医者「田岸さん、確か前回来た時も耳痛だったねぇ。カルテ見るからちょっと待ってね。ありゃ? カルテ黒塗りになってるじゃない、どうしたんだろ」

患者「前回貰った薬あまり効きませんでした。それにまだ前回の領収書貰ってませんけど」

医者「あ、それね。領収書は10年経たないと出ない事になったんだよ」

患者「ええっ?! どういう事ですか、それ。それじゃ医療費の還付金も貰えない」

医者「役所から還付金ありますって電話掛かって来るから、その時対応してよ」

患者「それって詐欺電話じゃないですか。どうなってるんですか、全く」

医者「どうもこうもないよ。医療財政がパンク寸前だから保険医療がなくなるっていう噂で、政府に聞いてもいつも検討中という返事ばかりで埒が明かないんだよ」

患者「あゝ、益々耳が痛くなって来た」

医者「田岸さん、あんた敵が多くない? 悪口ばっかり聞いて耳が痛くなったのと違う? 自分を卑下すんなよ。変な綽名付けられるからメガネは止めてコンタクトにすれば?」

患者「大きなお世話です」

医者「そういう素直じゃない所が良くないな。人の忠告には耳を貸すものだよ」

患者「それでホントに痛くなくなるんですか?」

医者「どうかなぁ。ちょっと見せてみて。うわっ! 耳垢で穴が塞がってるじゃないの。ダメだよ、たまには耳掃除しないと。だから人の話素直に聞けないんだ」