石垣島3日目。


まる1日石垣島で過ごせる最終日となった。

宿泊代の精算をしていなかったため、恐る恐る奥様に連絡したところ、すぐにゲストハウスに来てくれることになった。


顔を合わせて開口一番、お互いの口から出たのは


「ご主人、大丈夫でしたか?」


モラ夫は元気に起きてバーベキューコンロで鯵の干物を焼いて、しっかりと朝食を済ませたところだった。


で、オーナーご主人は?と聞くと…


「実は…





あれから顔中血だらけで帰って来たんですよ…」





ええええーっ‼️




モラ夫と私は絶叫。


モラ夫は必死に弁明する。


「僕、昨日オーナーさんの家に行ったことは覚えているんですけど、どうやって行ったかも、どんなお家だったかも全然記憶になくて…その後のこともさっぱり覚えてないんですよ。どうやってここに戻ったのかも、ご主人がいつ帰ったのかも…」





…やっぱりね…。


私も、奥様が自宅に帰って以降はベッドルームに引き上げていたので、オーナーご主人とモラ夫の様子を最後まで見ていない。






まさか…モラ夫がご主人に手をあげたとか???




「いえいえ、多分どこかで転んだんだと思います。かなり酔って千鳥足でしたから。

自業自得だって怒り飛ばしたんですよ。少しは懲りたんじゃないでしょうか。」

と、奥様。


とりあえず、病院に行くほどではなさそうで、自分で手当てして今は二日酔いで寝ているとのこと。


モラ夫も前に泥酔して砂利道で転んで石で頭を打って血を流し、救急車を呼んだことがある。

それどころか、家の中で吹き抜けを転落して生死をさまよったことも…


モラ夫は爽やかな笑顔で、さもありなんと頷きながらこう言った。


「酔っ払うと転んだ時になぜか手が出ないんですよね。お互い気をつけなくちゃいけませんな。ご主人によろしくお伝え下さい。




お前は記憶がないから笑えるだろうが、奥様と私は全然笑えないんだよっ。





奥様にしてみれば、モラ夫はもう出禁だろうな…

ご主人も私たちにはもうこりごりかも…

がっくりする一方で、酒をコントロール出来ない旦那を持つ妻どうし、奥様とはこれから先も愚痴を言い合える間柄になれそうな気もした。

物理的距離がありすぎるのが残念だ。


心尽くしのサービスをしてくださった奥様に、感謝の気持ちと翌日の出発予定時刻を伝え、名残惜しいお別れとなった。


ふと、ご主人にもしものことがあったら、奥様は1人でゲストハウスを営んでいくことになるのだろうかと想像した。

病気はどうしようもないけれど、お酒ごときで絶対にそんなことにしてはいけないという責任感を是非ともご主人に持っていただきたい。


で、私は?

移住先でモラ夫にもしものことがあったら?


……。



こんちくしょうということがあったときは1人になりたいと思う。

思うけど、本当に1人になって喧嘩をする相手もいなくなったら…



やっぱり寂しく感じるだろうな、と思う。




私の両親は、歳をとって、身体が言うことをきかなくなるにつれて、お互いに期待することが多くなり、晩年は喧嘩ばかりしていた。

そんな中、母を先に失って、4年間を1人で過ごした父。

『お母さんがもしも元気だったとして、喧嘩をせずに仲良く過ごせていたかどうかはわからない。

でも、生きていてほしかった…。

やっぱり1人は寂しいよ。』

と言った。


2人で過ごす時間が長かったからこそ、1人は寂しい。

例え2人で過ごした時間が喧嘩ばかりだったとしても…。




そんな感傷的な想いを打ち砕くようにモラ夫が言った。


「さーて、丸一日遊べるのは今日が最後だなっ。米原ビーチにシュノーケルにでも行くか❗️」