年末にお腹を壊して、かなり痛い思いをしましたが、夫の懸命の介抱のおかげで何とか回復しました。
ありがたや、だんな様~と、毎日拝んでおります。
という冗談はさておき、昔々に入院した時のことを思い出しました。
30代の頃、喉が腫れたんですよ。
甲状腺を片方取らなければならなかったんですが、結果は異状なしということで、約一週間ほどの入院でした。
四人部屋で、一人は高齢の女性で腸の具合が悪く、割と長く入院しているとか。
あとは私を含め、短期の入院でしたね。
その高齢の女性のお連れ合いが、毎日お見舞いに来るんです。
そして椅子に座り、何十分かの間、ただ黙って奥さんのお腹に手を当てていました。
はぁ・・・・・・医学的な効果はなくても、そうやって伴侶の悪い所に手を当てているだけで、何かしらの気が伝わっていくのかもしれませんねえ。
その頃、独身だった私は、
「こうやって伴侶をいたわる気持ちは素晴らしいなあ。私にはこういう優しいパートナーが現れるだろうか。無理かなぁ」
と思ったものです。
今回、夫が私のお腹をさすってくれたとき、あの遠い昔のことを思い出しました。
はい、おかげ様で現れましたです。
さて、短い入院中には、いろんな出来事がありましたよ。
私の隣のベッドに、女子中学生が盲腸で入院してきました。
数日後に、男子がお見舞いに来たのよね。
それが絵に描いたような初々しさで、二人とも赤い顔をしてうつ向いたまま何も話せない。
ただただ二人でモジモジしているだけ。
田舎の中学生ですからね、全然すれていなくてオボコな二人でしたよ。
その三人入院中の部屋の空いているベッドに、もう1人入院してくることになりました。
婦長さんが来て、言うには
「申し訳ないけど、男性の部屋が満杯なので、この空きベッドに男の子を入れさせてください」
ふ~ん。
婦長さんが部屋を出た後、高齢の女性と女子中学生と私とで
「男の子?じゃぁ面接して感じが良かったら入れてあげよう」
と冗談を言って盛り上がっていました。
そしたら、やって来たのは4~5才くらいの可愛らしい坊ちゃんでしたよ。
こんな可愛い坊ちゃんなら大歓迎です。
でも、そのお母さんは大変そうでした。
病室の床に寝て付き添っていましたよ。
漏れ聞くところによると、姑さんが留守宅に毎日お弁当を作って届けるんだそうです。
つまり息子さん用。
で、お嫁さんは病院の床に寝て孫を看病しているのに、顔も出さない。
まぁ、世の中にはありがちなこととはいえ、息子可愛いや、嫁憎しがあまりにも露骨だわね。
隣りの病室の話です。
中年の男性が入院してきました。
胃癌の手術らしい。
その男性は引きつった青い顔をして、廊下を行ったり来たりしていました。
高齢女性からの情報によると、その男性には小指がないそうです。
「〇クザでも手術が怖くて、あんなに廊下をウロウロしているのねえ」
これも人間心理としてはありえますねえ。
荒くれた世界に生きていても、いざ大手術に臨むとなれば、肝が冷えるんでしょう。
私自身は異常なしの結果で、何の憂いもなく退院しましたが、短い入院の間に、様々な人間模様を垣間見させていただきました。