モラ夫はペットが好きだ。

しかし、とことん無責任だ。


最初は猫のスコティッシュフォールド。

CAだった元カノ、Kさんと付き合っているときに飼い始めた。

デートのときは車に乗せて連れ歩き、文字通り猫っ可愛がりした。

だが、一人暮らしでほぼ毎日友人と飲み歩いて泥酔して帰るモラ夫が面倒を見きれるはずもない。

猫は酔っぱらいが嫌いだ。

モラ夫が家に帰ると、猫は物陰に隠れるようになった。

そして、彼女と別れ、面倒を見切れなくなったモラ夫は、猫を実家に押し付けた。

ご両親も動物が好きだったのでそれはそれで喜ばれたが、昔の人だ。

室内飼いせずに自由に外を歩かせていたら、ある日猫は帰ってこなくなった。

なんてったってスコティッシュフォールドだ。

多分誰かに連れていかれたのだろう。


次は犬のマルチーズ。





元妻のMさんと結婚後に飼い始めた。

当然可愛がるが、モラ夫の酒乱モラハラ生活は変わらない。

Mさんは離婚して家を出るとき、犬を連れて出た。

なんとも責任感のある人ではないか。

ところが、モラ夫は俺が買ったのだからと言って、Mさんの実家に犬を取り返しに行ったのである。

犬への愛情を示しているようだが、私にはわかる。

モラ夫は犬を取り返せばMさんが帰って来ると思ったのだ。


愚の骨頂だ。


犬を取り返した後、モラ夫が仕事に出ている間、子犬が部屋でどれほど寂しい思いをしていたかと思うと胸が痛む。

当然Mさんが帰ってくるはずもなく、モラ夫は面倒を見切れなくなった。

かくして、マルチーズはモラ夫の実家行きとなった。

マルチーズは実家で可愛がられたが、凶暴になった。

モラ夫が実家に行くと、ウゥーッと唸るようになった。

お父さんには服従したが、お母さんにはときどき噛みついた。

偏食でおやつしか食べず、固太りで心臓が悪くなった。

幼少時代の経験が性格を形成するのは、人間も犬も一緒だ。

定期的なトリミングを含め、後半はかなり動物病院の費用がかかったが、モラ夫が費用を負担することは一切なかった。

お母さんから窮状を聞かされて不憫に思い、私が費用を出したこともある。

最期はお父さんの腕のなかで亡くなったのが救いだが、葬儀の費用は私が執拗に訴え、モラ夫が半分負担した。

(それでも半分かよ❗️)



そして今、私とモラ夫は保護猫を2匹飼っている。

最初、モラ夫は血統書つきを買うと言っていたが、たまたまその頃、義姉が子猫を自宅前で保護し、兄妹ごとひきとることにしたのだ。


別居に踏み切ったときは急だったので、私は猫を連れずに飛び出した。

もちろん離れがたかったが、モラ夫の目の前で10分で出ていく用意をしたので、猫を連れ出すことはできなかったのである。

連れ出そうとすれば、警察を呼んでの大騒ぎになっていただろう。


モラ夫は別居期間中、猫は心配じゃないのか、猫に会いたくないのか、お前は無責任だ、と私を責めた。

心配に決まっているが、これまで何度もペットを実家に押し付けてきたお前に無責任と言われたくない。

あなたが面倒を見れないのなら、いつでも猫は引き取る。実家の父も了承している。猫を理由にそこに戻ることは絶対にないと、私は突っぱねた。


私がいない間、猫はモラ夫のもとでなんとか生き延びた。

さすが保護猫、たくましいではないか。

モラ夫いわく、毎日モラ夫にべったりだったらしい。


しかし私が戻ってからは、あっさりと私にべったりな生活に戻った。

モラ夫は今日もなんでなんだと不満気だ。