ミカの視線は怖かったけど、2人きりで話すことになった。
放課後、リンは校庭で優がくるのを待っていた。
「ごめん、遅くなった! 部活のミーティングがあったみたいで…」
「ううん、まだ私も待ち始めたばっかりだったから! ってか、橋本君って野球好きなんだね」
「うん、俺野球大好きでさ! 自分でもバカじゃないのかっていうぐらい野球すきなんだ!」
「でもそれって、いいことだよね!」
リンと優は顔を見合わせて笑った。
やっぱり、こんな人がタラシとは…、とても思えない。
リンは胸がチクリと痛む。
「あ、それで…。 話って何?」
「そのことなんだけど。 今日初めて話していうのもアレなんだけど…」
優が一呼吸おく。
「俺のウワサ知ってる…よな?」
「エット…。 それが、朝ミカに聞いたばっかりで…。 でもなんか信じられないっていうか…」
「俺の友達とか男子はもう理解してくれてるんだ。 でも女子にこういう話するのって…、恥ずかしいっていうか…。 水城には信じてもらえるかも」
「え…?」
「水城には、そういう風に思われたくなくて! って思って、ホントのこと話そうと思って呼び出したんだ」
え、なんかさらっとすごいことゆったよ!
告白っぽいことゆったよ!?
「俺、不良の兄ちゃんがいるんだけど。 高1で、前までココの中学だったんだ」
「えっ、そうだったの!?」
「そう。 で、俺の兄ちゃんいっつも女と歩いてて。 俺も呼ばれていつも一緒に歩いてたんだけど…」
「…? 断れなかったの? 一緒に歩くこと。 だって女の人と歩けば、誤解されるって気づいてたんでしょ?」
「だけど、兄ちゃんには逆らえなかった。 それに兄ちゃん、毎日違う女と歩いてるし。 それに俺も巻き込まれた」
「そーなんだ…」
「ま、そういう話。 水城には誤解されたくないからなっ! 俺正直、兄ちゃんがココ卒業したときは、うれしくて仕方なかったよ」
「そっかぁ…」
「ゴメンな、かたい話で。 また話そう」
「ううん、全然! …また話そうね」
やっぱり優はタラシじゃない。
みんなが思ってるような悪い人じゃない!
優のはにかむ横顔をジッと見て、リンは確信した。