の声が響く
一応生徒たちには実習と伝えられているけど、実際はれっきとした“追試”だ
どうやらグループ決めは生徒が自由に組めることになったらしく、今日は皆朝からずっとそわそわしていた
特に女子のなかでは、誰がチトセを誘うかでだいぶ盛り上がったみたいだけど…
横目でチラッとチトセを見ると、当の本人は机に突っ伏して昼寝中だった
きっとチトセのことだから、女の子に誘われたら断れないんだろうな
そう思うと、なぜだか胸がちくちくする
( ま、あたしにはチトセが誰と組もうが関係ないしっ )
「 では皆さん、立ち歩いてもいいので、すみやかに四人から六人ほどのグループを作ってください。」
先生がそう言うと同時に、みんな一斉に動き出した
もちろん、チトセの周りにはたくさんの女の子が集まっている
ここからじゃチトセの顔は見えないけど…
( どーせデレデレしてるんだろうな ぁ)
「 フウカちゃん 」
「 わっ…カリンか、びっくりしたぁ 」
いきなり声が聞こえ、前を見るといつの間にかあたしの目の前にカリンが座っていた
なぜかカリンはホクホク顔だ
「 どーしたの?なんかいいことあった?」
そう聞くと、
「 カイくんがねぇ、一緒のグループになろうって誘ってくれたのぉ。
カイくんは優秀だから頼もしいわぁ。」
カリンは少し頬を染めて微笑んだ
( カイ、あんた実は脈ありなんじゃ…。)
なにはともあれ、親友の幸せそうな顔を見るのは嬉しい
「 よかったじゃん!
カイなら頭いいし実習なんてすぐに終わ… 」
…らないんだった
一筋縄ではいかないようにあたしたちが邪魔しなきゃいけないんだもんなぁ
カリンはあたしの顔が曇ったのに気がついたのか、
「 フウカちゃんも一緒に組もう?」
と、首を傾げてあたしを見た
ここでOKしたらカリンの追試の邪魔をすることになっちゃうんだよね…
でもせっかく気を利かせてくれたのに断るのも怪しいし、カイと同じグループにいなきゃいけないし…
「うん、組みたい!あたし、足引っ張っちゃうと思うけど。」
心の中で葛藤しながらそう答えると、カリンは嬉しそうにライトグリーンの髪を揺らせた
ああ、あたしのメンタルがそろそろ底を尽きそう
「 フウカちゃんと一緒なら頑張れる気がするわぁ。あと一人、誰がいいかしら。」
そういえば、グループって最低四人いなきゃダメなんだっけ
「 えー、誰がいいかなぁ?」
なるべくなら騙しても罪悪感が少ない人がいいっ
あんまり話したことない人とか…
あたしが頭を抱えると、カリンは思い出したように顔を上げた
「 フウカちゃん、チトセくんはどうかしらぁ?」