私がその言葉でなにやら感づいたのか、今までうっとりと浸っていた森さんがちょっと暗くなって



森「・・・いいよ。あっち行こう。」



と言いました。



喫茶店にいる女性たちのヒソヒソ声とニヤニヤが不快でたまりません。


しかしまあ、コレで最後だと自分に言い聞かせ私は先導して以前と同じ階段まで向かいました。



・・・薄暗い場所で立ち止まって少しの間沈黙していると

さきに森さんが、口を開きました。




森「・・・●●ちゃん、わかってるから俺。」



マ「・・・はい・・・?」



森「・・・・・・愛ちゃんから・・・頼まれてきたんでしょ・・・?」



・・・予想外だったのでまたちょっと怯んでしまう私。



森「・・・俺の気持ちは、受け入れられない・・・って、こと・・・どよね・・・?」



・・・しかし徐々にまた発言がセリフじみてきています。



森さんは、何も言わない私を見て、切なげに、フッと笑いました。



・・・あぶない。



森さんのドリーミィワールドの罠にかかるところでした。



マ「・・・はあ・・・、まあ、そんな感じですww」



あくまでちょっとふざけた感じにしないと、大昔のトレンディドラマごっこに巻き込まれてしまいます。




それから気を取り直し、私は何も言わずにポケットから


Love・・・を取り出して、森さんに差し出しました。



マ「アクセサリーはさすがに・・・貰えないって言ってました・・・。」



・・・恐る恐るそう言うと、森さんは苦笑しながら



森「・・・・・・てか、もしかしてさぁ・・・

ネックレスが入ってるって事、気づかなかったの?」



と言いました。



無言で頷くと、森さんはまたフッと笑い



森「もー・・・田舎者なんだから・・・w」



と言いました。




・・・田舎者には間違いないのだけれど、都会ではそんなテカテカのスーツや

やたら回りくどいプレゼントが流行っているのならば、私は田舎者で結構だ。


と、心の中で突っ込みました。




用事が済んだら長居も無用なので、私は



マ「・・・じゃあ・・・森さん。転勤がんばってくださいね・・・。」



と言い、立ち去ろうとしました。


森さんは



森「・・・男は引き際も肝心だ。

仕方ないね。

まあ今回のことは、俺も早めに忘れるよ。」



と言い、私に軽く手を振りました。



・・・引き際が肝心だなんてよく言うわwww


と思いましたが、長くなるので

私も(たぶん)さわやかに笑って階段を下りました。




さよなら・・・・・・

さよならウィリー・・・・・・!

じゃなて森さん・・・・・・・・・!





【MISSION①】

Loveを森へリバースせよ




-COMPLETE







・・・さて


割とアッサリとMISSIONをCOMPLETEした私は、愛ちゃんに報告をしました。


愛ちゃんは、すまなそうに私に謝りながら、森さんの転勤の件には結構驚いていましたが


しかし



愛「まあ都会の方が可愛い女性がいっぱいいますよねドキドキ



とサラリと流していしまいました。



まあそれはそうかもしれんが、森さんが相手されるかどうかが問題なわけで・・・。


と思いましたが、私は森さんじゃないので余計な心配はやめることにしました。






・・・これで、すべて終わったのだとホッとする私は



森さんの巻き起こす、余韻のような小さい悪夢の存在にまだ気づいていませんでした。















その28へつづく。


さて翌日。


その日は愛ちゃんと二人で朝から昨日の件で盛り上がっていました。


マ「今日返却してくるからねww」


と言うと


愛「ほんと・・・すみません私のことなのに・・・」


と、愛ちゃんは申し訳なさそうに俯きました。


私だって出来ることならもう絡みたくはないんですが

・・・愛ちゃんにはちょっと相手が強烈過ぎるから仕方ありません。


マ「毒を持って毒を刺すって言うし。」


・・・なんか、自分で言っておきながら、微妙にヘコみました。


・・・まあとにかく、今日でいい加減すべて終わらせなければ

もういろんな意味で、私も限界です。



森さんはなぜか私を避けているみたいなので

私はまた、普段自分が行かないような時間に休憩に出ないとなと思い

昨日は15時だったし14時にしようと意気込みました。


14時になり私は近所の喫茶店へ向かいました。


・・・私の視界に、なんだか見覚えのある青魚色のスーツが飛び込んできました。


マ「・・・・・・・・・・・・・!」


森「・・・・・・・・・・・・・。」


・・・森さんでした。


彼は喫茶店の一番手前の席に座っていたんです。

しかも、前と同じテカテカのスーツを着て、坦々麺を食べています。


これぞ、デジャヴ・・・・・・・・・


森☆サプライズ第2弾ですよ。


マ「・・・八橋はないんですか・・・?」


森「うん・・・何が・・・?」


互いに動揺しすぎて、カポエラの威嚇みたいな雰囲気が漂っています。



マ「あ・・・。八橋はこっちの話で・・・。」


・・・あまりのいきなりさに一瞬状況が掴めなかったのですが

徐々に私は落ち着きを取り戻しました。


マ「まあ・・・ちょうどよかったです森さん・・・」


森「・・・何が・・・?」


マ「くまのLoveの中のアレの件でちょっと

森「場所変えていい・・・?」



・・・阻止されました・・・。

”森☆NGワード”なのでしょうか・・・。


あぁハイと頷いたものの、森さんの坦々麺はまだ半分くらい残ってますし


森「食事まだなんじゃないの?」


と森さんに言われ


・・・・・・数分後。


私はなぜか、森さんの斜め前でホットサンドを喰らっていました。


森「坦々麺うまいのに。」


マ「ホットサンドが好きなんです。」



・・・微妙に和んでいる私と森さん。




・・・なんか・・・

それにしても・・・

今日の森さんはちょっと雰囲気が変だなと思いました。


・・・いつもは自信満々な表情と態度で

目と歯をキラキラさせながら近くにいる女性に森☆ビームを撒き散らしている(私の自由なイメージ)のですが

今日はなんだか、暗いというか・・・・・・・・


着ている青魚色もあまり新鮮さを感じられません。


マ「・・・なんかあったんですか・・・?」


つい気になってしまう私はチビチビと坦々麺を食べる森さんに聞いてみたんです。



森「・・・なんで・・・・・・?」


マ「あ・・・いえ・・・鮮度・・・いや・・・・・・

元気がないような気がしたので。」


すると森さんは、箸を持った手でひじをつき、伏し目がちに

まるでミュージカルのようにオーバーにため息をつきながら言いました。


森「・・・気になるのかな・・・?」


マ「いえ特には。」



こういうときの自分の反応が恐ろしく早いことに、自分で感心しました。


・・・この人全然大丈夫だわ。

森☆ビーム出す余力があるし。


と、思い直して再びホットサンドに神経を集中させる私。


すると、森さんはめげずに話を続けてきました。


森「実はさ・・・東京に3年くらい転勤するかもしれなくてさ・・・

まあほぼ決まりなんだけどさ・・・。」


それには、さすがに私も驚きました。


マ「・・・まじですか・・・。

まあでも営業さんはよくある話ですね。

いつからですか?」


森「冷たいなぁw 急なんだけどたぶん来月かな・・・。」


マ「急でね・・・。」


それから森さんは片手を顔に当ててため息をついたり

”なんで俺なんだ・・・”とぼやいたりと

いつものナルシスト感が戻ってきたので、全然大丈夫そうだなと思ったんですが


・・・なんか・・・・・・

雰囲気的に、Loveをリバースしにくいんですよねこの感じ。


鬼畜な私でも、一応はへこんでいる人にプレゼントをつき返すなんてさすがにためらいます。


すると怯んでいる私に、森さんのドリーミィな世界から私へ、通信が届きました。


森「でも・・・仕方ないよね。

俺は所詮会社のコマなんだから・・・。

まあ・・・どこへ行っても俺は、やれることをやるだけだ・・・。」


・・・この自分に酔ったセリフがもし彼氏のセリフならば”素敵!”と乗せてあげたいところですが

森さんの場合、やれることっつーか、やらんでいいことばっかりやってるからなぁ・・・

と、イラつき具合がうなぎ登りするだけです。



しかし・・・おかげで、迷いは消えました。



マ「森さん、ちょっといいですか?」



・・・・・・時は満ちました。







その27へつづく。


散々笑い飛ばした私たちでしたが、それから私は先ほど森さんに

愛ちゃんに関わらないで欲しいと伝えた旨を話ました。


マ「”とりあえずわかった”って言ってたよ。

だからもうたぶん安心じゃないかな?」


愛ちゃんは、一旦はそうですね、と返事をしたんですが

その後少し考え込んで、こう言いました。


愛「・・・でも・・・マオさん・・・

アクセサリーは・・・いただけないのでお返ししようと思います・・・。」


私は、わざわざそんな危険なことしなくても

見た感じおもちゃの延長のようなネックレスだからいいんじゃないかと思ったのですが

愛ちゃんは納得いかないようで


愛「返さないと受け取ったことになるじゃないですか・・・!

それに、アクセサリーが入ってるって知ってたら受け取ってないのに

森さん巧妙すぎますよ・・・。」


と言いました。



巧妙・・・ww


だって、森☆サプライズなんだからちょっとくらい巧妙じゃないと。


・・・と思いましたが不謹慎なので言いませんでしたww



マ「じゃあまあ・・・

なるべく二人きりにならない場所で返しなねw」


・・・最近忘れかけてはいますが、森さんはそもそも好きなこと同じ服を用意して

日々眺めたり(-自重-)たりするような危険な男ですから、油断は禁物です。


すると愛ちゃんは


愛「・・・なんか、人が少ないところで狙ったように声かけられるんですよね・・・。

でも・・・マオさんがハッキリ言ってくれたなら安心ですよね・・・。」


と、不安を駆り立てるようなことをぼやいています。


・・・ストーカー気質の森さんの手にかかれば

もしかしたら愛ちゃんと二人きりになるなんて造作もないことなんだろうか

と思うとちょっと怖くなり、私はまた、お節介をやいてしまうわけです。


マ「・・・私が返そうか?」



愛ちゃんは何度か、そんなの申し訳ないですと断ったのですが

もし愛ちゃんに何かあったら大変ですから、私は断固として自分がいくと押し切りました。


・・・結局


愛「・・・なんか・・・マオさんに迷惑ばかりかけてすみません・・・

でも正直言うとちょっと怖いなって思ってたから・・・うれしいです。

じゃあ・・・森さんにお返しするのを、お願いしてもいいですか・・・?」


と言って、納得してくれました。



・・・さて。



【MISSION①】

”Loveを森へリバースせよ”



逆サプライズですよ。



重大なミッションをコンプリートしなければならない私は、

とりあえずネックレスをハートの中に封印しました。


・・・一刻も早く、これを森さんの元へリバースせねば・・・!


・・・意気込んではいますが、実際私の休憩時間はもう残っていないですし

いろんな意味で疲労困憊で、ぶっちゃけもう今日は森さんの顔とか見たくないんだよね

という理由で、ミッションは先送りとなりました。


・・・体力と精神力を全快しなければ、ナメてかかると大事故ですからね彼との時間は。







その26へつづく。




ここまできたら中身が気になって仕方ない私は、すぐに愛ちゃんにメールをしました。


マ【テディベアのチョコさあ・・・開けてもいい・・・?】


返信はすぐに来ました。

・・・・・・が。



愛【チョコに罪はありませんドキドキ

どうも食べてくださいドキドキ



ちが!!www



・・・ロッカーの中で激しく吹いてしまった私でしたが

まあ、これも許可は許可だと言い聞かせて

早速ご開帳させていただくことにしたんです。


・・・クリアケースは簡単に開き、私は中からテディベアを

・・・いや、テディベアの持つハートを取り出しました。



金の文字でLove・・・と書かれたハートは、手に持ってみるとやはりプラスチック独特の質感で

簡単に開閉できるように縫合部分に溝が掘られていました。


ドキドキしながら、溝に爪を立てると


パカ・・・

という小気味良い音とともにハートが横に割れました。


そして


シャラ!!!


という、華奢なチェーンの音を響かせながら私の手のひらに生まれたのは・・・



・・・ネックレスでした。




・・・まあ予想はしてましたよ。

アクセサリーショップのシールが貼ってましたしね。


ても、それにしても、勝算のない相手にネックレスはどうなんだ・・・

と軽く引きながら私は鎖を持ち上げて、ネックレスのトップの部分を見ました。


細いチェーンの先にぶら下がっているのは、ほんの1センチほどの楕円形のプレートでした。


そして、くるくる回るプレートを指でつまんだ瞬間


私の目に、なんだか記憶に新しいあの衝撃が舞い戻ってきたんです。


・・・プレートに書かれた文字は



”Love・・・”




マ「ヒィァア!!www」



これは・・・・・・・・・・!


これは、いくらなんでもナシじゃないだろうか・・・・・・!


・・・込み上げる悪寒と少々の笑いで押しつぶされそうになりながら、私は何度もネックレスを観察しました。


・・・Loveの中から・・・・・・



Love・・・・・・・・wwwwwwww


このマトリョーシカ顔負けのプレゼントは

間違いなく、森さんの


ファイナル・ウェポンであり


森☆サプライズです。



森☆サプライズにまんまとサプライズしてしまった私は、しばし固まりました。


まさか彼がこんな余力を残していたなんて 。


・・・しかし、このプレゼントセンスは一体どうなんでしょうね・・・。


若い仲良しカップルがノリで贈るような可愛らしいプレゼントも

森さんの手にかかるとひとりの女(私)の生命力を根こそぎ持っていくほどの威力があります。


・・・もう森さんは、私たちには到底太刀打ちできないレヴェルへと進化しているんです。


・・・とりあえず私は結果報告のために、愛ちゃんに電話をかけることにしました。



愛「マオさんドキドキお疲れ様です!」


可愛く電話を取った愛ちゃんに、即座にテディベアのチョコの話題を持ちかけました。


マ「あのハートの中にさぁ・・・

森☆サプライズが混入していたんだけど・・・」


愛「・・・ん?サプライズ?って何ですか・・・?w」


わずかに動揺し始めた愛ちゃんに私はハートがチョコではなくケースだったことを話しました。


愛「気づかなかった・・・!

で?中身はなんだったんですか・・・?」


マ「ネックレスだよ・・・!」


愛「えぇ!!?」


マ「Loveって書いてる・・・。」


愛「・・・えぇ・・・!?w」


マ「ラブ・・・・・・・・!」


愛「やだ!!怖い!!w」


マ「ラブ!!!!」


愛「あははははwww」


・・・なんか、のんきに盛り上がりました。






その25へつづく。


マ「・・・あれも、友達として?」


森「・・・・・・・・・てかさ。

●●ちゃんなんで知ってんの・・・?

愛ちゃんから見せてもらったの・・・?」


友達として?という疑問になかなか答えない森さんから、質問をかぶせられました。


マ「・・・見せるも何も・・・

愛ちゃんロッカーに置いてますもん。

森さんから貰ったチョコ。」


淡々と残酷なことを言ってのける私。

・・・しかしこれまでの経験上、森さんにはハッキリ言わないとわからないんです。


森「チョコ・・・・・・・・・・・・と一緒に・・・?」


マ「はい?」


森「くまのやつも・・・チョコと一緒に・・・・・・?」


マ「ん?はい。 だってあれもチョコでしょ。」


森「チョコ全部一緒に置いてるの・・・?」


マ「はい。おかげでロッカーが多国籍軍のコミューンみたいになってますけど。」


森「・・・。」



・・・森さんが何に疑問を持っているのかわからなかったので、

とりあえず聞かれるがままに答えた私でしたが・・・


森さんは黙ってしまいました。



しばらく沈黙が続き、様子がおかしい森さんの出方を伺っていると

森さんはみるみる顔色を失って


森「・・・まあ・・・●●ちゃんの言うことはわかったよ・・・。

俺自社に戻るね・・・。」


と、呟きました。


十数分前に八橋を食べていたときの森さんとは別人のようでした。


マ「・・・あ・・・はい。」


私も微妙な返事をしてその場を去り、何か引っかかる・・・

と、考え込みながら階段を下りました。


・・・なんなんでしょう。

Loveのチョコの辺りは動揺しすぎですよ彼は。



それから私もデスクに戻り、妙な引っかかりが取れないまま

・・・なんとなく考え込んでしまいました。


Loveか・・・

やたら敏感に反応してたよなぁ森さん・・・

微妙にショックを受けてたような・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・ん?



マ「まさか・・・・・・!」


嫌な予感が頭を巡ります。


まさか・・・

森さんまさか・・・・・・・・・


盗聴器とかCCDカメラとか仕込んでないだろうな・・・・・・・・・!!


彼ならやりかねん!!


と、失礼なことを妄想しながら私は急いでロッカーへと向かったんですが

まあでも、盗聴器入れてたら、チョコ食べたときバレルじゃないか・・・・・・w


と、ロッカーに入る手前で気づいてしまったので、ちょっとだけ勢いを失いました。



まあでも、とりあえずロッカーにきたし、あのLoveのチョコに森さんが異常な反応を示したのは確かだし

一応もう一回あのチョコを見てみよう・・・

と、私はロッカーに入って、大量の森☆コレクションの中からテディベアをつまみ上げました。


・・・まあ、ほかのチョコに比べてやや高級感はありますよ。

クリアケースにラメで可愛い装飾もしてますし。


・・・どこで買ったんだろう?


・・・ふと疑問に思い、箱を裏返す私。



マ「・・・・・・・・・・・え?」


つい、声が漏れました。


裏に貼られたのはいわゆる品質表示ではなく

どこぞの・・・


ジュエリーショップのシールだったんですよ・・・。



・・・え?コレはチョコだよね?

と、とっさに顔を近づけてみましたが、確かにチョコの甘い香りがします。


アクセサリーショップがチョコ・・・?


疑問を感じながら、今度は正面からテディベアのチョコを観察してみました。


チョコで精巧に作られたテディベア・・・

の、両手に抱えられた真っ赤なテディベア・・・

に、Love。


マ「・・・ひどいなコレwww」


・・・独り言をぼやきながら、目を離そうとしたまさにその時。


ついに、私は異常に気づきました。



ハートの部分は・・・


チョコじゃない・・・・・・・・・・・・!



マ「え・・・・・・・・・・・・?」


・・・自然に独り言も漏れます。


・・・よくよく見ると、赤いハートの素材はチョコではなく

表面をツヤツヤに加工したプラスチックjか何かのようです。


真上から見ると、横に一本、縫合の跡が見られます。


これは・・・・・・・・・。


中にきっと・・・




な に か あ る wwwwwwwwwww



ドキドキそわそわゾクゾクしてきました。







その23へつづく。

前を歩きながら、チラッと後ろの森さんを確認すると

森さんはニヤニヤしながら着いてきてはいたんですが、改めて彼の服装を見ると・・・


マ「今日は・・・これからパーティーかなんかですかw」


と、つい突っ込んでしまうようなお召し物を召されておりました。


・・・サバのお腹のようなテカテカした色・素材のスーツ。

しかも、かなり細身。

その中に、なぜかロック調のTシャツ。


森「・・・なわけないじゃんw

はやってんだよ知らないの?!」


マ「・・・メンズはちょっと・・・」


しぶしぶ考えながら、心の中でそぉっと呟きました。


”ださい・・・”



久々に”ださい”という単語を使って、自分でちょっとツボに入ったんですが何とか耐えて


・・・まあ流行ってるんならいいか・・・

たとえ似合わなくても・・・。


と、思い直し

ようやく私と、ややこしい新郎のような森さんは階段踊り場へ到着しました。


マ「愛ちゃんに関わるの辞めてもらえます?」


・・・いきなり全力投球する私。


森さんは一瞬怯んでいましたが、すぐに両手をパンツのポケットに突っ込んで、余裕の笑みを浮かべました。


ただでさえ細身のパンツが両手によってさらに圧迫され

無数に出来たシワが乱反射の光彩を放ち

これはまさか太陽券かと突っ込みたい衝動に駆られました。


・・・でも突っ込みません。

話が長くなるから。



森「待ってよ●●ちゃんw 俺もう全然関わってないし・・・。」


余裕のスマイルです。


マ「・・・愛ちゃんの一人のときを狙ってプレゼントしてるでしょ?

・・・愛ちゃん困ってますから・・・。」


・・・プライベートでどのような女性にどんなアプローチをしようが自由ですが

私が問題にしているのは

”勤務中”

そして

”断り辛い主従関係”

ですよ。


・・・いや、森さんに雇われているわけじゃないんですが

森さんは取引先の上司ですから、断り辛い状況は同じです。

それを解っていての行動派場合によっちゃパワハラですからね・・・。


森「何で困ってるの解るの?w

困ってるなら本人が言ってくればいいじゃない。」


マ「困ってるのは見てたらわかりますよw

あと、言わないんじゃないです。言いにくいんです上司だから。」


森「じゃあなんで●●ちゃんはハッキリ言うんだよw」


・・・低レベルな喧嘩のような剣幕になってきました。



マ「・・・うーん。

責任者だから・・・?ですかねw

愛ちゃんのためです。」


森「なにそれw 俺悪者見たいじゃん・・・。」


・・・いや・・・

悪者だなんていうつもりは無いんですよ・・・

今はただちょっとストーカーなだけですからwww


マ「悪者ってか・・・

困らせていたらいずれ悪者になりますよ・・・?」


森「てかさ・・・。 友人としてプレゼントもいけないの??」


マ「友人として・・・?」


森「チョコでしょ? 別に深い意味は無くあげてるだけだよ。」


森さんどんどん食い下がります・・・。

もう意地になってる感じが伝わりました。


でも。


私は年上を、甘やかしません。



マ「・・・友人として・・・ですか・・・。」


森「そうだよw 文句言えないでしょ。」



マ「”Love”も?」


森「!」


森さん、一瞬の隙を見せました。


マ「”Love”も?」


デジャヴのように繰り返す意地悪な私。



森「ら・・・Loveなんて書いてた?」


急激に必死になる森さん。


吹き出す汗はもう坦々麺のせいではないはずです。


・・・彼は”Love”に、想像以上に過剰な反応を見せました。


マ「いいやw書いてたでしょ・・・」


森「え・・・?覚えてないかも。」


マ「くまの持ったハートにラブですよ!?」


森「●●ちゃん・・・声が・・・」


マ「チョコのくまがハートの・・・!

森「あーうんわかった思い出した思い出した」


森さん観念したようですww






その23へつづく。



森さんは私を見つけると、あからさまに驚いた様子で手が止まりました。


マ「・・・・・・・・・。」


森「・・・・・・・・・え・・・・・・・・・?」


生八橋がぷるぷると震えています。


マ「・・・生八橋は・・・

喫茶店のメニューにありませんよね・・・。

持込するならどこか違うとこで食べた方がいいんじゃないですか。」


とりあえず、生八橋から先に突っ込みを入れました。



森「え・・・・・・?

ああ・・・はは・・・・・・いや今食後でね・・・

さっきまで喫茶店のメニュー食べてたのよ。

あの、ほら、坦々麺・・・。」


坦々麺のあとに、生八橋。


この食べ合わせの悪さを先に30分くらい責め倒したい気分になりましたが

今はそこじゃない。

この喫茶店のメニューも変わってるけどそこ突っ込むのも今じゃない。

落ち着け私。


と、なんとか持ちこたえました。



森「ここのさ・・・坦々麺って初めて食べたんだけどさ、うまいよ!!

中国四万年の味って感じだw」


”四千年ですよ”なんて、絶対に突っ込んであげたくないほどにつまらないジョークでした。


マ「・・・今度、食べてみます。」


森「いやいや!●●ちゃん!!

いまの突っ込むところだからwww

四万年って言ったのわかった!!?」



お前の話は、つまらん!!!!!!


と、大滝秀治にターボエンジンを搭載して、叫んでいただきたいものだと、切実に思いました。



マ「そんなことよりお話があるんですが。」


・・・すべてをスルーする私。


森「・・・何?? 告白とか?w」


マ「・・・・・・・・・。」


お前の話はつまら(ry


我慢です我慢。


すぐに減らず口をたたけぬようにしてやるわ・・・!

と、ちょっとキャラと違うことを思いながら


マ「告白ではありません。 今いいですか?」


と、淡々と詰め寄りました。



森「・・・なんだかただ事じゃない雰囲気だけどw

俺なんか●●ちゃんを怒らせるようなことしたかな?」


・・・さわやかに笑っているつもりでしょうが、おそらく淡々麺のせいで顔面がてかてかにテカっています。


マ「怒っているわけじゃないです。 お願いがあるんです。」


・・・私たちの間には変な空気が流れていたので、少しづつ注目を浴び始めました。


森「わかったわかったw

・・・まあちょっと場所変えようw ね?」


・・・まるで困った子供をあやすような、

そうすることで自分は少々のことでは動じない大人だと周囲に思わせるような

この作戦は、以前にも書きましたが、私が最も忌み嫌う森さんの得意技です。



マ「愛ちゃんに関わるのやめてください。」


森「ちょ・・・!w ●●ちゃん!場所変えようってば!w」


・・・一気に視線を集めましたが、これは先ほどの森さんの作戦に対する報復ですw


女性従業員たちやお客がクスクスと顔を見合わせて笑う姿が色々なところで見られます。


・・・その女性たちの様子を見る限りでは

”あの人またモメてるよw”的な雰囲気が見て取れたので

私は植松さんの内戦での一言を思い出しました。


”また、女関係のゴタゴタか”


あの時はスルーしましたが、森さん職場で一体何やってんだよ・・・

と、哀れな気持ちになってきました。


マ「・・・わかりました。

じゃあ会社の非常階段のところに行きましょうか。」


・・・ぶっちゃけ場所なんて変えても人がいないところなんてあんまり存在しないので

私はとりあえず比較的静かな階段を指定して歩き始めました。


申し合わせてその場から去って行く私たちを、

女性数名がこっそり指を差しながらニヤニヤ笑ってみています。


”見て見て!森さんまた違う女とゴタゴタしてるわよ”


・・・差し詰め、そんな感じでしょうか。


・・・私は、そんな女性たちをチラリと見てから心の中で

・・・このオッサンを欲してモメてるんじゃない

・・・このオッサンがいらなすぎてモメてるんだ。


と、目で訴えました。

・・・なんとなく、伝わった気がしました。






その22へつづく。


・・・ところで

一方こんな目立つところにこんな爆弾を放置している愛ちゃんは

私に突っ込んで貰うことを懇願しているに違いないと勝手に妄想した私は、

早速愛ちゃんにメールを送りました。



マ【Lovewww】


それに対する愛ちゃんからの返信は


愛【おなかすいたらどうぞ(はぁと)】


・・・この子ちょっと慣れてないか?w

と、ストーカー慣れした愛ちゃんに一抹の不安を覚える私。


いやいや慣れたら森さんの思うつぼだし・・・


私は早急になんとかせねばと決心を固めました。



・・・しかしまあ、現実というのはなかなか上手くいかないもので

その日の休憩中は必死で森さんの捜索に当たったものの成果はなく

森さんって本当にうちの取引先なんだろうか・・・w

と、不安になるほど姿を見かけなくなって。

しかしながら

私が外出の日には愛ちゃんのチョコレートコレクションが微妙に増えていたりと

姿を見せなくても圧倒的な存在感だけは残す彼に

私は少々苛立っていました。


・・・ちなみに、その時の愛ちゃんのチョコレートコレクションは

リボン、テディベアに続き

雪ウサギ型、ペンギン型というラインナップで

ロッカーがまるで

「シルバニアファミリーかよww」という状態でした。


しかし、愛ちゃんをどんだけチョコ好きだと思ってるんでしょうか森さんは・・・。


戦後の子供じゃあるまいし。



しかし何故こんなにも遭遇しないのか・・・。

あまり関わりのなかった頃は女の子の多いうちの会社を

「またお前かww」

と言いたくなるほど見かけたというのに。


私はついに、この会社の中でも仲の良い、

植松さんというお父さん的キャラの上司に聞いてみることにしました。


ちなみに植松さんは偉い方で

社内をウロウロと歩いてらっしゃることはほとんど無いので

私は、本来私用での使用を禁止されている内線電話を使いました。


植「おー●●ちゃんか!お疲れ!どうした?」


ちなみに、偉い人なのに気さくに電話を出てくれる植松さんは

高齢ではありますが女子から絶大な支持を得ています。



マ「あ、植松さん。森さん知りません?」


植「・・・まさか用事はそれだけかお前w」


マ「事件なんですよwww」


・・・私だって植松さん以外にはこんな失礼なこと出来ませんがw

彼は本当に社内のどのスタッフに対しても

いつも優しいので私用電話が殺到しているという噂です。


植「・・・面白そうだなw しかし森ってどの森だ?」


マ「ナルシストでパーマの森さんです。」


植「ああw ●●●(取引先のブランド)の森かww」


・・・”ナルシストでパーマの森”で通じてしまう森さんって一体・・・ww


と哀れに思っていると、植松さんは意味深な一言を言いました。


植「・・・また女関係のゴタゴタか?」


マ「・・・・・・・・・また?w」


またって・・・w



植「まあ気にするなw

●●●(森さんのとこのブランド)は最近仕事が無いからなぁ。

社内で見かけないか?」


マ「・・・それが全然・・・。」


植「・・・おかしいな。

お前が避けられてるんじゃないのか?w」


・・・・・・ちょっとした衝撃が走りました。

私はなぜ気づかなかったんでしょうか・・・。


あんなにウロウロしてたはずの森さんが、いきなり姿を消したのは

森さんが私を避けていたからですよ・・・ww


マ「なるほど!w 植松さんありがとう!!」


電話を切って、私はちょっと笑いが込み上げました。


彼は、私の行動パターンを完璧に読んで遭遇しないようにしているんです。


・・・敵とみなされたんでしょうw


そして、確かにあれ以来一度も会っていません。

見事です。


・・・この狭い社内で私の行動パターンを完璧に読んで避ける技術・・・


完璧に、彼にはストーカーの資質がありますwww



ずっと不思議に思っていたことが解決すると、私は少しずつ笑いが込み上げてきました。


・・・これまで、私に影のひとつも掴ませなかった森さん。

その技のクオリティは認めます。


だけど、カラクリを知ってしまった私からはもう逃げられないし、逃がしませんよ。


・・・勝負じゃ森ソバ・・・!


無駄に熱くなった私が、いつもは行かない15時ごろに近くの喫茶店を訪れると

一番手前で森さんが生八橋を喰らっていました。



はえーよ見つかるのww


と、声が出そうになりました。






その21へつづく。



そんなことを考えていると、愛ちゃんが休憩から帰ってきました。

愛ちゃんはまた微妙な顔表情で、私を遠くから見つめています・・・。


マ「どうした・・・?」


と恐る恐る聞くと、愛ちゃんは言いました。


愛「ついさっき・・・非常階段で森さんとすれ違って・・・

その時・・・まぁちょっと話しかけられて・・・

別れ際にコレ貰いました・・・。」


愛ちゃんの手のひらには、かわいらしいリボンの形をしたチョコレートが乗せられていました。


・・・森さん・・・

ついさっきうなだれて帰っていったはずなのに・・・

なんという回復力・・・・・・!


そして油断もすきもねぇ・・・w


・・・私は改めて敵の強靭さを目の当たりにしました。


彼の回復力はナメック星人並。

戦闘力はフリーザ並。


関係ないけどビジュアルはサタン並・・・!


勝てるの?ねえww

と、自問自答を繰り返す私。



なんとかせねばという気持ちはどんどん強くなるものの

森さんのこれまでの数々の行動を思い起こすと、どうしても不真面目な笑いが込み上げる私。


・・・しかし、愛ちゃんは真剣に困っていますし、かなりのストレスになっていることは一目瞭然なので

やはりいつまでも傍観しているわけにはいきません。


・・・そんなことを考えていると、その日の夜、ミカからたまたまタイミングよく


【あれからあのストーカーおっさんどうなった?ww】


というメールが届いたので、私は相談しようとミカに電話をかけました。


ミ「電話かかる予感がしてたww」


というミカに、少々大袈裟に森さんの数々の奇行を話すと

とりあえず、ひたすら大爆笑していました。



マ「もう笑い事じゃないんだけどwww」


と笑いながらも笑いの漏れる私にミカは


ミ「まぁ・・・人の恋路を邪魔するのは野暮だけどさ・・・

このままじゃ愛ちゃんもキツイよねー。

とりあえず森さんに”最低限、勤務中は抑えろ”くらい言ってあげたら?

教育係として。」


と、珍しく真っ当な意見をくれました。


マ「・・・そうだね・・・。

このままにしてたら森さんは性犯罪に走りかねん・・・。」


ミ「性犯罪!!ww」


ひとしきり笑いましたが、あながち冗談にしきれないなと苦い感情が込み上げる失礼な私。



ようやく森さんにハッキリ言おうと決心の固まった私でしたが

わざわざ呼び出すのもちょっと嫌だな・・・

と躊躇う気持ちもあり


偶然会ったときに・・・という展開を期待しながら

翌日から、休憩を近くの喫茶店で取ることにしました。

※いつもは自分のデスクでとったりとかが主です。


・・・しかし、会いたいときには全く気配のない森さん・・・。


こっちが避けてるときは神出鬼没なのに

会いたいときは固焼きソバの麺一本すら発見できないこの現状。


身を潜めて何か良からぬことを考ええるんじゃないだろうか・・・

と、失礼な憶測をしながら、数日たちました。



そんなある日。


愛ちゃんが出張の日に、出勤して何気なくロッカーにバッグを置いたとき

ふと、あるものが目にとまりました。


・・・愛ちゃんのロッカーの上辺りに、違和感を放ちながら放置されている物体二つ。


・・・ひとつは、以前愛ちゃんが森さんから貰ったリボン型のチョコレート。

※放置されています。


そしてその横に、ありえないほどの存在感を醸しながら鎮座するのは

透明な箱の中に入ったテディベア型のチョコレート。


テディベアの両脇にはハート型の赤いチョコが抱えられ

そこに書かれた文字は・・・



「Love・・・ドキドキ



マ「ゥヒィァ!!!!www」


ありえないような悲鳴をあげる私。



マ「ラブ!!!wwww」


そして復唱する私。


・・・これは・・・


森さんからの新たな贈り物に違いない・・・!

じっちゃんの名にかけてそうに違いない・・・!


笑いと恐怖が込み上げました。



いや・・・これはマズイ・・・w

私の心が激しく不安を訴えています。

自分にあからさまに気のない相手に贈り物をするという行為も、もはや尊敬に値しますが・・・

それに加えて

”Love・・・ドキドキ

・・・彼は勇者です。

そうそう出来ることではありません。

テディベアの入った箱を右から左から舐めるように観察しながら

もう潮時だよ森さんww

と、心の中で訴えました。





その20へつづく。



マ「あぁ・・・はぁ・・・まあ・・・・・・聞きました・・・w」


曖昧に返事をすると、森さんは、食いかかってくるかと思ったんですが・・・

なんだか肩を落として落ち込んでしまいました。


森「・・・迷惑とか言ってた・・・?」


・・・突然のしおらしい態度に逆に動揺の収まらない私は


マ「え・・・?w まあはい・・・・・・いや(・∀・;) ・・・さあw」



と、良くわからない返事をしました。


・・・読めないんです・・・

この人が今何を考えて、何を狙いにして、こんな態度になっているのかが。


・・・冷静に考えりゃ好きでもない相手が自分と同じ服を壁にかけて

毎晩眺めてるなんて普通に気持ち悪いだろww


・・・と思うのですが、たぶんこの人、それがわかってないんです・・・。



どうしたらいいのか決められずにオロオロしていると、また森さんは質問をしてきました。



森「・・・もし●●ちゃんだったら・・・嫌かな・・・・・・?」


マ「え?ww」


浴びせられる森・クエスチョン。


私も本人を目の前にして”嫌です”なんて即答はさすがにしづらく

しかしながら、ここでハッキリと言わないとこの人はまた繰り返すかもしれない・・・。

と、葛藤する私。


・・・愛ちゃんのため・・・

そして今後の森さんのため・・・


と、私は自分をひたすら正当化して、ついに言いました。



マ「えーと・・・

なんていうか・・・

ちょっと気味が悪いですね・・・。」



・・・想像以上に見も蓋もない言葉が勝手に口から出ていましたww



・・・・


水を打ったかのような沈黙。


・・・気味が悪いはもしかして言いすぎだったかもしれない・・・と、

かなり経ってから手遅れなことを考えましたが

もうどんな言葉を駆使してもフォローは無理なので、私はひたすら黙っていました。


すると、いきなり森さんは顔を上げて


森「あ・・・・・・あら・・・・・・・・?」


と小さい声で言いながら倉庫を見渡し始めたんです。



マ「・・・・・・・・・大丈夫ですか・・・?」


”どうかしましたか?”よりも”大丈夫ですか?”の方がしっくりくるなぁと

様子がおかしい森さんを見ながらやや失礼な問いかけをする私。



すると、森さんはゆっくり視線を倉庫一周巡らせながら


森「あの・・・愛ちゃんが着てたワンピースは・・・・・・・!?」


と言いました。


あーあーあの森さんが汗ばんだ手で引っ張ったせいでシワシワになったあのワンピースね。

と思い当たり


マ「今お・・・・・・」


・・・奥にかけてますと正直に答えそうになってギリギリで思いとどまる私。


マ「・・・・・・・えーと、撮影で持って行っちゃいました。ちなみにあれラスト一点で。」



・・・嘘をつくとき目が極端に泳ぐマンガのような私を知る人間なら

一発で嘘だとバレるような怪しい言い方になりましたが

森さんは気づかずに


森「・・・・・・・まじで・・・!?」


と、顔色を変えました。


マ「・・・・・・・・・えーと・・・はいw」



相変わらず怪しい私でしたが、心の中は案外冷静でした。


・・・地味にショックを受けている森さんを見ながら

気味が悪いとまで言われてもなお、

あのワンピースを購入しようというバイタリティは一体どこから沸いてくるのか・・・


と、さらに恐怖を感じながらも、彼の(変態の)ポテンシャルは計り知れんな・・・と

関心に近い感情が込み上げてきました。


森「・・・・・・撮影・・・か・・・。

・・・もう店頭にはないかな・・・・・・・・。」


マ「・・・ないでしょうね・・・」



調べもせずに即答する私。



森「・・・・・・どこかにあるんじゃないの・・・?」


マ「てか・・・・・・買うんですか?」


森「・・・・・・・。」


私の質問には、”ここまで言われても買うんですか”という意味合いを込めていました。


森さんは珍しくそれを察知したようで、黙り込んでしまいました。


てか・・・ワンピースを奥に引いてて本当に良かった・・・ww

と、密かに安堵しながらも私は

この、うちの会社に居座るアラフォーソバ頭にどうやってお帰りいただくかを真剣に考えていました。


すると、ソレを察したのか森さんは


森「・・・とりあえず今日は戻る・・・。」


とつぶやきました。



私は


マ「あ・・・はい・・・。」


と言いながら、今日は・・・ってことはまた来るってことだよなぁ・・・

と、呆れに近い気分でため息をつきました。


正直・・・・・・私も・・・・・・・・・・・・


もう森さん怖い・・・ww


しかしながら、私が戦闘意欲をなくしてしまえば愛ちゃんは・・・・・・。


・・・そう考えると、もういい加減森さんをからかってる場合じゃないなと、私も少々決意を固めました。


これ以上ストーカーぶりに拍車がかからないうちに、ダイレクト攻撃をお見舞いせねば・・・・・・・!



・・・これまでも散々ダイレクトに伝えたような気もしますが。








その19へつづく。