前回のレポートは、午前の部を紹介しました。今日は社会人が対象の午後の部をレポートします。
午後の講師は、「英語多読 すべての悩みは量が解決する」を執筆された、NPO多言語多読理事の繁村一義さんです。繁村さんは、英語多読講座の講師も担当していらっしゃいますし、また現役の会社員でもある、スーパータドキストです。(タドキスト=多読愛好家)
午後は、午前とはガラッと雰囲気も変わり、参加している方々も「自分自身が」多読に興味を持ち、参加されたメンバー14名でした。まず、参加者の自己紹介、参加した動機を一巡した後、講師繁村さん自身の多読との出会いを詳しく説明し、始まりました。
まずは、「多読三原則」を解きほぐします。
1.辞書は引かない
=日本語に訳さず、英語のまま読む (意識して訳さない)
2.分からないところは飛ばす
=わからない単語について、前後の推理はしない、立ち止まらない
3.合わないと思ったら投げる
=おもしろくないと思ったら、雑念が入って、内容が頭に入らない。逆に、おもしろいと思ったら意味が分からないままに読み進めてよい
子どもの頃に覚えた童謡やコマーシャルソングには、意味がなくても言葉遊び的におもしろいものって、今でも覚えていませんか?
子ども向け絵本には沢山ありますよね。意味がなくても実は重要、という所は後半説明があります。
そして、ORTステージ2までの本を出して、多読初心者オススメ本として紹介しつつ、Go on, Mumのストーリーをスライド上映しながら、「絵の重要性」を解説いただきました。
Go On Mumは2列目右端の本です
※ORTは帰国子女でプロフェッショナルに英語を使って仕事をしている方でも「こんな表現をこういう場面でつかうんだ」という発見があるという定評のあるシリーズであり、繁村さんも何度もの読み返しているとのこと。もちろん、ORTの絵やストーリーが合わない方もいるため、他の代替リーダーをいくつか例に挙げて紹介していました。
その後、「音読」や「聴き読み」のメリット・デメリットについて説明。ざっくり結論を言うと、個人により合う、合わないがあるため、自分が苦手と思ったら、音読も聞き読みも無理して継続する必要はないとのことでした。
ちなみに、私は最近長めのペーパーバックで「聴き読み」を試してみましたが、自分自身の読むスピードと、聴くスピードが異なるため、どちらも中途半端になり、合いませんでした。
さらに、「リスニング力」の向上を目指す場合は、「聴き読み」ではなく、「音声のみ=朗読のみ」で行うべし、という点を、実例を挙げて説明され、参加者一同納得する場面がありました。
最後に、「発音練習」にはシャドーイングが最適とのこと。シャドーイングは、聞こえた音を数秒遅れて追随し言う方法です。これを行う時に大事なのは、単語を意識せずに、聞こえた音をそのまま真似て言うことです。大人はつい、意味や単語を意識してしまうので、こどもの方が早く上達するらしいですよ。
英語は、韻を踏んでリズムを楽しむ言語です。そのため、意味より韻の心地よさを優先する文章が子供向けの絵本に多く登場します。小さい頃に英語の歌や絵本でたっぷりリズムを楽しんでいる子はネイティブ並みに発音が上手というのは、韻のリズムを素直に習得しているという事なんですね。
シャドーイングは、よけいな意味を考えずとも韻のリズムを体得する訓練になるんです。
最後に、字幕なし動画の薦めということで、午前の部でも紹介したPeppa Pigの動画を見て、終了となりました。
終了後も、講師の繁村さんは参加者から沢山質問攻めにあっていました。ご自身の多読経験、又指導経験から非常に沢山のアドバイスの引き出しを持っていらっしゃり、尊敬します
あっという間の一日でしたら、得たものはとても大きかったです。