若いシェフがいた。
もちろん若いので怖いものなんかなかった。彼には夢があった。世界一の料理を作ることだ。
世界一の料理を作るためには世界一の食材が必要だ。そして自分も世界一の腕に磨くことが大事。
恐れを知らない彼は旅に出た。
各国の市場という市場をとにかく漁り、目に付いたものは全て食べた。
世界の名だたる料理人には教えをこうことは出来なかったが、名の広まっていない様々なジャンルの料理人のもとについて腕を磨いた。
彼は年を重ねた。
当初の目的は世界一の料理を作ることだったが、いまは世界一の料理人になることだ。
誰かの下につくこともなく、自分の味を誰かに受け継がせるほどになった。
そして世界一とはなんだろうと考え始めるようになった。
地位
権力
名誉
財産
幸か不幸か彼に家族はなかった。
そんなわけだから、旅を再開することにした。世界一を探す旅。