家のピアノ教室では、春と秋と年に二回の発表会を行っている。春の発表会は、アメリカの学校の春休みのイースター(復活祭)がある四月の初旬を避け、夏休みに入る五月末の前に行うことにしている。今年の春の発表会は予定していた5月の初旬にはリサイタルホールを取ることが出来ずに4月の中旬に開催することになった。基本、その時に練習している曲を発表する、人前演奏の機会という性質の秋の発表会と違い、春の発表会は「公式」発表会としていて、しっかり準備、基本暗譜して、望むことになっている。

 

ようやく発表会の日時が決まったのが、一月の中旬で、それ以来、それぞれの生徒に、どの曲を弾かせるかなどを考え、生徒達と相談をしていく。殆どの生徒たちが、ソロ曲と連弾を弾く予定なので、生徒のレベルや、重複がないように考える。だいたいの生徒が、私が幾つかの曲を提案すると、その中から選ぶのだけど、一人の生徒は、どれもこれも気に入らない。その子は、いつも発表会の曲にこだわるので、そこまでは「まあ、いつもの事だな」と思っていた。

 

我が家では、ピアノの部屋にピアノの楽譜が沢山ある本棚があり、日本の子供達より奔放なアメリカの子供たちは、本棚から勝手に楽譜を取り出して見たりすることもよくあり、私もそれは黙認している。今回の発表会の曲選びに手こずった子も、私の本棚から色々な本を取り出してペラペラと中を見る。

 

取り出した本の中には、初級者の上くらいのレベルで弾けるディズニーの曲の連弾集がある。その中には、その子のレベルで弾けそうな曲が数曲あり、その子は、その中の一つを選んだ。発表会の日も迫っていることだし、そこで楽譜をコピーして渡したかったのだけど、楽譜はコピー用紙より一回り大きいので、コピーすると楽譜の端が切れてしまう。その子のレッスンは終わりの時間で、次の生徒のレッスン時間になってしまったので、コピーは翌週のレッスンまでにしておくという事で、その日のレッスンは終わった。

 

そして、レッスンの無い空き時間に、本の一ページの楽譜を二つに分けてコピーを取り、余白を切り取り、楽譜の部分だけを一ページに張り、もう一度コピーをするという、結構面倒な作業をして、その子用のプリモの楽譜と、私用のセコンドの楽譜を作成した。

 

その作成した楽譜を、その子に次のレッスンで渡して、早速練習に取り掛かろうとすると、数小節弾いて、ちょっと躓いたその子は「この曲は辞める!」と宣言するではないか。子供質は、概して、ちょっと壁にぶつかると諦めて「出来ない」という事がある。そういう時、私は「思っているほど難しくはないから(その辺はちゃんと私がレベルを見極めている)ちょっと、やってみようよ」と少々進むと「ほんとだ、直ぐ弾けるようになった」となるのだけど、その子は頑として「やりたくない」を貫き、全く譲らない。

 

私は「もう!!どれだけ手間暇をかけて、あなたの為に楽譜をコピーしたとおもっているの!」と言いたくなったけど、それを言うのは、少々大人気ないと、折角コピーした楽譜はボツとなってしまった😢