・・・森さんは、それが”気持ち悪い行為”であると言う自覚は全く無いようで

むしろいかに自分が愛ちゃんに熱を上げているかという効果的なアピールだと思っているかのように

ニッコリと笑って言ったそうです。



愛「・・・マオさん・・・。

それって・・・・・・どう思います・・・・・・・・?」


マ「変態。」


・・・コンマ一秒の返答でした。



いや・・ほんと、やばそうだとは思ってましたが、まさかここまでとはww



愛「前も私と同じ格好そのまんま買ったでしょ・・・?

私・・・なんていうか・・・

失礼ですけど・・・気持ち悪くて・・・・・・。」


・・・どこまでも控えめに言う愛ちゃんでしたが、目は確実に怯えていました。




その後、森さんは愛ちゃんが手に持っている、愛ちゃんとお揃いのワンピースを差して


森「今日はそれ買って帰るよ。」


とサラリと言い


愛「いや・・・無理です・・・」


と抵抗する愛ちゃんのワンピースを森さんが引っ張り始め

・・・その時、私が休憩から戻ってきた、と言う流れだったみたいです。


マ「あぶねぇ・・・w

知らずに森さんに売るとこだったよ・・・・・・・!w」


・・・想像したらヒヤッとしました・・・


みすみすヘンタ・・・いや、森さんに餌を与えるところだった・・・。



・・・ホッと胸をなでおろした私に愛ちゃんは


愛「でも・・・!後で来るんですよね・・・!」


と言いました。


・・・そうだった。

安心してはいられません。


・・・彼は私の分析ではもう”変態”の部類に入ってしまったので

少々邪険にしてもよさそうだけどなぁ・・・

と、いろいろ考えを巡らせていると

愛ちゃんがひとりでブツブツとよからぬ妄想をしていました。


愛「服・・・見てるだけ・・・なのかなぁ・・・・・・・・・

触ったり・・・・・・・・・いやぁ!(泣)」


マ「ちょwwwwこら・・・・やめなさいww」



とにかく、今日は特に愛ちゃんを一人にするわけにはいきません。


しかし企画部のフロアにいる間は森さんも容易に近寄れないようで。


愛ちゃんを企画フロアに戻して、私一人で倉庫作業をすることにしました。


ふと思い立って、先ほど愛ちゃんと森さんが引っ張り合いをしていたワンピースをチェックすると

裾の辺りが微妙にシワになっています。


・・・汗ばんだ手で掴みやがって・・・w

とちょっとウケつつも、あとでシワ伸ばそうと、そのワンピースを奥に引いたんです。


・・・この行動は、結果的にグッジョブでした・・・。



さて、鶏の手羽先を妄想しながらサラサラと作業をこなす私。


・・・そんな時・・・。


離れたところから私に送られる、なんだか重たい視線を感じました・・・。


まさか・・・と思ってあたりを見回すと・・・


倉庫の入り口の端に立つ森さんを発見・・・。


こえーよwwww


と、声が出そうになりました・・・。



森さんから視線を外すことが出来ずに変な動機と戦う私。


・・・すると森さんはコソコソッと、しかしすごいスピードで私に寄ってきました。


何その瞬間移動・・・

と気味悪く思いながら、目の前に来た森さんを無言で凝視すると


森「今・・・・・・愛ちゃんいないんだよね!?」


と、唐突に質問されました。


マ「はぁ・・・。いませんけど・・・・・・・・。」


私はちょっと声が上ずりながらもなんとか質問に答えました。


すると森さんは、微妙に口元を緩ませて


森「良かった・・・!ほら●●ちゃん・・・!

ワンピースワンピース!!」


と言ったんです。


マ「・・・ほら●●ちゃんワンピースワンピースの意味が全然わからないんですが・・・w」


・・・そこは冷静に返答する私。


森さんはあからさまにイライラした表情で、おまけに小さく舌打ちまでお見舞いしてくれました。


・・・イラッとしました。




森「にぶいなあ!

愛ちゃんが戻る前に会計しないとさぁ!!

売ってくれないんだよ愛ちゃん!」


焦った口調で私をまくし立てる森さんに、私は恐怖を感じながらも


マ「いや・・・意味がわからないと言うのはそういう意味ではなくてw

えーと・・・森さんが購入される商品は愛ちゃんが企画した商品でして、

その愛ちゃんが拒否しているので、私が勝手にお売りするわけには・・・・・・」


と言いました。


森さんは当然


森「取引先に服売らないのっておかしいでしょ!!」


と怒り始めます。


・・・さて・・・どうしたものか・・・ww


目の前でイライラする森さん。



マ「森さん・・・

親戚へのプレゼントって言うのは嘘だったんですよね・・・?」


なんとなく、時間稼ぎも兼ねて神妙に質問をぶつける私。


森「・・・愛ちゃんから聞いたの・・・?」


・・・森さんの表情がピクリと怒りを帯びました。


やばい、いきなり核心突きすぎたwww








その18へつづく。



とにかく愛ちゃんを落ち着かせろために奥でちょっと休ませて

私は倉庫での作業をしていました。


しばらくすると、置くから愛ちゃんが出てきて


愛「ほんと・・・すいません・・・」


と言いました。


・・・なんだかんだでかなり気になっている私はすかさず


マ「森さん・・・さっきの何だったの・・・?」


と聞いたんです。



・・・すると、愛ちゃんは一旦ちょっと笑ってため息をつき、話し始めました。


愛「実は・・・・・・・・・

まず・・・朝一・・・出勤のとき森さんとばったり会ったんです・・・。」


・・・愛ちゃんの話によると、森さんは愛ちゃんを見つけると勢い良く話しかけてきて

愛ちゃんの着ていたワンピースをほめたそうです。


森「親戚の女の子にあげたら喜びそうだなぁ」


と言う森さんにオドオドしていると、森さんは


森「買いに行くよソレ。

・・・でも俺●●ちゃんに嫌われてるからなぁ・・・

すぐ買って帰るからさ、●●ちゃんの休憩を見計らっていくよw」


と言い、去って行ったそうです。



・・・愛ちゃん的には、私に報告するとまたいろいろ心配かけるだろうし

さっさと買って帰るなら別にいいか・・・と思ったらしく、私にはそのことを黙っていました。


愛「・・・甘かったです・・・。」


・・・愛ちゃんは、うなだれてから、ため息混じりにそう言いました。


・・・そして、私が休憩に出てしばらくすると、やはり森さんはやってきて・・・


愛ちゃんがワンピースを取り出し


愛「コレですよね・・・?領収書きりますね。」


と、早めに切り上げようとすると・・・



森「待って・・・。

ちょっと聞いて欲しいことがあるんだ・・・。」



・・・そこまで聞いて私は息を飲みました。


愛「・・・ここからが本題なんですけど・・・。」



・・・はい?と聞き返す愛ちゃんに、森さんは


森「・・・好きなんだ俺・・・君のことが・・・・・・・・。」



・・・遠くを見るような眼差しで、いきなりの告白をしてきた森さん・・・。


愛「・・・私・・・・・・・か・・・彼氏が・・・・・・・・・・・。」


と、必死で拒絶する愛ちゃん・・・。


森「・・・どうしても・・・諦められないんだ・・・。

本気なんだよ・・・。

実は俺・・・愛ちゃんに隠してることがあって・・・。」



・・・愛ちゃんの口調が、かなりの動揺で震え始めました。



森「・・・親戚の子に服を買うって言ったじゃん・・・。

・・・あれ・・・・・・・・・嘘なんだ。」



・・・一瞬混乱した愛ちゃんが


愛「・・・どういうことですか・・・?」


と聞き返すと、森さんは



森「・・・君の着ている服が・・・欲しかったんだ・・・。」





マ「ヒィィ!!www」


たまらず悲鳴を上げる私。


マ「え・・・ちょっと・・・どういうこと・・・・・・ww」


・・・あまりの動揺と混乱につい口を出してしまった私に、愛ちゃんは



愛「ですから・・・あの服・・・・・・あげる人がいたわけじゃなくて・・・・・・・・・。」


と、目を泳がせながら言いました。


・・・そして愛ちゃんの話によると、そのあと愛ちゃんが


愛「え・・・?てことは・・・・・・・・・前買ってくださった服はどうしたんですか・・・?」


と聞くと、森さんは、さわやかな笑顔でこう言ったそうです。




森「壁にハンガーでかけてるよ。」




マ「ぎゃあぁぁぁあぁぁ!!!」



・・・絶叫です。






その17へつづく。



そこから2週間ほど経過したある日のことです。


半月も音沙汰の無い森さんのことなど忘れかけ警戒を解いていた私。


休憩が終わって会社に向かって歩き、倉庫の近くまで来たときになにやら話し声が耳に入ったんです。


・・・男の人の声でした。


・・・まさか・・・・・・・・・!


私はハッとして、急いで倉庫を覗き

・・・・思わず声を上げました。


マ「ちょ・・・・・ちょっと・・・・・・・・・・・・・!w」



・・・私が見た光景とは。



倉庫の中央部に、愛ちゃんと・・・・・・・そして森さん。


愛ちゃんは、自分が着ているワンピースと同じものを手に持っています。


そして森さんは、



そのワンピースを引っ張っていたんですww


森さんはバーゲン時にワゴンに押し寄せる奥様のような形相で

愛ちゃんが手に持つワンピースを掴んでいます。


青ざめ、半泣きの愛ちゃん。


・・・もうコレ警察呼んでもいいよねw


と、一瞬は考えたんですが、とりあえず私は二人の間に割って入りました。




マ「ちょ・・・何してるんですか!!w

怖い怖い!!森さん怖いからちょっと離れて!!w」


なにげに酷い言葉を混ぜながら、とにかく二人を引き剥がす私。


・・・森さんは、案外すんなりとワンピースから手を離し、一歩退きました。



マ「びっくりするわ!!wどうゆう状況なのコレ!!ww」


・・・動揺のあまりタメ口で罵倒する私。



すると、森さんはちょっとムッとした表情で


森「・・・大袈裟に騒がないでよ・・・。

買い物しようとしてただけじゃん・・・。」


と言いました。


・・・あなたの買い物スタイルはいつもあんな激しいんですかww

と、突っ込めるような雰囲気でもなく


マ「・・・洋服を引っ張り合ってるように見えたんですけど?」


と言うと、森さんはちょっと興奮気味に言いました。



森「だって愛ちゃんがその服売ってくれないんだ!!」



そのセリフにビクッとした愛ちゃんが肩をすくめてうつむきました。


森「買うって言ってるのにさ。売らないのおかしいでしょ?」


森さんは勢い良く言葉を続けます。


・・・愛ちゃんは、何か言いたそうではありますが、完全に心が折れたらしく黙っています。


・・・全く、話が掴めません。

とりあえず状況的に、森さんはまた親戚だか友達だかのために服を買いに来たんでしょう。


それを愛ちゃんは拒否。


・・・拒否・・・・・・・・・。


・・・拒否する理由が思い浮かばない私。


すると森さんは、イライラしながら


森「もう●●ちゃんでもいいから領収書きってよ!」


と、言ってきました。



仮にも森さんは取引先の上司。


・・・購入を拒否するなんて確かに普通に考えたらおかしいんですよ。


・・・理由を知りたくても愛ちゃんから聞きだせるような状況ではありませんし。


ここはもう、さっさときって帰ってもらおうかと、一瞬考えました。


・・・が。


マ「・・・すいません森さん。

申し訳ないんですが出直してもらってもいいですか?」


・・・会社的にタブーでも、私は愛ちゃんをやはり信じてしまうわけです。

私情を挟むなと言われようともww



森「は?俺を追い返すの?w」


と、半笑いで詰め寄る森さんに


マ「・・・もうすぐ会議はじまるんじゃないんですか?w

また後輩困らせますよ。」


と言うと、森さんは不満げにため息を付いて去っていきました。


・・・さて、とりあえずまだ落ち着かない愛ちゃんに


マ「なんか今日森さん怖かったねww」


と、ふざけて言うと、愛ちゃんは涙をポロポロと流しながら


愛「マオさぁあん~~・・・!

私の味方してくれてありがとうございますぅぅう~!o(;△;)o」


と、言いました。


・・・なんか、ただ事ではない予感がしますww






その16へつづく。





愛「ちょっとマオさん~w・・・結構真剣に怖かったんですからね~w」


・・・と言いつつ、愛ちゃんも堪えられずに笑っていました。


マ「わっ・・・わかってる・・・けど・・・・・・・・・w

ちょ・・・待って・・・いかん・・・

ツボった・・・・・・・・・・・wwwww」


私の妄想の中では、森さんと愛ちゃんの先ほどのシーンには

かつて一世を風靡したドラマ”東京ラブストーリー”の挿入歌が流れていました。




※古くてすいません。



散々ひとりでツボってしまった私ですが

・・・まあ、森さんが恋していること自体を馬鹿にしてるわけじゃないんです。


恋は自由ですからね。


・・・ですが、もう大人なら、相手の状況や気持ちを察することも必要だと思うんですよ。


会社の近くの喫茶店なんて関係者だらけの場所で

腕をつかんで叫ぶなんて、相手の気持ちを考えて無さ過ぎですよ・・・。


まあ・・・これまで書いたとおり、私は森さんが嫌いなので

馬鹿にはしてなくても、応援はしませんww



愛「あぁー・・・マオさん・・・

このチョコ・・・どうしましょう・・・。」


・・・赤い子袋を抱えながら、愛ちゃんは困惑していました。


マ「食べたらいいじゃん。チョコに罪はないしw」


半笑いで言う私を愛ちゃんは上目づかいで軽く睨みながら


愛「そうですけど・・・なんか・・・・・・なんてゆうか・・・・・・・・・・・。」


と、困っていました。

まあ気持ちはわかります。

気持ちの注入された贈り物と言うのは、自分に気持ちを受け入れる気がない場合

なんとなく、重いですからね。



マ「銀座の有名なチョコだよ?w」


愛「・・・・・・・・・・マオさん食べます?」


マ「いらないww」


・・・即答でした。



結局その騒動も収まって、その日はまた愛ちゃんとほのぼのと仕事をしました。


・・・しかし、私の中には、少し引っかかるものがあったんです。


もちろん、森さんのことですけど。


数日前までは余裕にまみれて、愛ちゃんが自分に懐いている的な発言までしていた森さん。


それに引き換え、今日の行動の余裕の無さ。


思いつめていたら、ちょっとやばいよなぁ・・・

と、嫌な予感は拭い去れません。


・・・でも彼だって一応大人だし。

と、とりあえず自分を納得させた私。


・・・しかし・・・


甘かった・・・・・・・・・











その15へつづく。

森さんに、愛ちゃんには彼氏がいると伝えたその日は

一日森さんの姿を見かけることはなく(まあ彼は公休なんですが)

奇妙に静かな一日でした。


・・・なんとなく、あのナルシストが彼氏がいるくらいで諦めるのだろうかという疑問はありましたが

考えても仕方ないので、取り合えず警戒だけはしたまま、今日はそのことは忘れようと思いました。


・・・そして、それから数日がたったある日。


森さん

・・・静かに始動します。



ある日、愛ちゃんを休憩に出し、自分の仕事をしていると

通路の奥に愛ちゃんの姿が見えました。


遠くにいる愛ちゃんに手を振ると、愛ちゃんは子犬のように小走りで私のところへやってきたんです。


マ「・・・ちょw

まず荷物置いておいでww」


と言いましたが

・・・なんだか愛ちゃんの様子がおかしいんですよね・・・。


愛「・・・マオさん・・・ただいまです・・・・・・」


・・・なんだか引きつっている愛ちゃん。



マ「・・・おかえり・・・。

・・・・・・・・・何・・・・・・?w」


・・・なんだかおかしな雰囲気を放っている愛ちゃんを観察すると、

彼女は手に、小さな紙袋を持っていました。


・・・真っ赤なエナメル調の紙袋。


マ「・・・どした?それ。」


・・・いつもの愛ちゃんなら、もしお菓子を買うなり貰うなりした場合、大喜びではしゃぎ倒す癖に

・・・なんだか、愛ちゃんの目が、死んでるんですよね・・・。



愛「・・・・・・もらい・・・ました・・・。」


マ「・・・・・・・・・へぇ・・・・・・良かったじゃん・・・・・・?」


愛「・・・・・・銀座の有名な・・・チョコだそうで・・・。」


マ「銀・・・・・・・・・・・!」



・・・”銀座の有名なチョコ”

・・・聞き覚えありますよ。


私の頭の中に、猛烈に渦巻く固焼きソバが蘇ってきました。


マ「まさか・・・・・・・・・・・!」



愛「・・・・・・・・はい。

約束したから・・・って言われて・・・

なんか勢いに負けて受け取ってしまったんです・・・。」


・・・森さん・・・

確かに約束してましたよ・・・。


出張のお土産に銀座の有名なチョコがあーだこーだと言ってるのを、私も確かに聞きました。


・・・しかし、意中の相手に彼氏がいると聞いても尚、そんな高価なお菓子を買ってくるなんて

まあ律儀な人なんだなという結論で終わってもいいんですが

愛ちゃんのテンションの下がり具合を見ると、なんだか嫌な予感がしました。


マ「・・・もしかして、なんか言われた?」



愛「・・・なんか・・・って程じゃないんですけど・・・・・・。」


・・・愛ちゃんはかなり言いにくそうにうなだれています。


マ「・・・嫌なこと言われたんじゃないの?」


森さんならやりかねんな・・・と、私は動悸が激しくなってきました。


真剣に詰め寄る私。


すると、愛ちゃんは、そんな私に申し訳なさそうに少し苦笑して、言いました。



愛「・・・いや・・・マオさん・・・・・・

ほんとたいしたこと無いんですけど・・・・・・

なんか・・・これ渡されたとき・・・

受け取った後、会社戻りますって言って逃げようとしたんですけど・・・

後ろから急に腕をつかまれてですね・・・・・・。」


・・・私は生唾を飲みました。



愛「”彼氏のこと、大事なの!!?”

って・・・

割と・・・あの・・・大きな声で・・・

しかもいつも行ってる喫茶店で・・・・・・・・。」


マ「ちょっ・・・・・・・・

ああ愛ちゃん・・・・・・それ最悪じゃブホァ!!!」



・・・吹きました。





その14へつづく。



・・・あくまでこの人は”愛ちゃんが自分を”という路線で行きたいみたいです。


しかしながら「彼氏いるの?」と、そこを気にする矛盾。


今まで様々な人たちと関わってきましたが、

”いまひとつ自分のキャラ設定がままなってない男”

との遭遇は初めてだったのでとにかく戸惑いました。


しかし、なんだか危険な予感がします。

この勘違いっぷりは、リアルにストーカー化しかねません。


私は、舞い上がっているこの焼きそば似の方へ、引導を言い渡そうと決めました。



(喰らえ・・・・・・!!森ソバ・・・!!)

マ「あの・・・愛ちゃん実は彼氏います・・・。」



森「・・・・・・・・・!」


マ「・・・」


・・・正直このナルシストは、愛ちゃんに彼氏がいようがいまいが無関係な勢いを持っていたので

この程度の攻撃でダメージなんて与えられないだろうと、半ば実験的なつもりだったんですが・・・



森「・・・・・・・・・え?」


・・・一瞬で顔面蒼白・・・

なざか全体的に影が濃くなり・・・

まるでモノクロ映像のような・・・

いや劇画タッチというか・・・


・・・とにかく。

ひどく傷ついていました・・・。


マ「え・・・?って・・・・・・言われても。w」


・・・そこまであからさまに傷つくのならば、気軽に「彼氏いるの?」なんて聞かないで欲しい・・・。


と、想定外の展開にキョドル私。



まあでも、ストーカー化したら困りますし。


マ「まあ・・・彼氏はイケメンで・・・。」


と、淡々と話す鬼畜な私。


森「・・・ま・・・まあ・・・可愛いからなぁ彼女・・・。

・・・でも・・・じゃあなんで俺にあんな・・・・・・ねぇ?w」


”俺にあんな・・・”

の意味が全く解からない私は


マ「あんな・・・? どんな・・・?」


と、ついタメ口に。



森「・・・・・・。」


・・・先ほどまでは饒舌だった森さんはひどく大人しくなってしまい

”あんなに懐かれたらぶっちゃけ心が動くよねw”

なんて調子に乗っていたときとは別人のようでした。


・・・まあ、こんな人でも、恋してたわけだし・・・。


・・・本の少し同情する気持ちが沸いてきた私は、静かに言いました。



マ「森さん・・・・・・・・・・?







休憩終わるので、私はこれでww」



まあ、それはこれ、これはこれですw




森さんの返事を待たずに、アイスティー代500円をテーブルに置いて私はそそくさと店を出ました。


店を出てしまうと、なんだか身体が軽くなって、私は足早で会社に戻りました。



愛「マオさーん(はぁと)おかえりなさ~い(はぁと)」


マ「愛ちゃん!実は今さ、も・・・・・・・」


愛ちゃんの顔を見た瞬間に、

喫茶店での出来事を面白おかしく喋りたい衝動に駆られたのですが・・・


マ「・・・いやw ただいま(はぁと)」


なんとなく、怖がったらいけないなと思って、黙っておくことにしました。


ただ、話の流れで森さんに、愛ちゃんには彼氏がいるって言っちゃったとだけ報告しておきました。


・・・この判断は、結果的に、大正解でした。



・・・そう。


まだ、森さんのターンは終わっていないのです・・・。







その13へつづく。


そもそも昼時をはるかに越えた時間だったので(森さんのせいで)

私たちの入った喫茶店はほとんど客が入っておらず

とりあえず不本意ながら私は角のテーブルに無言で座りました。


すっかり食欲のうせた私はアイスティーを注文し

とにかく一息つこうとストローを加えたまさにその時。


森「愛ちゃんって彼氏とかいるのかな。」


マ「ふご!!!」


アイスティーが激しく逆流しました。


森「大丈夫?w」


マ「・・・・・・・・・(全然)・・・」


・・・まあ予想はしてましたが、この方ついに堂々と”愛ちゃん捜査”を始めたようです・・・。



マ「・・・・・・・・・

そんな、後輩のプライベートなこと、勝手に喋るわけないじゃないですか・・・。」


とりあえず私は、いかにももっともらしいことを言って質問には答えない姿勢を見せました。


森「えw・・・それくらいいいじゃん・・・?」


”えw”の時点では明らかに動揺してたくせに

すぐに切り替えて、彼なりにさわやかな余裕の笑みで

”それくらいいいじゃん・・・?”


もうね、大根役者ですよ。


余裕のある大人を演じていらっしゃるんでしょうけども、

聞いている内容はスタッフの彼氏事情ですからね・・・。


マ「駄目です無理です。」


抑揚の無い声で、冷たく一蹴する私。


森さんは、微妙に引きつった笑いを浮かべながら


森「非協力的だなぁw」


とぼやきました。


・・・なぜあなたに協力せねばいかんのだw


苦笑とため息しか出ないほどに付かれきった私は、軽く愛想笑いして一旦視線をそらしました。


・・・しかし、そこで疑問が浮かんだんです。


マ「協力・・・って・・・

そもそも森さんって愛ちゃんに本気なんです・・・?」


先ほどまでのニュアンスでは、まあ愛ちゃんを気に入っていることは一目瞭然としても

恋愛対象として本気なのかまでは考えていなかったので、率直に聞いてみたんです。




・・・すると。


森さんは上目遣いで、私に痛恨の一撃をお見舞いしてきたんです。


森「・・・本気かどうか・・・知りたい?」



・・・キモイ。


心の声は正直でした。


出来れば知りたくないというか、むしろ今すぐここを立ち去りたい・・・。


と思うほどの、まあ、いわゆる”焦らし”とゆうやつですか?w


私のライフゲージは余命いくばくもありません。


怒りすらわいてきました。



絶句してしまった私に森さんから


森「ねえ・・・・・・気になる?」


という追い討ちがかかります。

猛攻撃です。


文章ではお伝えしづらいですが、彼の目はまさに”恋する目”でした。


普通に考えて、全然知りたくありません。


・・・でも、相手は私の大切な愛ちゃんですから・・・。


マ「どっ・・・どうなのかな・・・っと・・・いう・・・単純な疑問ですよ・・・」


と、なんか答えました。


ふっと笑って、前髪をかきあげる森さん。


そしてそんな仕草すらスムーズにいかない彼の髪質。

(固焼きソバ)


森「・・・うーん・・・なんて言うか・・・

普段近くにいないタイプだからさ、愛ちゃんって。

あんなピュアな目で懐いて来られたら、ぶっちゃけ心が動くよねw」


マ「・・・。」


絶句という言葉は、こういうときに使うんですね。

良い経験になりました。


・・・で。


誰が、誰に、懐いてるって?w


もはや


怨念のようなものまでわいてきましたw






その12へつづく。


休憩に向かいながら、

今まで”気持ち悪い”の一辺倒だった森さんに対する気持ちが

もしかしたらあの方は、

私を(間接的に)笑い死にさせる才能をお持ちかもしれない・・・

という、微妙に期待を含んだものに変わりました。


思い出し笑い覚めやらぬまま

会社の近所の喫茶店へそそくさと入店しようとしたその時。


「・・・●●ちゃん!!待って!!」


・・・後ろから誰かが私を追ってきています。


勢い良く振り向いて


マ「ヒッ・・・・・・・・・!」


・・・あまりに顔が近くて悲鳴を上げました・・・。


森「・・・ちょっといい?」


・・・森さんでした。


ちょっと良くない。

全然良くないゴメンww


と、言いたい所をグッと我慢する私。



森「●●ちゃん今から昼休憩?丁度良かった!」


マ「・・・え?・・・は?」


・・・なんにも丁度良くないんですけど。

と、混乱しながらも的確に頭の中で突っ込んでいると


森「いろいろ聞きたいことあるんだよねw」


と、彼なりの”さわやかな笑顔”であろう笑顔を私に向けてきましたが

私は強烈な胸やけに襲われてしまいました。


・・・やばい。

危険な予感がする。


関係ないけど笑顔もキツイ。



マ「聞きたいこと・・・?何ですか。」


・・・とりあえず冷静を装って冷たく、突き放すように言うと

森さんは更に笑顔でこう言いました。


森「まあゆっくり話さない?

●●ちゃんはこの店入る気だったんだよね?

俺も入るよ。」



いや待てコラw


・・・と、もう少しで口から出そうでした。


”俺も入るよ”

ってあんたw


めちゃくちゃか!w


と、それこそめちゃくちゃな突込みを入れるしか出来ない押され気味な私。


マ「ちょ・・・っと、待ってくださいw

何なんですかw」


ようやく口からマトモな言葉が出てきました。


森「・・・え?ダメ?おごるよ?」


・・・一体なぜ私が拒んでいるのか全くわからない、といったキョトンとした表情で

森さんはすでに店に半分足を踏み入れていました。


・・・良く思い出してください。


彼は休日で私服。


この店は会社の近くの社員御用達の喫茶店。

つまり客は顔見知りだらけ。


私服の森さんとこんなところにいたら翌日は100%、こんな噂が流れるでしょう。


”マオさんと森さんデートしてたよ!!!”


・・・これぞ最悪の極みww



マ「ちょ・・・そんな長話になるんですか?」


入り口の前から動こうとしない私。


森「駄目?」


全く悪びれない森さん。


マ「私、今、休憩なんですけど?」


森「知ってるけど?」


・・・正直あなたの顔見ると疲れるんですよw

とでも言わない限り理解してもらえそうに無いこのニブさこそ

彼の計り知れないポジティブシンキングが成り立つ由縁なわけですが


まあ、そこまで言えないのは

一応彼が私にとって、大事な取引先の上司であるという大人の事情があるわけです。


マ「・・・とりあえず・・・・・この店は駄目です・・・」


半分やけになった私は、返事も聞かずに

比較的関係者の少ない喫茶店へ向かって歩き始めました。






その11へつづく。


森「・・・・・・・・・まあまあw

熱くならないでよww抑えて抑えて!」


・・・急激に、軽いノリでそう言ってきました。


マ「・・・・・・・・・。」


・・・私、こういう大人、大嫌いです。


真剣に言われた内容が図星なくせに

”まあまあw”と、流す行為が”大人”だと思い込んでいる大人。


そんな人に限って”自分は平和主義”だと言います。


だけど、ただ争いを避けるだけならそれはただの逃げだと思うんです。


平和を願うからこその争いだってある


と、・・・・あくまで”私は”思うんです。


・・・私の憧れる上司の方々は、

どんな新人の意見でも、真剣に考えて答えてくれる、そんな人たちです。



本格的に、森さんを嫌いになりそうな自分を抑えるのにいっぱいいっぱいで

私はなかなか言葉が出ませんでした。



・・・そんな私に、さすがの森さんも居心地が悪くなったのか


森「・・・そ・・・そろそろ何買うか決めなきゃなぁw

愛ちゃんが戻る頃また来ようかなw

なんか食ってこよう。」


と言って、ニヤニヤしながら去ってゆきました。


・・・森さんが去ってもなかなかイライラの収まらない私は


心の中で


・・・固焼きソバでも共食いしてきやがれ・・・


と、罵倒しておきました。



さて、イライラが収まらないまま時間は過ぎて、愛ちゃんが休憩から戻ってきました。


愛「・・・森さん来ました・・・?大丈夫でした・・・?」


と、申し訳なさそうに言う愛ちゃんに


マ「・・・ごめん。また来るらしい・・・・・・w」


と言うと


愛「いいんですよ!!なんか逆にすみません・・・。」


と、大きなため息を付きました。


・・・かわいそうに。


これはもう、私情挟みまくりで申し訳ないが、絶対的に森さんを撃退せねばと心に誓いました。



・・・そして。


まるで見ていたかのようなタイミングで、森さん登場。


森「愛ちゃんヒドイじゃんw」


・・・ニヤニヤしながら言う森さん。


重ね重ね、キツイですこの人。


そんな森さんに、愛ちゃんは苦笑いしながら


愛「・・・ちょっと仕事が溜まってきているんですケド・・・。

森さん、どれにするか決めました・・・?」


と、やんわり拒絶の意を表しました。


・・・責任感の強い彼女のことですから、そろそろなんとかしないと私に悪いと思ったんでしょう。


・・・可愛いやつめ。

守ってあげないと。


と、興奮気味に固く誓う私も大概気持ち悪いのですが。



そんな愛ちゃんの様子にもまったく無関係な森さんは


森「ねえ、今度は一緒に昼行かない?」


と、誘っています。


・・・なんかもう、哀れになってきました・・・。


愛「・・・先に、お買い物を、決めませんか?」


・・・いつになく、愛ちゃんは強気です。


・・・この様子ならば、助っ人に入らなくても大丈夫かもしれないなw

と、とりあえず傍観していると


・・・ついに。


森「・・・じゃ・・・じゃあ・・・

このブラウスとスカートにしようかな・・・。」


・・・やった!!!


・・・勝利を確信した私。


てか本当に買う気だったんだ・・・w


と、予想外な展開にキョドリながら、私以上に驚いている愛ちゃんが


愛「・・・え・・・?あ・・・・・・ありがとうございます・・・」


と、動揺しながらお礼を言っていました。


・・・ちなみに森さんが選んだのは

まさに今愛ちゃんが着ている服と全く同じブラウスとスカートでした。


・・・なんとなく、気持ち悪さを感じた私。



領収書をつけ、森さんを送り出し

疲れたし私も休憩に出ようかなと、ほっと一息ついてた時


愛「・・・ほんと、なんかいろいろすみませんでしたマオさん~(ノДT)」


と、愛ちゃんが私の側にやってきたので


マ「いーよw

てか買うんだね・・・森さんw

私はてっきり愛ちゃんと話したいための口実だとばかり・・・・・・。」


とぼやくと、愛ちゃんは伏し目がちに言いました。



愛「森さんはブランドの広告モデルさんや、契約ラジオのDJのお姉さんとか・・・

いろいろ知り合いいるって言ってたから・・・

何も私なんかでなくても・・・・・・。」



えーと・・・・・・


ブランドのモデル・・・?

契約ラジオのDJ・・・?


それ全部・・・

森さんの取引先じゃないか・・・

森さんにいい顔するのは・・・仕事だから当たり前じゃないか・・・ww



Σ(゚д゚;)ハッ

まさか森さん・・・


そんな仕事上のお愛想まで自分に気があると勘違いしているのでは・・・



なんというポジティブ・・・w

もはやコワイww


マ「ブフォフォ!!!」


・・・考えたら異様に笑いが込み上げ吹き出してしまった私を

愛ちゃんは不審な目で見ていました・・・。






その10へつづく。



森さんはとりあえず去ったものの

みのむしを逃がしたらまた戻ってくるでしょうし

ミカが


ミ「私も休憩終わるから戻らないとなぁ。

・・・なんか役に立てなくてごめんね愛ちゃん。」


と言って、状況はまた、元通りです・・・。


愛「いえ!助かりましたし楽しかったです!

せっかくの休憩なのにすみませんでした・・・」


と謝る愛ちゃんにミカは


ミ「いやいやw

あなたの教育係から金でも貰うからいいよw

じゃね!」


と、めちゃくちゃなことを言って私たちに手を振り、そのまま去ってゆきました。




マ「・・・森さん想像以上にしつこいなぁ・・・」


・・・どうしたものかと悩みながらぼやく私。


愛「・・・選ぶ気・・・無いんですかねぇ・・・。」


と、ため息を付く愛ちゃん。


まあ、このままでは、愛ちゃんはいったい何時まで拘束されるのか、想像も付きません。


・・・なので


マ「・・・まあ、休憩でも行って来なよw

森さんにはうまく言っとくからさ。」


・・・愛ちゃんを休憩に出すことにしました。


マ「早く!戻ってくるよ!!」


と、わざと焦らせる言い方で愛ちゃんの背中を押すと、愛ちゃんは申し訳なさそうに


愛「・・・すみません・・・」


と言いながら、そそくさと休憩へいきました。


・・・さて、うまく言っとくとは言ったものの、どうしたものかw


まーなんとかなるだろ・・・


と、適当な私は考えるのを辞め、中断していた作業を始めました。



・・・そこに、予想よりも随分早く


・・・・・・・・・・・・森さん再登場。



森「あれ!?愛ちゃんは!!!?」


・・・いい歳した男が、まるで親を見失った子供のような甘えた言い方で放った第一声・・・。


・・・イラッとしましたw

・・・なので


マ「・・・あ・・・さっきのスタッフに誘われて一緒にランチに出ましたよ。」


・・・びっくりする程サラッと嘘が口から出ました・・・・・・



森「えぇー!!

・・・俺が何かご馳走してあげようと思ってたのに!!」


不満げな森さん。


・・・愛ちゃん・・・休憩出てよかったなぁ・・・

危機一髪じゃないか・・・。


と、安堵する私。



森「俺の方が先に来てたのに・・・。」


・・・またブツブツと同じ不満を漏らす森さん。


・・・なんか本当に、この人めんどくさい・・・


と、思った瞬間


マ「先とか後とかじゃないんですよ・・・。」


・・・勝手に口から出ていました。


森「・・・・・・は?」


・・・眉を寄せた森さん。


静かに、ゴングが鳴った瞬間でした・・・。



マ「・・・失礼ですが、森さんは同業者の方ですし

お取引いただいている立場ですが・・・。

・・・お陰様で、私たちは毎日お仕事させていただいております。

・・・・・・でも。」


・・・森さんは、無言で、見下ろすように睨んでいました。


・・・しかしそんな攻撃は普段のうちの上司に鍛えられている私の精神力を持ってすれば

ダメージなんて皆無です。


マ「・・・愛ちゃんも入ったばかりで覚える仕事もたくさんあります。

今が大事な時期です。

・・・そんな仕事を差し置いて”俺が先に来た”って・・・・・・。

おかしくないですか・・・?」



普段、私たちのような雇われデザイナーは

いろんな面において、取引先の会社にはサポートしていただいて本当に助かっていますし

感謝することはあっても、めんどくさいなんて考えることは絶対にありません。


・・・森さんは、私たちが強く出れないことも良く知った上で、

私情を挟み、スタッフを長時間拘束し、ほかの仕事を差し置いて”俺が先”という発言。


・・・職権乱用甚だしい。


マ「森さんは休日にいらっしゃってますが、

ここがあなたの職場だと言うことも、

私たちにとって森さんが取引先の上司だと言うことにも、変わりは無いんですから・・・。」



”取引先の上司”と口に出した瞬間

ちょっと冷静になってしまい語尾に勢いを失ってしまう所詮チキンな私。


言いたいだけ言って黙ってしまった私でしたが

森さんもまた、黙っていました。


・・・私が言った内容が正しいか正しくないかは解かりません。


だけど、言葉を返せないのは、少なからず心当たりがあるからで

森さんは不本意そうに眉をピクピクさせていました。


・・・しかし





その9へつづく。