GPFのエキシビション、心に残ったプログラムを3つ述べよ。
と、言われたら、「白夜行」と「シンドラーのリスト」と「Story」
もちろん、「Story」は別格なんだけれど・・・・
昨晩、「白夜行」の記事を書きたい衝動に駆られながらも、途中で力尽きました。
東野圭吾原作「白夜行」、忘れかけていたあの長編のストーリーが、
重々しくて切ない旋律と共に鮮やかに蘇えってきたからかな。
昨日の昼間はドラマの録画を久しぶりに見て、何度も泣きました。
原作の小説の方は、主人公2人の心理描写も2人の交流も描かれていない。
それに、とても長いから、手っ取り早くストーリーを追うには映画かドラマがおすすめだけれど、
私は、ドラマに嵌まりました。
原作とはちょっと違うんですけどね。
エキシでの「白夜行」、
照明の青と赤と白いスポットライトが、「白夜行」のイメージにぴったりだと思いました。
あまりにも過酷な運命の渦に巻き込まれ、昼間、堂々と外を歩けなかった主人公・・・
あの青と赤の照明の中で町田選手にあたるスポットライトは、
月明かりの静かで悲しい光そのものに見えました。
リンクの隅にちょっとだけアクセントで入っている赤は、たぶん、町田選手が左手で表現したかったものと同じ。
照明さん、GOOD JOBです。
そして、演技、
序盤のジャンプ2つと直後のスピンまでの流れは、震えるほど素晴らしかった。
後半のジャンプは不調だったけれど、
ステップアウトと転倒したその姿に主人公 桐原亮司のイメージがすーっと重なりました。
最後のスピンやステップもいつもの町田選手らしくなくて、見ていてハラハラしたけれど、
燃え尽きたようなその演技で、やっと気付いたんです。
町田選手は、亮司だけを演じていたんだと。
間違いだらけだった亮司の短い生涯、
心を殺して生きて、昼間も暗闇の中にいるような毎日、
唯一の光だった愛する人を守りぬくために苦悩し続けた地獄の日々。
これまでも、町田選手の演技は、「白夜行」の世界に私を惹きこみ続けてきたけれど、
GPFのそれで、確信した・・・・・彼が表現したかったもの。
それは、亮司の心の闇だったのではないだろうか?
けれども、心の闇を表現している「白夜行」の演技なのに、
この物語の描く闇は、人として決して共感してはいけない世界なのに、
録画を見るたびに心が洗われるような気持ちになる。
それは、町田選手の全身全霊をささげた演技のせいかもしれないし、
誰の深層心理の中にも たぶん ある 愛を貫くための 善と悪は、
表裏一体なのかもしれないという思いのせいかもしれない。
最初のポーズ、遠くを見つめ、右手を差し伸べるその視線の先には、雪穂がいたんだなぁ・・・きっと。
演技の前に気付いていたら、私自身が雪穂になりきって演技を見れたと思う。
う~ん、残念。
だって、手を差し伸べてくれたその方向に私は座っていたから・・・・
でも、録画を見て、私にも彼女の姿が見えたような気がしましたよ。
だって、あの表情・・・・・
切なすぎます。
自分の人生を犠牲にし、犯罪に手を染めてまでして、人に尽くせるものなのだろうか。
亮司の犯してきた罪の多さは、雪穂への愛の深さだということが、悲しすぎます。
こんなの間違っている、絶対に共感しちゃいけないと、必死に自分の感情を押し殺してみても、
二人の夢を叶えさせてあげたいいう思いが、とめどなく湧き上がってくるのです。
最後はリンクに倒れこむ振付けに、苦悩だらけの亮司の生涯に想いを馳せて号泣しました。
解説の方が「振付をする前にこの物語で表現したいことを文章にまとめたそうです」とおっしゃっていました。
町田選手が書いた文章を読んでみたいと思いました。
ところで、
エキシの後半がフラフラだったから、もしかして怪我でもしたのかな?
と思って少し心配したけれど、直後の製氷時間
ロビーのキスクラ写真撮影ブースの近くで、県知事さんと立ち話をされていたそうです。
だから、怪我とかそういうことではなかったのだなと安心しました。
お隣に座った方が、地元の方でしたので、教えていただきました。
「あ、県知事がいる」と思ったら、隣に町田選手がいたそうです。
どんなお話をされていたのでしょうね。