261年21日

4年に一度の白夜の年。
近衛騎士・魔銃師・山岳兵それぞれ4名ずつの代表で争われるエルネア杯が行われる年。
その集大成がこの21日だ。
エルネア杯はこの国で一番強い者を決めるトーナメントだ。
そしてその一番強い者が、この国の護り龍たるバグウェルに挑むのだ。
今年バグウェルに挑むのは…僕だ。
うん、4年前も僕だった。
4年前はガチガチに緊張していた。
朝からずっと心ここに在らずって感じで。
でも今日はいい緊張感を感じているだけだ。
やはりこの国の代表であるわけだからある程度の緊張はしているが、だからと言って身体が強ばったり周りが見えなくなっているような、そんな重度の緊張でもない。
一度経験をしているというのはやはり強みだと思う。
もう既にバグウェルの実力は分かっている。
分かった上で、この4年僕もそれなりに強くなっている。
もはや負ける気がしない。
4年前龍騎士になったことで、国にある全てのダンジョンに行けるようになったため、僕はそのダンジョンに挑みクリアしてきたのだ。
自分の実力に自信が持てている。
だから僕は今日、いつも通りに戦えばいいだけだ。
それが分かっているから、心地よい緊張感を感じているだけで済んでいるのかもしれない。
夕1刻
王立闘技場
神官ジュリアンの言葉から龍との戦いは始まった。
親友でもあるジュリアンから名前を呼ばれた僕は、観客の声援に答えて拳を突き上げる。
その後、上空からバグウェルが舞い降りてくる。
粉塵を撒き散らしながら…
国王陛下からのお言葉の後に、いよいよ試合が始まった。
4年前に貰った龍騎士の刀剣で僕は挑んだ。
お守りは…祝福の碧玉でいいだろう。
僕はひとつ大きく深呼吸した。
それからゆっくりと瞳を開けて、バグウェルを見据える。
とっくに僕を見ていたバグウェルが、ニヤリと笑った気がした。
先手を取ったのは僕だ。
バグウェルのことだから何発かは避けられるだろう。
1ターンでは決まらないことは十分考えられる。
だから最後に防御は必須だ。
一番強い攻撃を4発に、最後はパリング。
やはり1発避けられてしまう。
僕はバグウェルの攻撃に備える。
2発避けることが出来た。
うん、ちゃんと冷静だ。
これならいける!
1ターン目でだいぶバグウェルの体力を削っていたので、2ターン目は1発入っただけでジュリアンの「そこまで!」という声が聞こえた。
地鳴りのような歓声が闘技場中を包む。
勝った!
よしっ、勝った!!
僕は両手を突き上げて喜びを顕にした。
神官ジュリアンも国王イェルシーも、僕を誇らしげに見てくれている。
観客席には妻や親友たちの姿がよく見えた。
彼らは拍手をしたり、ガッツポーズをしたり、両手を口の横に当てて僕の名前を大声で呼んだり、それぞれの形で僕の勝利を喜んでくれている。
4年前は緊張と混乱で目に入らなかったそんな景色が、ちゃんと目に入る。
4年前はまだ恋人だった彼女が、妻になって観客席で喜びを爆発させている。
そうだ、4年前は龍騎士になったらプロポーズしようとか思ってたんだったなぁ。







