宮城總率いるSPACの東アジア文化都市2019豊島バージョンのマハーバーラタを観に行きました。
 
観劇時のバッドコンディションは、よくない芝居はよくないほうへ、
よい芝居はよりよいほうへ向かうものだと思っていて、
今日の天気は雨、しかも寒い、どうする?行ってみようか。
厳重な雨、寒さ装備で行ってきました。
 
いい芝居でした。素晴らしかったです。
最初の鳴り物隊ですでによよよと涙してました。
いい音楽なの。
 
平安絵巻のように美しいダマヤンティ姫とナラ王。
初々しいダマヤンティ姫が、美しいまま逞しく成長していく輝かしさに、
もしや…あの人の料理した肉を食べさせてちょうだい云々、あたりから、よよと涙しだすあたくし。
また、あの高鳴っていく音楽がいいんだ。
食べるときのアクションにまたちょっとびっくりしつつも、喜びでぱぁぁぁ~~っと晴れてくるの。
駿府城で観たときには、夜だったし、もっと神様の禍々しさのようなものを感じたんだけど、
なんだかこれ豊島版で印象を変えてるんですかね。
わたしが2回目だからより理解したんですかね。どっちもですかね。
 
前は、姫はなんで子供は実家へ行かせ、おかしくなった夫についていくんだろうとなんだか疑問だったけど、
今回、ああ子供は実親でなくとも世話してくれるひとのところでも育つけれど、夫はそうはいかないもんな…とすんなり。
姫が変わり果てた夫に気づくロマンス、夫婦愛の要素はあるものの、
それを超えた、今いちばん必要なひとは誰か、というような人と人とのつながりを感じました。
描き方が丁寧で分かりやすい、だけどきっちり板の上から投げかけられるメッセージがある、ひとがいっぱい池袋。
 
前は、結末で再びナラ王と弟が賭博して、姫を取り返すみたいなのがあったような気がするんだけど(記憶違いかも)、
そういうのなく、そのままハッピーエンドの幕切れ。
ブラボーおじさんがいい塩梅で、またふっと涙してしまったのね。
すばらしいお芝居でした。
 
雨が降る野外劇場のお芝居、本水が90分続く状態でしたけど、
芝居がよく、テンポがよく、全然苦にならなかったです。
そういうさらなる非日常も含めてよき体験になりました。
 
演者のみなさんはたいへんだっただろうな…。
あの寒さで雨で、語り部の方はじっと座ってただずぶぬれなのに、震えもせず素晴らしい発声だったし、
上半身裸のナラ王とか悪魔とか、衣装が重くなってる&冷たくなってるであろうみなさん、
鳴り物隊のみなさんは手がかじかんだりしなかったでしょうか。
どうかお風邪など召されませんよう。
 
終演時には、静岡と同じように、小さいおじさん自らカッパ被って出口で
ありがとうございましたありがとうございました言ってて、なんだかこれってすごいよね。
観客が、幕が閉まって、ほくほくなのか、やれやれなのか、
いちばんストレートな反応を演出家自ら見ているって。
こうして感じたこと考えたことも、芝居でいくらか具現化しているのではなかろうかと、安心してしまうんだな。