台風の夜、モラ夫がドアに指を挟まれた。


↓経緯はこちら



救急車に慌てて乗り込むモラ夫。

整形外科の先生がいる夜間診療の病院に担ぎ込まれ、そのまま手術となった。


手術は無事に終了した。

なん針か縫っただけで、指ももげずに済んだ。


「はい、お疲れさまでした。気をつけて帰ってくださいね。あ、手術した手はできるだけ心臓より上に上げておいてね。お酒飲んでるみたいだし。」

看護師さんに背中をやさしくなでられ、ほっとしたモラ夫。

局所麻酔で痛みは感じなかったと言う。


とっくに酔いは覚めていたが、包帯でグルグルに巻かれた指を見ながら少し冷静になろうと病院の廊下の椅子に座ると、暗い廊下の鏡に、自分の姿が映った。


そこには、血だらけの白Tシャツにパンツ(下着)だけの自分の姿が映っていた。


「あのー」

モラ夫はパタパタと目の前を歩いていた看護師さんに声をかけた。


モラ夫「なにか着るものを貸してもらえないでしょうか。」

看護師さん「あー。ごめんなさいね、そういうの、無いんですよー。」


当たり前だ。


モラ夫はしかたなく、こそこそと病院の前の道路に出て、タクシーをつかまえようとした。


ところが、1度ウィンカーを出してスピードを落としたタクシーが、モラ夫をよく見た瞬間にウィンカーを戻して走り去ってしまう。


当たり前だ。


深夜に血だらけのTシャツにパンツ一丁の男だ。

しかも、看護師さんの言いつけを忠実に守り、心臓より高く上げた左手は、手の甲を相手に向け、中指が立っている🖕


困ったモラ夫がキョロキョロと周囲を見渡すと、100mくらい先に、交番の灯りが見えた。

これはおまわりさんに助けを求めるしかない。モラ夫は腰を屈めてそそくさと交番に走った。


交番の外から、腰を屈めたままでコンコンと窓を叩く。

ん?とモラ夫に気づいたおまわりさんは、扉をガラガラと開けた瞬間に、

「うわーっっっ❗️❗️」

と叫んで後ずさりし、警棒に手を掛けた。


モラ夫は必死でおまわりさんに事情を話し、なんとか理解してもらうことができたらしい。

親切なおまわりさんは、モラ夫と一緒に目の前の道路に立って、タクシーをとめてくれたそうだ。


翌日の夜、私はモラ夫のタワマンに行ってみた。

惨劇の現場は、本当に血だらけだった。


教訓①

やっぱり酒乱はタワマンに住んではいけない。


教訓②

家で酒を飲むときも、ズボンは履きましょう。