アメリカの新学年の始まる9月から、私のピアノ教室でレッスンを取り始めた小学校一年生の A ちゃんは、転校生で、バイエルの中、後編くらいのレベルの曲を弾いていた。

 

私のお教室でこのレベルに達した子供たちだと、次の課題曲に移る時は「次の曲を見て来てね」というと、それなりに弾けるようになってくる。でも、この A ちゃはそれができなかった。前の先生(達)は拍の数え方も、楽譜の読み方もちゃんと教えなくて「ここはこうやって、弾いて」と先生が弾くのを見せ、聞かせられて、それを丸暗記していたらしい。(本人は違うといったけど、弾けるレベルと読める楽譜のレベルが全く違うから、そうだとしか思えない。)

 

そこで、譜読み及び拍取の練習をするにはチェルニー100番をするのをがちょうどよいだろうと、最初の一番から取り組み始めた。練習を続けた効果があり、譜読みと拍とりが安定してきた。もちろん、たまに間違えることはあるけど「なんか違うよ」というと、楽譜を読み返して、どこを間違えたのかを見極められるようになった。(前はどう違うのかわからずに、私が正しく弾いても、自分の間違った弾き方との違いも分からなかった。ただし、私の弾いたものの真似はできた。)

 

私は、子供たちに拍取を教えると同時に、メトロノームをつけて弾くように指導する。昔は、私が「一、二」と拍をとったり、手を叩いていたのだけど、メトロノームをつけて練習する癖をつけたいし、メトロノームが必要になったという時期にメトロノームをつけてもメトロノームに合わせて弾けなくて、結局レベルをグンと下げた曲で、メトロノームに合わせて弾く練習から始めないといけないので、時間のロスになるし、子供たちもイライラすることが多い。

 

A ちゃんの場合も拍取り(四分音符は一拍、二分音符は二泊といった本当の基本中の基本すらわかっていなかった)が課題だったので、譜読みをする時点からメトロノームをつけて練習するように指導してきた。A ちゃんだけでなく、多くの子供(生徒)達はメトロノームをつけると、拍を取るのにメトロノームを見つめて、目でテンポを確認しながら弾く子が多い。テンポを体感できないから、目で確認しないといけないのだと思うけど、A ちゃんも同じだった。

 

しかし、先日のレッスンで、チェルニーの課題曲をするのに「今回はメトロノームつけて練習してきたよね(A ちゃんは、うんと首を縦に振る)じゃあ、つけて弾いてみよう」と私がメトロノームをつけると、なんと、メトロノームを見ずに、手元や楽譜を見て、ちゃんとテンポを守りながら弾いていた。多分本人は気づいていない変化だけど、私は「リズムが体感できるようになったんだ」ととても嬉しかった。