医者「『春は曙、缶詰もあけぼの。夏は夜、月の頃は夜這ひつる事。秋は夕暮れ、わらわは気まぐれ。冬はつとめて、医所に勤めてはや三とせ。医所の仕事はいとをかし。お菓子はどら焼き、どんど焼き。どんどん焼いて磯辺巻き。もち! もち! ノリ! ノリ! 大喰らひ。

  三とせ過ぎ、天の恵みか、やうやう心ときめきたるをとこと出会ふ。あてなるもの、ありがたきもの、えならず。人はなほ、常の有様こそ、をかしうもあるべけれ。ひと目見るなり超タイプ。いとあはれなり。朝に夕べに、ひねもす見習医の君を思ふ。仕事手につかず。素直に言えぬはもどかしき事。いじらしくもあり、いじりたくもあり。募る思慕に思はず頬打ち。分別無きはわらわの心。許してたもれ。許してたもれ、ブラタモリ。

 されど頬打ちは詮無き事には非ず。思ひはいつかきっと叶ふはず。はず押しで土俵を割らんとす。言ふべきに非ずも、いとつきづきし。今宵もしとどに濡れた体を持て余し、嗚呼、いといじくりたし、いといじられたし。君を思ひ、体の疼きが収まらぬ。つらし、つらし。悶え悶えて朝月夜。むせび泣くわらわの声が聞こえるか。また君にまみえる時が待ち遠し。他の女人には死んでも君を渡さんとす――健気な女医の枕上の草子なり』

  こうやって書けばもし誰かに読まれたとしても、全然内容分からないわよね」

 

※背景は研修医シリーズ参照(278・302・303・327)