医者「えー、本日は患者さん方を前にして、相も変わらず下手な小話を一つ。
花粉もピークを過ぎ、インフルもコロナ第10波の話もとんと聞かなくなったこの頃でございますが、世界的に麻疹(ﾊｼｶ)が流行しているという状況なんですな、これが。何でも注意喚起の公報(ｶﾞｾﾞｯﾄ)が出回っているという話で、これを麻疹ガゼットと言うんだとか。
現時点で有効な治療法はなく、ワクチンだけが頼みの綱。ところがどっこい、これがない。しかも感染力はインフルの9倍で、手洗いもマスクも効かない恐怖の空気感染ときた。『こりゃあ困った、てーへんだ、お手上げじゃねぇか』と、あるご主人。
おかみさんが数日前から発熱、咳と鼻水もあり今日になって40度の高熱が出た。おまけに体中に紅斑が出来てかなり苦しい様子。『お、お前、こりゃあ、あれじゃねぇか?』ネットで調べるとどうやら麻疹のようで、『千人に1人が死に、5～10年後に1万人に1人が重篤な脳炎になるってよ、大丈夫か? ちゃんと寝てろ。明日医者連れてくから』しかし、同じ空間にいればほぼ100%感染する麻疹、夫婦共々枕を揃えて討ち死にと相成りました。
麻疹は肺炎・中耳炎・脳炎等、合併症も恐い。ははしかいない子供が罹る病気でもなく、特に大人は重症化する。皆さんもくれぐれもご注意を。当院では抗体検査をやっておりますので、はしからはしまでズズズイーッとどうぞ受けて下さいまし。人間とウイルスのいたちごっこ。本日はまごっころを込めての一席という事で、ゆめゆめウイスルを侮ってはいけませんぞ。ちなみにこのワクチン、最後の1本は私に接種しました」