今回の南極クルーズは一年半程前から予約を入れていた。それでも、私たちの第一希望の日程はもういっぱいで、第二希望の日程のクルーズとなった。
「南極」という、一般人が旅行先として選ぶには、まだまだ珍しく、特殊場所へのツアーという事で、ツアー会社では、興味のある(予約前の)お客さん向けに、ビデオ会議で説明会を行ったり、予約を入れたお客さん向けのオリエンテーションもビデオ会議で行っていた。そのオリエンテーションで、ツアー中には南極の海で寒中水泳をする機会があるから、水着を忘れずにという説明があった。
私は、ニュースなどで寒中水泳をしている人を見ると、気が狂っているのではないかと思ってしまうのだけど、人生に一度となるだろう南極旅行では悔いを残したくないので、現地で寒中水泳をやってみようと思えた時に備えて、水着(それでも、普通の水着の様に露出の多い物ではなく、ダイビングの時に着る長袖、長ズボンの水着)を荷物に入れていった。
クルーズが始まっても、寒中水泳の話は全くなく、私も説明を受けたことや、水着が荷物に入っていることさえ忘れたころに「明日の午後、寒中水泳をしますので、是非皆さんやってみましょう」という知らせがあった。このクルーズの寒中水泳は「水泳」というより、船の桟橋(?)から海に飛び込む{ポーラー(極点)プランジ(飛び込み)」というもの。水に浸かっているのは、多分数秒だろう。
知らせがあった夜から、翌日のプランジに参加するかどうしようと迷っていたけれど、当日の午前中の上陸で一緒になったるツアーガイドさんに「絶対にヤダと思うならやることはないけど、迷っているのだったらやった方がよいよ」と言われたこともあり、私も(そして、まだまだ迷い気味の私に付き合うと言い出した)旦那も南極の海に飛び込んでみることになった。
集合場所は、毎日ゾーディアック(ゴムボート)に乗り降りする桟橋で、飛び込める状態で集合とのことだったので、水着一枚で行くと、開いたドアから寒気が入ってきて寒い。水の中はもっと冷たいのかも、、と怖気づいていたけれど、前に飛び込んだ人たちが「思ったより、冷たくなかった」などと言っている。
海に飛び込んだは良いけど溺れてしまったという事故を防ぐための安全対策として、腰回りには浮き輪のような物を付け、浮き輪には紐が付いている。私の順番が回ってきて、その安全装置を装着してもらった。それでも、船上でも寒いのに、水の中に飛び込んだら、どれだけ冷たいのか、、と少々怖気づきながら、前の人が水から上がって、帰って来るのを待ち、スタッフさんに「次の人~」と呼ばれるのをまっていたのだけど、なかなか呼ばれない。
でも、呼ばれるのを待つ必要はなかったようで、待っていた私に「飛び込まないの?」とスタッフさんが言って来た。私の前の方は、橋の端まで歩いて行き、そこから一歩踏み出して、ちょこんと落ちたという感じで、とても「しょぼく」見えたので、私は、ちゃんと助走をつけて飛び込むことにした。
そして、意を決して走り、飛んだ。
