ピアノ教室の生徒たちの発表会まで、あと何週間かとなった。生徒たちはそれぞれの発表曲を練習している。皆、初心者で曲は32小節くらいの短い曲なのだけれども、上達の速度が遅くていので、今年の初めから練習を始めて、やっと形になってきた。今年の初めに発表曲を決めなかった、たった一人の生徒が小学一年生のMちゃんだった。

 

Mちゃんはピアノが大好きで、いつもよく練習をしてくる。宿題の曲は、毎回さらりと弾けるようになっていて、その先まで自分で練習してきて、教材の進みが早かった。今年の初めに「弾けそうな」曲を発表会用にしてしまうと、発表会までに、その曲がすごく簡単になってしまいそうだったので、ちょっとレベルの上がった曲を発表会に選べるように、少々時期を待っていた。

 

発表会ではソロを一曲、連弾を一曲と思い、パート合わせが必要な連弾を先に練習し始めた。譜読みを始めて、宿題を出したのだけど、おかしいと思うほど弾けない。いつも教本の楽譜を見ながら弾いていたので、楽譜が読めるのかと思ったら、ほとんど読めなくて、いつも親御さんが弾き方(どの指でどの鍵盤を弾くか)を見せて教えていたらしい。連弾曲はメロディーのプリモは高音域で書かれていて、「教本ではない」楽譜だと、親御さんがあまり読めずに、家ではあまり練習できてないようだった。

 

それに気が付き、高音域の楽譜の読み方を教えようとしたのだけど、理論がなかなかわからないようだった。何回かのレッスンで違うやり方を教えようとしたけれど、小学一年生の知能だと難しかったのかもしれない。なかなか楽譜が読めないので、私と一緒に弾いて、弾く鍵盤と指の位置を教えるというものに方向転換した。

 

連弾曲で戸惑って、ソロ曲を始めるのが遅くなってしまった。ソロ曲はバッハの初級者から中級者くらいのものを選んだ。自分で譜読みをさせる時間は無くなってしまったので、こちらも私が見せながらやっていかないといけないと思っていた。ソロ曲に取り掛かったのは発表会の6週間前だったので、毎週少しづつ進めて、ちょうどぎりぎり間に合うかという日程だった。

 

しかし、私がすっかり忘れていたのが、春休みに家族で旅行に行くので、Mちゃんのレッスンは二週間お休みになると連絡を受けていたことだった。春休みの旅行から帰ってきたMちゃんは旅行の間に全く練習をしなかったこともあり、ソロ曲の方は全く進歩していない(もしかしたら、宿題に出した以上の所も練習してきてくれるのではと淡い期待もあったのだけど)。これではまったく発表会に間に合いそうもない。幸い、この曲は繰り返しありのAパートとBパートがあるので、どうにか進めることが出来たAパートのみで発表会に臨ませようと思っている。