訴訟社会だといわれるアメリカでは、自分が「当事者」となるような集団訴訟が知らないところで起きていることがよくある。
 
アメリカの集団訴訟の仕組みは、大量消費される商品の欠陥や、大企業のビジネスのやり方などに文句がある人が何人か集まり、原告として訴訟を起こす。(原告本人が文句を言い出すより、問題がありそうだと検討を付けた弁護士が焚きつけて、原告になりそうな人を探す場合が多いといわれている。)集団訴訟の「原告」たちは「何時何時から何時何時の間にこの商品を買った人達」とか「この時期にこの会社とこんな取引をした人達」全員の代表として訴訟を起こす。代表たちは全員の当事者に「訴訟を起こしますけど、加わりますか」などというお伺いなどは立てなくてよいので、殆どの集団訴訟は当事者の多くが知らない間に始まっている。
 
集団訴訟が起こされた時は、一応裁判所が「この案件は集団訴訟として進めてもよい」許可を出さないといけないけれど「当事者」が百人もいれば、集団訴訟が成り立つ。私が知らぬ間に「当事者」となっていたのが、私が家のローンを借りたことのある銀行の宣伝の仕方がまずかったとか、私が買った特定の商品に(私が気が付かなったけど)不具合があったとかいうもの。
 
気が付かないうちに始められていた集団訴訟について、どうやって知ったかというと、訴訟が終盤に近付いてきて、和解金が支払われるという段階になった時。訴状に名前を連ねている原告(というか、その弁護士達)と被告の企業でこういう形で和解をしましょうと話が詰められた後に、原告と被告は和解の内容を裁判所で認めてもらわないといけない(普通の民事訴訟の和解は裁判所ではノータッチのことが殆ど。)裁判所は和解の内容を認める前に、当事者と思われる人達(知っている限り)に和解内容の知らせて、和解の内容に不満がある人は申し出るようにと告知をすることを求める。
 
私が前に受け取った通知では、銀行のローンだったら、銀行に私の住所や連絡先は知れているし、商品を買った人だとクレジットカードで買っていたらその記録をたどって連絡が届く。現金購入が主な商品だと、商品を売っていたお店にポスターが張られたり、商品を買った人の多くが読みそうな雑誌(園芸製品だったら園芸誌とか)に広告が載ったりする。
 

私が一番最近に受け取ったのは、利用している病院で個人情報が漏れたのか、漏れる危険性があったというもので、これは病院にある私の連絡先を使って、はがきが届いた。

 

 

この通知によると、どっかの「当事者」が代表として集団訴訟を始め、和解の内容が固まりつつあるという。和解したくなかったら「いやだ」と意思表示をしろ、一緒に和解するのだったら「私も和解金が欲しいです」と申し出ろというもの(これはどの集団訴訟でも同等の内容の知らせが来る。)こういう、実害がないような(今回の私の場合は全く害を受けたと認識していない)集団訴訟の場合は一人一人に払われる和解金は微々たるもので、500円程度のクーポン券なんてこともある。まあ、もらえるものはもらっておこうと、こういう通知が来ると私は「欲しいです」と返答をすることにしているけど、いままそういう届け出をしても、手紙をきちんと処理してくれなかったのか和解金をもらったことはなかった。

 

でも、先日、病院の集団訴訟についてと書かれた封筒が届いた。何か月か前に届け出を出したことさえ忘れていた私は「またか、今度はなんだ?」と封筒を開けたら、100ドルの小切手が入っている。手紙には「あなたの出した届け出で、今回の和解金を受け取る資格があると認められたので和解金を送ります」とある。

 
 
知らず知らず当事者になっていた数々の集団訴訟で「和解金欲しい」と言っていたにも関わらず、初めてもらった和解金だし、実害がなかったのに100ドル(一万五千円位)というのは破格の和解内容に思う。
 
法的にもらってよいものだし、100ドルもらって困るもでもないので、ありがたく旅行のお小遣いにさせてもらった。