私のお教室通ってきている、もう一人のシニアの生徒さんのレッスンでも苦戦している。

 

もう、二年半レッスンに通ってきているこの方の現在の最大の課題は「片手ではちゃんと弾けるのだけど、両手になると途端に弾けなくなる」ということ。ヘ音記号とト音記号の楽譜を同時に読み、右手と左手それぞれに違う指令を脳から送るという作業に時間が掛かり、曲の中で難しい箇所になると、拍のテンポで弾けず、不自然な休符が入っている演奏になってしまう。

 

レッスンを始めたころは「両手を動かすことに慣れてくれば出来る様になるだろう」とそこまで重要な課題として取り組んでこなかったのだけど、一年たっても、二年たっても、慣れてこない。これは根本的に何か問題があるのではと、色々な練習法を試してきた。しかし、この方も指導をしっかり聞いていないか、記憶出来ないのか、何度も同じことを繰り返す。

 

たとえは、両手で弾いていて、弾けない箇所が出てくると、そこを片手で弾いて「片手だと出来るんだよ」という。私が「そうですよ。だから、弾けないからといって、片手練習をしても、両手では弾けるようにはならないから、両手で弾く練習にフォーカスしないと」と言っても、片手練習をずるずる続ける。大人の生徒に「こういうう風にしないとダメ」と何度も繰り返すのも、子供扱いしているみたいになって嫌なので、練習法の「強制」みたいなことは避けてきたけど、全く上達しないし、本人もイライラするようなので、最近は練習法の強制度を強めて、私が言ったようにやらない時は、何度もやり直しをさせていたら、最近は色々なところで進歩がみられるようになった。

 

そして、ここ半年ほど取り組み始めたのが音階練習。今まで使ってきたバーナム教本にもハ長調の一オクターブのエチュードは出てきて、それは弾けるようになった(結構時間が掛かったけど)ので、二オクターブの本格的音階練習に入った。初めはハ長調で、それなりに出来る様になってきた。完全ではないけれど、♯のつく長調の指使いは同じだから、ト長調に進んだ。初めての黒鍵の音階で少々戸惑ったけれど、何とか音階っぽくなってきたし、もう1~2か月もト長調に取り組んだので、二長調に進んだ。

 

しかし、ここで躓いてしまった。黒鍵を弾くタイミングと、指くぐり(右と左とで違う時)のタイミングを同時に頭の中で同時にプロセス出来ないようだ。ここでも、片手づず弾いて「片手だと出来るんだよ」と、またもや同じコメント。私の答えも「大抵、何でも、片手だと弾けますよね。片手練習するのではなく、兎に角両手で弾くことを考えないと」というのだけど、いつも元の木阿弥。私には、音階が出来る様になるには、兎に角慣れることだと思っているのだけど、他に何か良い練習法があるのだろうか。良い対策が浮かばなくて、困っている。