父の愛人、以下、 ユウさん(仮名)とします。
ユウさんは、わたしが想像していた方とは全く違う人でした。素朴で、柔らかい人でした。父より少しだけ年下です。
言葉も交わさず、しばらく二人で泣いたあと、ユウさんの方から、すぐ分かったと話します。そして席につきました。初めましてと挨拶をし、まずコーヒーを頼みました。ホテルはどこですか、いつ帰るのですか、何時に着きましたか、としばらくはそんな話をしました。
そして、わたしから切り出します。父の最後を聞いてください。ユウさんは閉鎖病棟に移動になった事を知りませんでした。その前までは頻回に連絡を取り続けていたが、パッタリ連絡が途絶えて一週間後に訃報があった状態だったようです。
閉鎖病棟に移動になる時、父はユウさんにも電話をしたのですが、出なかったのです。その一週間ずっと心配していたそうです。
わたしは父がユウさんに謝りたい、申し訳ないとずっと言っていた事を伝えました。父の無念を晴らす為にこれだけは伝えなければいけないと思っていたのです。ユウさんは、わたしが話している間中ずっと 泣いていました。
父との関係は二十年にも及ぶそうです。わたしが小学生からです。父はわたしの事もたくさん話していたようでした。