ジョージ秋山氏の訃報に接して・・・
『浮浪雲』原作者・ジョージ秋山氏の訃報が報じられた。
1973年から2017年まで、44年もの長期にわたりコミック誌に連載された
『浮浪雲』
舟木さん演じる雲さんでこの作品と秋山氏を知ったのだが、昨年11月、
新歌舞伎座で上演された舞台を拝見したばかり・・・
舟木さんより2歳だけ年上だから、まだまだ早すぎるのに、、。
原作者がなくなられて、とても残念に思う。
舟木さんの舞台『浮浪雲」を辿ってみた。
中日劇場での初演
舟木一夫特別公演 『浮浪雲』
2009.6.6~28
雲さんが大好き女房のかめさんには、音無美紀子さん
とてもお似合いの共演だったとか、
このときの舞台を拝見できてないのが残念で仕方ないが、
パンフレットを入手して、浮浪(はぐれ)の雲さんのちょんちょこ
りんの頭や、赤い金魚のおべべを楽しんでいた。
自然と口元がほころんでくる。
原作者のジョージ秋山さんが、「わたしの舟木一夫論」として、
一文を寄せて下さっている。
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とまどい傷つけ、傷つけられの青春最中に舟木一夫がいた そして若者を魅了した
希望と夢を与えたものだ あの欲張らない歌声 大らかな歌声が若者を魅了したも
のだ そしてみんな大人になった 大人にはなったが みな青春の灯は消えては
いない ふり返るとそこに舟木一夫がいる 舟木一夫の歌声が聞こえてくる
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あの青春歌謡の舟木一夫 今は人生歌謡の舟木一夫になった 生真面目の人柄
が醸し出す偽らざる大人の歌謡曲だ 国民的歌手というなら それは紛れもなく
舟木一夫だと思う しかし舟木一夫は そんなことは意識もせず ただ歌う歌い続け
る 何の芸術的はったりもなく歌い続けている
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諍いごとが多い この平成の世にあって救いは 全国民の心の中に舟木一夫の歌
声が染み込んでいることかと思う 樹々の中にも草花の中にも海や山 青空の中
にも舟木一夫が染み込んでいる
かさばらない舟木一夫の歌声が
安らかに生きる人々の邪魔にならない歌声が
ジョージ秋山さん、よくぞ書いて下さいました。 舟木さんのステージの心地よさ、
その病み付きになっていく心の在りかを解明して下さいました。
長きにわたっての浮浪(はぐれ)の雲さん一家の物語は、生き難い世の中を肩の力
を抜いて柔らかく生きていく息抜きの知恵ともなって、多くの人々に愛され支持さ
れました。 「私の舟木一夫論」をこのように書いて下さった先生であるからこそ、
と思えます。(浮浪の雲さんには、二度しかお目に掛かれていないのに、大変に
僭越なことで申し訳ありません)
浮浪の雲さんが、ででんでんでんと 花道から軽やかに六方を踏んでまた私たち
の前に現われてくれることをお待ちしています。
お疲れ様でした。 ご冥福をお祈りいたします。
芸能生活50周年記念
舟木一夫特別公演 『浮浪雲』
新歌舞伎座 2012.9.3~22
雲さんにぞっこんの女房・かめサンは 秋吉久美子さん
可愛らしいかめサン・・・雲さんもぞっこん
新歌舞伎座開場60周年記念
舟木一夫特別公演 『浮浪雲 -最強のかめサン-』
新歌舞伎座 2019.11.1~20
最強のかめサン は、水谷八重子さん
やっぱりかめサンは雲さんが大好き
ほのぼの、ご夫婦仲のいい雲さんとかめサンだった
品川宿問屋場の頭ながら、飄々と生きる遊び人の浮浪(はぐれ)の雲さん。
雲さんにぞっこんの妻、かめサン。出来の良い息子・新之助や可愛いお花
ちゃん、ご近所様や夢屋一家で働く、訳ありの人たちもみんなファミリー。
強くてかっこいい浮浪(はぐれ)の雲さんをみんなが頼りにして、大好き、、。
最後の場面で、 息子・新之助が、雲さんに尋ねる。
「 私にして欲しいこととか、こうなってほしいとか、希望はありますか?」
「何にもありません。」
「では、ほかにどんな希望もないのですか?」
「あります。」
「丈夫で暮らして下さい」
我が子には、つつがなく丈夫で暮らすことだけを願う雲さん ・・・ 究極の親の
愛はこれ、・・・本当に忘れられない台詞、場面でしたよ、はぐれ様。
脚本家の先生にお芝居の新作を作って頂いて、これからもまだまだ浮雲(はぐれ)
の雲さんに逢いに行きたいです。