547話の続き
親分「粒、じゃな くて漉庵先生、近頃目が白く濁ってよく見えねぇんでさぁ」
医者「おや、さしもの親分も寄る年並には勝てないときたか。白く濁るのは恐らく白そこひ(底翳/白内障)じゃないかな? 他にも青や黄、赤、黒なんかもあるようだけど、白そこひで間違いないだろ。瞳の上に曇りが出来るうわひ(上翳)という眼病もあるそうだよ」
親分「治って前のように見えるようになりやすかね?」
医者「どっちにしろ私は専門外だから、いい先生に繋いであげるよ。針術で見えるようになる事も多いというから、恐らく良くなるんじゃないかな」
親分「目に針刺すんですかい? 痛かねぇですか?」
医者「そりゃ痛いでしょ。だけど濁った水晶体を針で砕いて光の通り道を作るそうだから、やってみる価値はあると思うよ。実はね、そこひの治療は天竺では神武天皇よりも前の時代から行われてたそうだから、長い歴史がある事はあるんだ」
親分「そうですかい。こうなっちゃあまな板の鯉だ、先生に全部お任せいたしやす」
医者「分かった。目明かしが目見えなきゃ話にならないからね。それまで滋養のある物でも食べて、煙を目に入れないようにね」
親分「へい、合点承知。先生はともかく、おいとちゃんやヤヤ子の顔が見られなくなるのは残念でやすからね」