これは今から2年前の、私がモラ夫と別居して実家にいたときの話だ。


昼間、ピンポンが鳴った。

玄関に出てみると、いかにも職人風ないでたちの20代半ばくらいの若い男の人が立っていた。


「いま、あっちの家で屋根の修理をしてて、屋根の上からこちらのお宅の屋根が見えたんだけど、気になるところがあったので、良ければ無料で点検してあげようかと思って…」


おかしい。

絶対におかしい。


実家の前の通りは突き当たりで袋小路になる。

そこまでの間で、屋根の工事をしているお宅なんてない。

袋小路だからこそ、もし工事があったりすれば、車の出入りですぐわかる。

ご近所づきあいがかなリ濃厚なので、工事なんかを始めるときは必ずご挨拶があるはずだ。


「雨漏りしてないし、うちは結構です。」

と答えて扉を閉めようとすると

「いや、そうじゃなくて、そうじゃなくて」

と慌てた様子。


ますます怪しい。


無視して扉を閉めて、2階の窓のカーテンの陰からそっと見ていたら、その男は家の前を右往左往した後、ほかの家には立ち寄らずにそそくさと歩いて去っていた。(しかも、工事をしていると指さした方向とは反対の方向へ


実は、私が同居していないとき、突然訪ねてきた屋根の修理屋という人を父が家にあげてしまったことがある。

50代くらいの男性だった。

そのとき、父は「屋根の点検を無料でしてくれると言っているが、どうするか」とその人がいる目の前で兄に電話した。

兄は「5分後に息子が帰ってくるから話を聞くと伝えて」と言い、すぐに自転車をすっ飛ばして実家に向かった。

兄が到着すると、父とその男の人はなにやら楽しそうに歓談していたらしい。

兄がその人から名刺を受け取り、後から電話してみたところ会社は実在し、その人が社員として実在することもわかった。しっかりとホームページもあったそうだ。

もちろん、丁重にお断りした。


この手のセールスは昔からある。

屋根の無料点検や不用品買取の電話は実家にしょっちゅうかかってきていた。


私の勝手な推測では、昔の「電話帳」が怪しい。

私が小学生くらいまで個人宅に配布されていた電話帳には、個人の住所と名前と電話番号が堂々と載っていた。

当時の世帯主が30〜40代だとすると、今は80〜90代だ。

当時の電話番号に片っ端から電話して繋がるようであれば、家の築年数は50〜60年、高齢者が住んでいることは容易に想像がつく。

昔の電話帳とGoogle mapがあれば、家の状態は簡単にわかるし、後は実地調査だ。


私が謎の男に遭遇してから2年。

もしかして、あれは強盗物件選定のためのリサーチだったのかもしれない。

まあ、うちは見るからに庶民の小さな家だし、隣家とは至近距離だし、近くに若いご家族も暮らしているので、実際に来てみてこりゃだめだとなっていた可能性はある。


とりあえず私の父が存命中に強盗に遭うことはなかったが、もしもそんなことになっていたら、一生悔いと悲しみに明け暮れたことだう。


それにしても、Google mapとGoogle Earthは実写で家の様子がわかるから怖い。

表札までばっちり写っているケースも多いが、個人情報が厳しくなっているこのご時世、なんか規制する方法はないのだろうか。


とかく、親が昔の電話帳に電話番号を載せていた記憶のあるかたは、くれぐれも注意してほしいと思う。

ちなみに私は実家のご近所さんに私と兄の携帯番号を伝え、同居していない期間は帰省時にときどきお土産を渡していました。


↓防犯カメラとセンサーライトはもはや必須

 

 


 


 

 

 

 

 

↓侵入経路となりがちな裏手の窓に

 

 

↓ご近所の若い人なら気づいてくれるかも