南カリフォルニアの気候は温暖だというイメージがあるし、四季のはっきりした日本に比べたら、一年中冷房暖房がなくても過ごせる気候と言うのは温暖なのかもしれない。温暖な気候自体は暮らしやすいけれど、冷暖房の漏れや、隙間風予防がおざなりになり、家の建付け悪くなるのが困りものだ。ドアの周りは微妙な隙間が空いているので、隙間風はびゅうびゅう入ってくるし、そういった隙間から虫が入ってくる。小さい蟻などは、目に見える隙間からだけではなく、目には見えないような柱と壁の隙間等からも入ってくる。私は虫の類を「怖い」ということはないので、虫が入ってきても「ああ、またいるな」位だし、手でつぶしたり、蔓延しそうな時は、虫退治の毒ベイト(餌)を置いたりする。
先日も、夜、お手洗いに入り、電気を付けたら、部屋の真ん中にGが鎮座していた。アメリカのGはとろいので、電気をつけても、あまり音を出さないようにゆっくりと動いても、逃げていくこともない。そろそろとトイレットペーパーを手に取り、上からバンと手でたたいて、潰した。
そんな私でも、先日、どきっとさせられて、思わず叫んでしまった侵入者が現れた。その日は、車に乗って出かけようかと、車庫に入りながら、車庫の扉を開ける為のスイッチを押した。扉はガタガタと結構大きな音を出して動き始め、ガレージに光が入ってきた。その光で見えたのが、ガレージの壁沿いをササさっと走り抜けたネズミ。野生のネズミ、それも生きて動いているものを見たのは、人生半世紀以上で初めてだったのではないか。
我が家のガレージ(車庫)は、車三台分の広さがあるのだけど、車は二台しか収納しないので、残りの一台分のスペースは、物置スペースとなっていて、ホームセンターで買ってきた組み立て式の棚に、普段使わないものが入った箱が結構ぎっしり置いてある。ネズミは、その棚の裏に駆け込んで隠れてしまった。それにしても、一体どこから侵入してきたのだろうか。いくら建付けが悪いと言っても、ちょっとした隙間を這える小さな虫とは違って、ネズミが侵入するにはそれなりの穴がないといけない。それに、ガレージには食べ物は保管していないし、水気もない。ネズミがガレージ内に留まったら、物陰に隠れて餓死して、腐り始めたりしたら大変だ。
その時は、直ぐに出掛けなくてはいけなかったので、後日「ネズミ退却作戦」を実施することにした。車は外に出した状態で、ガレージの扉(上下に開く)の下10センチくらいを開けて、物陰に隠れたネズミを外におびき出そうというもの。でも、物陰のどこにいるのか私には分からないので、嗅覚が人間の何千倍も良いという犬(我が家のワンコY)を連れてきて、匂いでネズミがいる位置を特定してもらおうと思った。家のYは、お馬鹿さんなので、ネズミを外に誘導するようなことは出来ないだろうけど、見慣れない小動物が物陰に隠れていたら、せめてその辺りのにおいをかいだり、吠えたりはするだろうと思っていた。
しかし、普段はあまり入ることの無いガレージに入ってきたYは「僕はなんでここにいるの」と言うような顔をして、ぼーと突っ立っている。私は「ネズミを探しなさい」と言うのだけど、そんな言葉が分かるはずもない。私の横に立ち、きょろきょろと私の顔を見るだけで、動きもしない。知らぬ間にガレージに侵入していた鼠だから、知らない間に出て行ったのかもと、前に目撃した時に隠れた物置棚辺りを放棄で叩いてみたけれど、棚の後ろでガサゴソと動くようすはない。
これは、やはり退去したのかと、反対側の壁に沿って立っている収納棚の辺りも叩いてみたら、ネズミはそちらに隠れていたようで、ガレージの違う一角(収納棚の裏)に退避してしまった。一度退避して、安全と思ったのか、その辺りでまた物音を立てたのだけど、じっとしていて動かなくなってしまった。
そんなジタバタしている私を横目に、おつむの弱いYは「母ちゃん、一人で何やっているの?」という顔で私を見つめるばかり、ネズミがいることさえ気が付いていないようで、全く役に立たなかった。
追い出し作戦に失敗した後、これはネズミ捕りを仕掛けたほうが良いだろうと、生け捕りに出来るネズミ捕りを購入してきて、車庫に置いたけれど、数日たってもネズミは罠に掛かっていない。車庫の中で、飲まず食わずで何日もいたら、お腹がすいて、ネズミ捕りの中に置かれたベイト(餌)に飛びつくような気もするのだけど。ガレージからの追い出し作戦失敗後も、数時間はガレージの扉を開けたままにしてあったので、その隙に外に逃げたのだろうか。
