ピアニストのフジコヘミングさんが亡くなったと、先日、H〇Kのニュースになっていた。私は音楽に関するインプットが圧倒的に少ないと自負(?)しているので、好きな演奏家とか、印象に残っているピアニストというのは、殆どいないのだけれども、フジコヘミングさんだけは例外で、私のピアノ人生、はたまた今の生活全般に大きな影響を受けたピアニストさんだ。

 

というのも、私は子供の頃に10年ほどピアノのレッスンに通ってはいたけれど、ピアノは好きではなかったし、記憶にある限りでは、家での練習は全くやらずに、レッスンの時に先生のお宅でのみピアノの本をカバンから出すという生活を続けていた。好きでもなく、練習もしないのに、なぜレッスンに通っていたのかは不明だけど、なんとなく惰性で、レッスンを辞めますというタイミングがなくて続けていたように思う。(でも、基本的に真面目な性格なので、レッスンをサボって遊びに行ったりはしていなかった。)

 

レッスンを辞めたのは中学3年くらいだったと思う、高校生になると生活スタイルも変わるし(進学した高校は遠方で片道2時間の通学だった)よい機会だと思ったのかもしれない、母に「ピアノのレッスンはお月謝がもったいないからやめた方がよいのでは」と提言して、レッスンに通わなくなった。

 

その後は、全くピアノに触れない生活をしていた。大学生の時にピアノをちょっとやってみようかなと思ったのだろう、ピアノパオフォーマンスのクラス(それも教授とマンツーマン)を取ったりはした。アメリカの大学は取っている単位の数で学費が変わるのだけど、私に行った大学は〇単位以上は幾つとっても同額という学費の上限があり、常にそれ以上の数の単位を受講していた私にとっては、無料でピアノのレッスンが受けられるという、お得な状況だったし、Auditといって成績(良、優など)が付かずに受けられるという制度もあったので、出来が悪くても成績に傷がつくことがないのもよかった。しかし、そのクラスが終わった後は、全くピアノに触らない戻り、大学院時代を過ごし、社会人となった。

 

それが変わったきっかけが、フジコヘミングさんに関するドキュメンタリーだった。追悼番組として、何日か前に再放送されていた「フジコ、あるピアニストの軌跡」だった。番組中に演奏されていたフジコヘミングさんのピアノの音を聞いて「なんて素敵な音色なんだろう」と感動し、自分でピアノを再開するのを決心したのだった。そこから、人生初のグランドピアノ購入をしたり、そのピアノを一人で弾いているのはもったいないと、ピアノを教え始めたり、それなら、きちんと資格をと学校で音楽を学び直し、現在はピアノを十分に練習できる時間がないと本職のお勤めからは早期退職することになった。

 

フジコヘミングさんに出会わなかったら、今の生活はなかっただろ。