父と母が不仲になったのは、経営していた飲食店をやめ、父が転職してからだと思います。
わたしが四歳の頃ですが、その頃から父は出張でほとんど家にはいませんでした。
今のように携帯はなく、週に一度くらいに、泊まっているホテルが変わると電話がきては、ホテルの名前と電話番号をメモしました。
ほんの数分話すくらいです。

父と母はよく喧嘩していました。母はヒステリーなので、地獄絵図のようでした。いったんスイッチが入ると誰も母を止められません。
もう喧嘩しないで、仲良くして。願いは届かず。

子供ながらに不仲な事がわかるのです。母は父の悪口を散々言いますので。
無言電話なんかがくれば、お父さんの彼女だとか、父が見なれない物を持っていると、彼女からのプレゼントだとか、彼女の写真を持ち歩いているだとか、わたしに愚痴るのですから。ずっとその調子でしたが、わたしが二十三歳の時に、父が女の名前のキャッシュカードを持っているのを、母が見つけました。勝手に父の財布や鞄を見る人でしたから。
母は、他に女がいるのは知っているけど、うちにはお金がないのに、女にお金を送ってるとしたら許せない。と、わたしに愚痴っていました。

そして、ついにわたしは父に物申しました。