主人はその頃、
日本橋でJAPANシアターという舞台中だった。

近くのホテルで、
昼夜の舞台の合間に会うことになった。


「お母様には
なんて言ったらよいだろう。。。」

1年半前に父團十郎を亡くしたばかりの
母に、とてもでないけど、
今度は私が癌だなんて言えないと
思った。

主人が電話をかけたら、

主人の母は

「私がなればよかったのに。。。!」

と言った。

その言葉のなかには、
父を亡くした母の寂しさ、哀しさが
同時に凝縮されているようで、
涙が止まらなかった。