高校のクラス会があり、東京に行った。
父亡き後、兄がインフラを継続してくれているので、ありがたく実家に泊まる。
(今、東京のホテルは目の玉が飛び出るほど高い❗️)
「ただいまー。お父さーん。」
と玄関から入り、いつも父が座っていた居間の座椅子があった場所を覗く。
いつもなら
「おお、marukoか。遅かったな。」
と父が顔をあげて笑ってくれたのに
その姿は、もうない。
雑多な物置と化していたピアノの上を整理して並べた、両親の写真と思い出の品の数々に手をあわせ、改めて両親に挨拶をする。
父の遺骨は四十九日まで兄宅に安置している。
空き家となってしまった実家。
もしも私がモラ夫と離婚していたら、私はここで1人暮らしていくはずだった。
実家での一人暮らしを想像しつつ眺めてみると、襖が茶色く変色していたり、畳が擦りきれていたり、扉が閉まらなかったり…父がいるころには気にならなかったところがたくさん見えてきた。
前日、兄が家の裏に生えた雑草をむしっていたら、不審者と間違えられて見回りの警官に声をかけられたらしい。
空き巣対策で、パトロールを強化しているとのこと。
言われてみれば、実家の近所で空き家が4件ある。
あと10年もすれば、さらに増えるだろう。
最近、東京の空き家問題をテレビでよく見るが、こういうことか…と改めて社会問題を思う。
生まれ育った思い入れのある実家。
借金が残っているわけではないので、出来れば自分が動ける間は維持しておきたい。
しかし、人が住まずに手入れが行き届かない家はどんどん朽ちていく。
古い家だから、戸袋に鳩やネズミが巣をつくったりもするだろう。
父の一人暮らしを気にかけて、夕飯のおかずをお裾分けしてくれたり、日々の様子を見てくれていたご近所さんに、家のことで迷惑をかけるわけにはいかないな…
寂しい気持ちはひとまず脇におき、早めに実家終いに着手することを心に決めた。