アクセルロッドのショスタコーヴィッチ |  ヒマジンノ国

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今日は池袋で、東京都交響楽団による、ショスタコーヴィッチとシベリウスを鑑賞。前座はウクライナの作曲家、ヴァレンティン・シルヴェストロフによる、「沈黙の音楽」。指揮はアメリカの指揮者、ジョン・アクセルロッド、ヴァイオリンはモルドヴァ出身のアレクサンドラ・コヌノヴァ。

 

 

すべてSで始まる作曲家で、作品47という縛りがある不思議な構成です。

 

シルヴェストロフは彼らしい、リズム感覚が皆無な、ヒーリング・ミュージックのような音楽。現代音楽としては珍しいぐらい聴きやすい音楽です。個人的には、フォーレとか、ディーリアスみたいな雰囲気に、先にいった、現代のヒーリング・ミュージックのような感触を加えた曲という感じがします。美しいですが、感動的かといわれれば、ちょっと分かりません。この手の曲は長くやられると、べた付いてしんどいですが、演奏時間は10分強で、編成も小さく、丁度良い長さでした。

 

シベリウスのヴァイオリン協奏曲は中々良かったです。個人的にはコヌノヴァの演奏が良かったと思います。伴奏の方はやや大柄な気もしました。

 

コヌノヴァは正確な演奏というよりも、アグレッシブに感情を表に出して、中々味の濃い演奏をしました。感情の入り方によって、ヴァイオリンの音色が変わり、本人が感じいっているときなどは深い音を出します。

 

彼女は演奏中も音楽に埋没して、不遜に顎をあげたりし、体でリズムを取り、情熱的に感じるかと思うと、結部では堂々と右手を挙げて弾き切ります。それをバックで見ている楽団員が笑顔なのが印象的でした。

 

特に第1楽章とか第3楽章。第3楽章のように上りあげていく音楽の方が、彼女独特の一本筋を通す感じが出て、良かったと思います。

 

メインはショスタコーヴィッチの5番。アクセルロッドは初めて聴く指揮者ですが、外連味のない指揮ぶりで、迫力ある熱演を披露し、最高でした。

 

重厚でマッシヴな感じがしました。都響の機能美を活かして、メリハリと迫力をもった名演でした。響きに充実感があります。

 

実演で聴くと曲の細部も良く見えて、聴き応えが違います。第3楽章のラルゴなども、彼が第4交響曲で研究したマーラーの如く、感情の激しい移り変わりがありつつも、分裂症的にならない感じが良く伝わってきます。

 

おかげで、プラウダ批判後の曲として、古典的な回帰を見せる曲ですが、やはりそこには近現代的な葛藤や悩みの要素があり、ベートーヴェンの第5のような一本調子には行かない音楽だと強く感じました。

 

鉛のような音色に、鋭く光るガラスのように響く高音部など、ショスタコーヴィッチ特有の世界観を堪能しました。

 

フィナーレの迫力も素晴らしかったです。

 

全体を通して、充実感のあるコンサートで、とても満足しました。