先日、何かの拍子に、私がいつもブロードウェイミュージカル(のアメリカ巡業公演)を見ている劇場で、バレエ白鳥の湖が上演されるという情報をキャッチした。公演があるのが、ちょうど旦那が出張でいない日で、そういう時には一人で観劇に行くのが慣例となっている私は、この上演を観に行くことにした。舞台を見るのにちょうどよい、メザニン(中二階)の前の方のチケットが取れた。

 

 

私は子供の頃にバレエ教室に通っていた。自分ではあまり好きではなかったのだけど、生真面目な私はサボることもなく毎週レッスンに通っていた。そのバレエ教室は市内の公民館でやっていて、先生がお教室を開いたというチラシを母がたまたま見たそうだ。しかし、バレエ教室といっても、チュチュにトウシューズのクラッシックバレエではなく、モダンバレエ教室だった。

 

田舎町の子供向けのバレエ教室だから、モダンバレエだけではなくて、トウシューズをはいたクラシックっぽい練習もやっていた。私はなんでも「モダン」系より「クラシック」系を好むたちで、モダンバレエ教室通いながら、クラシックバレエの方が良かったとずっと思っていたけど、なぜだか言い出せずにいた。(多分言い出しても、何も起こらなかったと思うけど。)

 

お教室では、年に一回、発表会をしていて、生徒たちは、先生が振り付けをしたモダンバレエの出し物をを踊るのだけど、その中に一つか二つはクラシックの演目もあった。そして、レッスンを始めて〇年目の生徒はソロを踊るというのが慣例だった。私が〇年目を迎えたのは多分中学生の頃だったと思う。お教室がちょっと大きくなって、先生が助手のような方を連れてこられるようになっていて、私は助手先生が振り付けたモダンバレエのソロを踊ることになった。

 

しかし、その年の発表会では、助手先生のつてで、クラシックバレエの先生から特別レッスンを受けられる機会があると、私の同年代の子達7人で白鳥の湖から四羽の白鳥の踊りと三羽の大きな白鳥の踊りを演目に加えようということになった。その子たちと一緒に特別レッスンには行ったけれど、私は基礎練習のみで、他の子7人が白鳥の踊りを教わっているのをいいなぁと眺めていた。

 

そんな苦い思い出のある白鳥の湖。○○の踊りというのを単発で見る機会はあったけれど、全幕を見る機会は今までなくて、ずっと全幕通して見てみたかった。話の内容も、大まかなあらすじは知っていたけど、しっかりと内容を把握していなかった。劇場ではディジタルプログラムを配布していて、幕が上がる前に読んでみると、ちゃんと話の筋書きがあって助かった。

 

白鳥の湖プログラム.pdf

 
多くのダンサーたちがロシアとか東欧の出身らしいのだけど、何人かのバレリーナさんは日本人らしかった。海外の交響楽団には日本人演奏家が結構所属していると聞いたけど、バレエでも活躍している日本人の方は多いのかもしれない。
 
話の筋書きを読んでからの開幕となったので、踊りを見ながら話しについていけたし、白鳥の大群の踊りのシーンは圧巻だった。ただ、素人に毛が生えた程度のバレリーナさんがいたのが残念だった。オデットを演じたプリマドンナさんはちゃんとプロの踊りを見せてくれて、同じバレエ団にいてよいのだろうかと、勝手に心配していた。四羽の白鳥の踊りの時は「そうそう、これ。踊りたかった😭」と思っていた。次の三羽の大きな白鳥の踊りが来るのかなと思ったら、なかった。どこへ行ってしまったのだろう。
 
音楽の方は、オーケストラピットで、地元の交響楽団の団員さんの出張演奏とのことだった。演奏される音楽には不満はないのだけど、私の席の後ろのおばさんが、知っている曲になると鼻歌を歌い始め、それがちょっと音程やリズムがずれていて、何度か「気が散るのでやめてください」と言おうかと思った。中休憩中にオーケストラピットを見に行くと、低音の弦楽器のメロディーパートがあったというのに、チェロがなかった。バスとかビオラで弾いていたのだろうか。
 
まあ、少々の文句はあるものの、ずっと見たかった全幕通しを見れたし、踊りにも曲にも満足できた。入り口を入ってすぐ横にある、お土産もの屋さんでトウシューズの飾りが売られていて、とても可愛かったので、購入してしまった。お値段もそんなに高くなく、日本円だと750円位。