この一件の始まりはこちらから
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結局その夜は病院から電話がなく、翌日の午前11時頃、病院に行った。
モラ夫は酸素吸入器をつけた状態で、ICUのベッドに横たわっていた。
低体温療法のため、ひんやりとした毛布をかけている。
麻酔が効いて、よく眠っているようだった。
しばらくすると、昨晩の医師がやってきて、笑顔で言った。
「脳圧も安定していたので、開頭手術は必要ないと判断し、今朝方待機していた医師チームは解散しました。とりあえず良かったです。」
今溜まっている血腫はどうなるのかと聞いたら、体液に溶けて少しずつ退いていくとのこと。
人間の身体は不思議だ。
このまま2~3日低体温療法を継続し、状態が良ければ脳圧を測定する器具を外し、麻酔を少しずつ抜いていくとのこと。
「麻酔が抜けていく過程で、暴れて点滴を抜いたりすることがよくあります。申し訳ありませんが、手をベッドに括りつけさせてもらいますので、ご了承ください。」
とりあえず、モラ夫は生きていた。
あとは、麻酔が切れてみないとわからない。
私は病院から自宅に戻り、夕方、モラ夫の事故発生時に駆けつけてくれたご近所さんにお礼を兼ねて状況を知らせに行った。
ご近所さんは、私を自宅に招き入れてくださり、「まともにごはん食べてないでしょう?」と奥様が夕飯を振る舞ってくれた。
涙が出そうだった。
あの時、ご近所さんが駆け付けてくれなかったら
勇気をもってモラ夫を横向きにしてくれなかったら
モラ夫は命を落としていたかもしれない。
お隣さんは命の恩人だ。
そもそも、なんでこんなことになったのか。
酒だ。
モラ夫が酒を飲みさえしなければ、こんなことは起きなかった。
私(家族)を苦しめるのも酒だ。
私はだんだん腹が立ってきた。
酒も免許制になったら良いのに、と思う。
20歳になったら酒乱とアルコール依存度の検査を必須にして、お国から許可がないと酒を飲んではいけない世の中になればいい。
居酒屋に入るのにも免許証を見せる。
免許がないのに酒を飲んだら即逮捕。
世の中のアルコール好きな人たちから総スカンをくらいそうだが、私はそれくらい、モラ夫の酒に苦しめられてきた。
その最たるものが今回の転落事故だ。
お酒が好きな人には、飲みすぎは命の危険と隣り合わせだということをわかってほしい。
自身の身体や家族を蝕むことがあると同時に、判断力が鈍って今回のような事故が起きることもある。
それがわかっていても、やめられないのが酒だ。
幸いなことに、モラ夫は今も生きている。
しかし、生死をさ迷う経験をしても、女房に逃げられても、酒をやめることはできていない。
いくら言っても、酒を飲む環境を維持するために、なんだかんだと言い訳をする。
それくらい酒は中毒性が高いということだ。
いっそのこと、世の中から酒がなくなったらいいのにな。
私は煙草より、酒の方が人に与える影響は大きいと思う。