舟木一夫コンサート2023 —さよならサンプラザ—
中野サンプラザホール
2023.4.25(火)15:00
(2)
PARTⅠ「輝さんのおもかげ」
オープニング
♪君だけを
作詞:水島哲 作曲:北原じゅん
いつでも いつでも 君だけを
夢に見ている ぼくなんだ
星の光を うつしてる
黒い瞳に 出合うたび
胸がふるえる ぼくなんだ
いつでも いつでも 君だけと
歩きたいのさ 夜の道
ふたつ並んだ あの星も
いつも仲良く ひかってる
君と僕との そのように
ブルー系のシャツにオフホワイトのジャケットで、白っぽいスリーーピ-ス
をお召しかのように見えた爽やかな舟木さん
さて、こんなイントロは舟木さんの曲にあったっけ?と、どこまでも鈍い感
覚を持て余しながら、やがて気が付いた。あ、これは西郷さんのデビュー曲!
舟木さんは、昨年2月にお空に昇られた西郷さんの曲をご自分のソロコンサ
ートのオープニングにされたのだ。 何という粋な計らい、男気、心意気 !!
でも、舟木さんの西郷さんへのお気持ちは、”オープニング曲には輝さんの
デビュー曲を ” というだけの、そんなものではなかった。
舟木さんは「PARTⅠでは、彼の持ち歌を乗せたいという気持ちでやって
いきたい。間違えないでどこまでやっていけるか」と仰ってPARTⅠごと
西郷さんの曲を歌われることを伝えられた。
西郷さんがどんなにご自身の中野サンプラザでのコンサート開催を望んで
おられたことか、舟木さんの協力を得ての開催を切望されていたことか、、
その思いを酌んで、今日は二人で歌っていこうとされる舟木さんの篤いお
気持ちが、はっきりと明確に分かった。
ステージ衣装は、「輝さんなら真っ赤だけど、僕はピンクで 」ということ
で、淡いピンクの素敵なスリーピースだった。
ステージには輝さんのためにパワー全開の舟木さんがいて、西郷さんがいて、
10曲もの曲を二人で歌う、舟木さんが西郷さんに成り代わって届けて下さ
っているような温かい中野サンプラザコンサートが、見事に展開されていっ
た。舟木さんの西郷さんを想うお気持ちに、感じ入るばかりだった。
♪恋人ならば
作詞・曲:米山正夫
恋人ならば 恋人ならば
やさしく肩を 抱きしめようよ
二人でいれば それだけで
ふるえちゃうのさ しあわせなのさ
誰に遠慮が いるものか
ブムババ ブムババ ブムババ ブムバ
ブムババ ブムババ ブムババ ブムバ
誰に遠慮が いるものか
♪星 娘
作詞・曲:浜口庫之助
星娘イエイエイ 星娘イエイエイ 星娘イエイエイ
星のようなあの子 輝くひとみが
くらい淋しい僕の 夜を照らしてくれる
どんな淋しい時でも あの子に会えば
ぼくの心はすぐに パッと明るくなるのさ
だけどあの娘は 星娘 イエイエイ
遠い届かぬ 夜空で光る
そうさあの子は 僕には遠い
夜空の国の 星娘 イエイエイ
輝さんはポップス志向で、アメリカンポップスが大好きでしたね。
初めて彼の歌を聴いたのは、僕がデビューして10ヶ月目くらい、新橋でホリプ
ロ社長の堀威夫さんと蕎麦を食べている時でした。言葉にできない、何とも言え
ない色香がありました。ポップス志向の人が流行歌を歌うと、また違った色気が
出るものですね。
次は、バラードの雰囲気がある曲を二つ、、
♪十七才のこの胸に
作詞:水島哲 作曲:北原じゅん
風に吹かれた 花びらを
浮かべて波は 遠ざかる
ひとりぼっちの 湖は
口笛さえも 切れ切れに
山むらさきに 夜がくる
夜がしずかに 訪れりゃ
湖さみし 風さみし
ひとりぼっちの ぼくだから
あてなくたどる 落葉松(からまつ)の
林の道を ただひとり
♪涙をありがとう
作詞:関根浩子 作曲:米山正夫
兄貴ッ!
呼んでも帰らぬ 兄貴だけれど
こんな時には さみしい時は
泣きにくるんだ 兄貴のそばへ
涙を 涙を ありがとう
どこかでやさしい 声がする
なぐさめはげまし かばってくれた
つよい兄貴を うばった海を
じっとにらんで 墓標をだけば
涙を 涙を ありがとう
どこかで兄貴の 声がする
兄貴ッ!
輝さんは3人兄弟ですが、9歳で次男さんを、15歳で上のお兄さんを亡くさ
れています。歌い手になったとたん、辛い経験が歌い手としての華になってい
くというのは、よくあることです。輝さんも ♪涙をありがとう の曲を歌う
時は、辛かったことでしょう。
単独で置いた ♪潮風が吹き抜ける町 についてのトーク
輝さんには、あの歌はオレの歌じゃないでしょ。あれは舟木さんの曲でしょ、
と言われました。こんなことは歌い手にはしょっちゅうあること、歌い手の世
界では日常茶飯事のことなんですが、玉置宏さんにも相談してみたとのこと。
玉置さんも「そう思う」とのことだったとか。輝さんがすすめてくれた曲を、
ここで単独に置きました。
♪潮風が吹き抜ける町
作詞:奥野椰子夫 作曲:米山正夫
潮風が吹きぬける町
浜なすがゆれて咲く丘
わがふるさと夜毎夜毎
胸にひびくあの潮騒
はるかな潮騒
~~~~~~
~~~~~
ちちははが網つづる庭
妹が水をくむ井戸
わがふるさと夜毎夜毎
夢にかようあの面影
ほほ笑む面影
ルルール ルールルー ルルルー ルルルー
ルルル ルルル ルルールル
ルルルルー ルルルルー
(小林さんのソロサックスが響いて、余韻の中で消えていった)
15周年記念LP「限りない青春の季節」第3面、4.友について のなかで、
舟木さんは西郷さんの ♪ 潮風の吹き抜ける町 を歌っておられる。
”ふるさとの何気ない、でも大切な懐かしい風景” は、お二人ともに共通する
ところがあって、心に沁みるいい曲だなぁと思いながらお聴きしていた。
今回、西郷さんがこの曲について舟木さんに仰っていたことや、玉置さんと
のエピソードなどを初めて伺って、確かに舟木さんにぴったり、でも西郷さ
んの曲としても違和感なく、ますます西郷さんや舟木さんを通して、後にし
て出てきたふるさとの風景が近くに感じられるような思いだった。
♪真夏のあらし など、本来輝さんが歌いたかった歌でしょうけど、デビュ
ーから3年ぐらいに絞って選んでみました。やっぱり売れた歌い手というの
は、楽曲に恵まれていたと思いますね。
♪チャペルに続く白い道
作詞:水島哲 作曲:北原じゅん
ネムの並木のこの道は
チャペルに続く白い道
野原を越えて鐘の音は
雲の彼方に消えてゆく
あしたも二人で歩こうね
チャペルに続く白い道
雨に嵐に負けないで
いつでもつよく生きようと
チャペルの鐘は きょうもまた
ぼくと君とによびかける
二人の夢はふくらむよ
チャペルに続く白い道
♪初恋によろしく
作詞:星野哲郎 作曲:米山正夫
想い出しておくれ 想い出しておくれ
野ばらよ野ばら 棘ある野ばら
想い出しておくれ
君と君と君と 歩いたこの小道
あゝ そよ風も ほらささやくよ
初恋によろしく
♪星のフラメンコ
作詞・曲:浜口庫之助
好きなんだけど 離れてるのさ
遠くで星をみるように
すきなんだけど だまってるのさ
大事な宝 かくすように
君は僕の心の星
君は僕の宝
こわしたくない なくしたくない
だから 好きなんだけど 離れてるのさ
とどかぬ星を 恋した僕の
心をうたう 星のフラメンコ
輝け星よ 君の夜空で
歌えよ涙 僕の心で
こわしたくない なくしたくない
だから 歌うよせめて 心の歌を
ひびけ夜空に 星のフラメンコ
星のフラメンコ オーレ!
フラメンコ風のカスタネットがこの曲を華やかに盛り上げ、舟木さんの
オーレ!も かっこよくドンピシャで決まり!ステージは最高潮の熱気
となっていった。
輝さんは背が高いのに顔が小さく、足が長くて眉が太かった。薩摩隼人ら
しい太い眉が羨ましくて、触らせて貰っていたら、”おはようございます”
の挨拶の後は輝さんの方から触らせてくれるようになって。そんな男の子
同士のいたずらもしていました。ぼくらの世界では、ヤンチャなところを
持ってないと務まりません。
ラストは、この歌が好きだと単純に思ったので、この曲にしました。若き
日の輝さんじゃなきゃ、この歌は歌えないです。 皆さんもご一緒に
と舟木さんは客席にもスタンディングを促し、共に手拍子で薩摩隼人・西郷
輝彦さんの最後のステージを締めくくることになった。
♪青年おはら節
作詞:星野哲郎 作曲:米山正夫
あいつに出来る事ならば
僕らに出来ぬ訳はない
夢ならでっかい夢を見ろ
薩摩隼人の名にかけて
はあー 西郷隆盛おいらの兄貴
国の為ならおはらはー死ぬと言う
はぁヨイヨイヨイヤサ!
恋をするたびジャンプする
そういう恋ならうんとやれ
息子よ親父を越えてゆけ
娘よ母さん越えてゆけ
いつか来る来る おぬしの出番
身体鍛えておはらはー明日を待て
はぁヨイヨイヨイヤサ!
昨年の2月に天に昇られてから早や1年余り、西郷さんのお別れの会も開かれ
て、舟木さんのお気持ちも少し落ち着かれたからだろうか、西郷さんの中野サ
ンプラザでの記念コンサートをお祝いし、二人でやっていこうとの約束は、舟
木さんがお一人できちんと守って下さった形になった。西郷さんのファンはど
んなにかお喜びのことだろう。舟木さんの輝さんへの深い想いに触れて、悲し
みよりも温もりのコンサートだったことで返って心に長く残るような気がした。
帰宅後数日しても、あの温かかったPARTⅠの曲が頭の中を駆け巡る。
チャンネルNECOさんの ”さよなら中野サンプラザコンサート” 放映の12月ま
で、まだまだ半年以上ある。 とても待てない。手持ちのDVDで、かつて舟木
さんが歌われた西郷さんの曲を探してみる。
2010.11.3 —風アダルトに 東京メルパルクホール
御三家ではなく三田 明さんも入れて御四家(?)としてだが、西郷さん
の曲は ♪初恋によろしく & ♪星 娘 の二曲が歌われていた。
やはり、あの頃私たち世代は、みんな青春の塊の中にいた。御三家でも
御四家でも、全部歌える曲ばかりだ。
10年以上も前の後援会コンサートだが、60周年の記念曲とされた♪湖愁
も含めて、素敵な曲が満載だ。
ますます舟酔いが続きそうだが、これでしばらくゆらゆらと舟木さんに酔わ
され、 ♪ 想い出しておくれ 想い出しておくれ 野ばらよ野ばら と
西郷さんの曲を舟木さんと一緒に口ずさんで、12月を待つこととしよう。