塾生:漫才ネタ | 漫才塾

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大阪で開講中「漫才塾」の講義模様やイベントのレポートです

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転職面接

作: 浅谷 広朗


ツッコミ: いきなりで申し訳ないんだけどさ、おれ、仕事辞めたんだ。


ボ  ケ: えっ!まじかよ?でも、なんでまた急に?


ツッコミ: なんて言うか、やりがいが感じられなくてさ。

      将来性も不透明だし、組織の閉鎖的な人間関係にも

      疲れちゃったんだよなぁ。


ボ  ケ: 確か、お前の仕事って清掃員・・・


ツッコミ: じゃないよ、おれは銀行員。お前、銀行員と清掃員

      っていろいろ違いすぎるだろ?なぜ混同した?


ボ  ケ: 悪ぃ悪ぃ。おれが夜飲みすぎで吐いたとき、

      いつも手際よくキレイに後始末をしてくれてたのが

      お前だったからさ。


ツッコミ: おれ以外に誰がてめえのゲロなんか拭くよ?


ボ  ケ: あれはお前にしかできない仕事だったな。


ツッコミ: 無理やり持ち上げんな。


ボ  ケ: オンリーワンのプロフェッショナル・・・

      まさに天職じゃないか!


ツッコミ: 断じて「職」なんてもんじゃないからな。

      職だったら未払いの賃金払え!


ボ  ケ: で、銀行辞めてどうすんの?


ツッコミ: まぁ、いろんな会社の面接受けてみるよ。


ボ  ケ: 対策はできてるのか?


ツッコミ: それがいまいち自信が持てないんだよな。

      結局、面接って第一印象と面接官との相性だろ?

      できることなんて限られてるよ。


ボ  ケ: じゃあさ、おれが今からどんな面接官が相手でも受かる

     「理想の面接」を見せてやるよ。

ツッコミ: まじで?頼む!おれにその秘伝を授けてくれ!


ボ  ケ: 面接官のつもりで何でも質問してみろ。


ツッコミ: それではお聞きしますが、当社を志望された

      理由は何ですか?


ボ  ケ: おたくの会社ウチから近いんですよ。

      通勤時間は徒歩で10秒、車で15分。


ツッコミ: 車いらないなあ。駐車場探す時間が無駄だわ。


ボ  ケ: これだけ近いと毎朝「きょうのわんこ」

     (注:めざましテレビのコーナー、7:55頃)

      を見てから家を出ても余裕で間に合いますよ。


ツッコミ: あのさぁ、単に家から近いとか、行きつけの町のスーパーか。

      そんな理由で仕事を決めるな。


ボ  ケ: でも、ボク、朝慌てまくりでトイレの水を流し忘れたまま出社

      することがよくあって家中が大迷惑なんです!

      御社に採用となれば家族も一安心ですよ。


ツッコミ: ・・・そんな事情は知らん。


ボ  ケ: 事情は汲んでくださいよ。

      トイレの水は汲まなくていいですから。


ツッコミ: 上手くねえな。キミは当社が第一志望ということでいいかね?


ボ  ケ: えぇ、まぁ、第一志望群ですね。


ツッコミ: なんだその「群」っていうのは。


ボ  ケ: なんていうか、メダカの群れのうちの一匹というか、

      星の数ほどある中の一つというか、掃いて捨てるほどある

      うちのどれか、という程度の意味ですね。


ツッコミ: ぶち殺してやろうか?こういう時はウソでも「第一志望です」

      って言うもんだろうが。


ボ  ケ: すいません・・・。


ツッコミ: じゃあ、近いという以外に当社にひかれるポイントは?


ボ  ケ: やっぱり、こけし製造業界のリーディングカンパニー

      としてのブランド力・人材力・組織力ですね。


ツッコミ: ウチの製品を見たことはある?


ボ  ケ: はい、最近の作風は、今までにない斬新なデザインや

      製造手法を取り入れているのが印象的です。ただ・・・


ツッコミ: ただ何だ?


ボ  ケ: 僕が見たのは電気モーターがついてないタイプでした。

      ああいうのもあるのかと・・・


ツッコミ: バカ!お前絶対違う方のこけしを想像してるだろ。


ボ  ケ: えっ。御社はデンドウ(電動)こけしのメーカーですよね?


ツッコミ: 違う。ウチが作ってるのはデントウ(伝統)こけし。


ボ  ケ: なぁんだ、ほとんど一緒じゃないですかぁ。


ツッコミ: 似て非なるもんなの!健全な方のこけし。


ボ  ケ: じゃあ、健全な人事殿がご興味をお持ちのこけしはどちらで?


ツッコミ ・・・


ボ  ケ: 恥ずかしがらず!正直に!


ツッコミ: ・・・


ボ  ケ: 奥様も密かにご愛用とか?


ツッコミ: ・・・だめだ!お前は不採用!


ボ  ケ: えーっ。話だけでも最後まで聞いてくれたって

      いいじゃないですか。


ツッコミ: もう決めたんだ。帰ってくれ。


ボ  ケ: そんなぁ。こけしをこよなく愛する

      ボクを切り捨てるんですか。


ツッコミ: 今後のご活躍をお祈り申し上げます。


ボ  ケ: ということは内定をいただけると・・・


ツッコミ: お前なぁ、今の内容で内定出すわけないだろ。

      不採用の「お祈り」だよ。なんならご冥福を

      お祈りしますにしとこうか。


ボ  ケ: ひどい!ボク、御社がダメならこれで面接50連敗なんです。

      何とかご再考を。


ツッコミ: ダメなものはだめだ。


ボ  ケ: これからボクはどうすればいいんでしょう。

      途方に暮れちゃいますよ。トホホ・・・


ツッコミ: まぁ頑張れ。まだ若いし何とかなるだろ。


ボ  ケ: 『人を動かす』も『7つの習慣』も『原因と結果の法則』

      も『自助論』も『もしドラ』も、全部読みましたよ・・・

      それでもダメなんです!


ツッコミ: 何か一つ変なのが混じってたな。

      資格とかは持ってないのか?


ボ  ケ: いちおう、英検4級と、簿記3級。


ツッコミ: 微妙だな・・・


ボ  ケ: でもこの間、連日徹夜の猛勉強で
 
      時刻表検定1級を取得しました!


ツッコミ: 努力の対象を間違ってるって絶対。他にないのか?


ボ  ケ: じゃあ、拳法金的蹴り初段。


ツッコミ: 強いというより卑怯だろ。


ボ  ケ: 大人のおもちゃ鑑定人。


ツッコミ: 懲りないねえ。


ボ  ケ: ロリータ調教師。


ツッコミ: もはや性犯罪だろ・・・っていうか、

      理想の面接とやらはどこへ行ったよ?


ボ  ケ: こけしの辺りから急におかしくなっちまったな。


ツッコミ: もうグチャグチャじゃねえか。


ボ  ケ: 仕方ない!こうなったら専属プロフェッショナル

      清掃員に後始末を頼もう。


ツッコミ: 結局タダでお前の尻拭いかよ。もういいよ。