数週間前から私のピアノ教室に移ってきた小学低学年の女の子は、レッスンをやっている期間に対して、進歩がとても遅いうずまき。もう一年近く習ってきたというのだけど、夏休みで練習をしていなかったとはいえ、右手と左手と別々のそれもハ音記号とト音記号がドからソまでしかない楽譜を読むのにタジタジガーンしている。弾く前に、音符とか休符の長さとか音の数え方とかを口頭で復習するとちゃんと正しい答えが返ってくるし、弾いても間違っているところで「あれ、変だよ」というと直すことは出来るので、理論的には理解している模様。

 

私は自分の教室で初めてのレッスンを受ける人(子供)には決まったテキストを使っているけど、他の先生から移ってくる「転校生」には前の先生が使っていた教材をそのまま使うことにしている。テキスト全てを買い直すお金のは大変だろうし、特に初心者はテキストを結構早く消化する(というかさせる)ので、すぐに使っているテキストからは卒業拍手するだろうという見込みがある。私の教室だと進歩の早い子供は一冊の教本を二か月とか三か月とかで済ませてしまうので、何冊かまとめて買っておいて下さい気づきと言うことも多々ある。

 

この転校生女子(Aちゃん)の使っているテキストはBastein(バステイン)先生という、アメリカのピアノ教育の権威ともいえる先生が作ったテキストだけれども、なんせ古い。私の指導スタイルともあまり合わないのでバステイン先生のテキストは使わなくなってしまった。そして、驚いたのは、まだ八分音符も出てきていないのに、臨時記号がバンバン出てきて、少しすると譜面の最初に♯や♭が付く練習曲になる。

 

私自身が♯、♭恐怖症えーんだったこともあるけど、私はハ長調の楽譜がスラスラ、右手と左手が違う動きあまり考えずにを出来るようになるまでは♯や♭は早いと思っている。Aちゃんの前の先生は♯や♭のついた曲も少しやっていたようなので、なるべく♯の少ない練習曲を選んでAちゃんに課題として出したけど、案の定「黒い鍵盤が分からなくなっちゃった」「頭がこんがらがったもやもや」というコメントが。そうでしょうとも、と思いながらハ長調の曲を探したけど、無いガーン。ハ長調で簡単に書けるはずのベートーヴェンの喜びの歌(第九)までト長調で書いてある。

 

そして、このバステイン先生の教材は、私の大人初心者の生徒さんが名付けた「Fake Song」(練習用に勝手に何となく作った曲)ばかりで、味気ないったらありゃしないえー。初心者さんは自分が知っている曲が弾けるようになったとか、親御さんが知っている有名曲を弾けるようになったんだねと褒めてくれるのがピアノが楽しい爆  笑と思える糧になると思うのだけど、バステイン先生の教本はFake Songsが延々と並んだ最後に2ページも渡るト長調の喜びの歌と、これまた2ページにも渡る聖者の行進(これはメロディー上、臨時記号が必修)があるのみショボーン

 

ということで、ピアノ歴何週間の初心者でも「有名曲」が弾けるようにアレンジしてあるフェイバー先生編纂のPreTime Pianoという教本を加えられないかとお母さまにお願いしたおねがい。ちなみにフェイバー先生の教本ピアノ・アドヴェンチャーもなかなか良いグッ。(私は他の教材を使うのに慣れてしまったのでピアノ・アドヴェンチャーは使ってはいないけど。)日本でもピアノ・アドヴェンチャーを広げようという動きがあるようで、子供向け教材としてはお勧めだと思う。ちなみに、PreTeimeシリーズは日本にはまだ上陸してないようだ泣