ヴェンツァーゴのブルックナー |  ヒマジンノ国

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コンサートに行ってきたので感想を書きます。

 

 

9月12日、サントリーホールで読売交響楽団と、マリオ・ヴェンツァーゴによるブルックナー交響曲4番を鑑賞。前半は、かつての名指揮者、スクロヴァチェフスキの交響曲。

 

スクロヴァチェフスキの交響曲は、日本初演ということらしいです。

 

一応現代曲らしい感じです。しかし、個人的には全く面白くなくて、何となく、予想通りの曲でした。現代風だけど、聴きやすい感じもあるのかな?という印象です。

 

全体が細切れで、各所に面白い響きを作り、色々聴かせますが、散漫で結局いいたいことがちゃんと伝わってない音楽だと思います。

 

ブルックナーやら、ラヴェル、ショスタコーヴィッチやらの影響があるとかないとか。あれだけ不協和音が多くてもショスタコーヴィッチの4番など、全体でいいたいことが分かるものですが、スクロヴァチェフスキみたいな書き方だと、無駄が多く、全体が統合されてない印象ばかり残りますね。専門の作曲家の音楽でない作品だという感じがして、仕方なかったです。明らかに眠っている人が多数いました。

 

好き嫌いが分かれる曲でしょうか。

 

 

ブルックナー4番の演奏は賛否ありの演奏で、新しいブルックナー像だという人が多数。しかし、個人的にはいうほど変わってないという印象でした。

 

今回もミンコフスキの時同様、テンポの速い演奏でしたが、ミンコフスキが圧縮と力技の演奏なら、こちらは、全体を良く歌わせて、響きの溶け合う美しさなどが印象的でした。

 

弦の合奏には瑞々しい歌があり、ホルンの出どころでは、柔らかい響きを漂うようにして、ブルックナーの法悦ある響きを作ります。1番変わっているのは1楽章や4楽章など、強音部になると、全体の速いテンポの中、さらにテンポアップして、響きを広げようとしないことでした。他の指揮者なら、聴かせどころで、もっと粘るんでしょうけど。強音部を粘れば、ブルックナー特有のゴツゴツした偉容が出るんですが、テンポアップすることによって、主題の性格が弱まり、可視的になります。要は流れが滑らかになって、全体に流線的になります。

 

わざとやってるな、と思いました。確信犯ですよね。他の部分も場面ごとの表情をはっきりさせていて、自分はこう読むという姿勢が良く伝わってきました。

 

ミンコフスキが圧縮的でちょっとベートーヴェンを想起させる演奏なら、ヴェンツァーゴはシューベルトを思わせる、滑らかで歌のある演奏でした。

 

ただブルックナーの特徴である、響きの雄大さがないので、ブルックナーではないという人も多数いたようです。しかし個人的には、溶け合う響きと音色の感じはブルックナーらしい美しさがあって、そこまでの違和感もありませんでした。

 

個人的には楽しめて満足でした。

 

 

演奏後は皆さん拍手喝采で、盛り上がりました。聴衆の拍手に応える、指揮者の明るい性格が出ていて、楽しげな終演となりました。

 

 

1月遅れのお盆休み(?)を取ろうと思います。今週末はブログを休みますね。