上野の森の二つの真珠~フェルメール~ | 満天の星Lovelyのブログ

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60周年をあれほどに輝かせながら61周年へと繋げていかれた舟木さん、本当にお見事でした!
2023年もこれからもずっと、素晴らしい夢時間を頂けますように・・・。

                 上野の森の二つの真珠  ~フェルメール~
 
 
             17世紀オランダを代表する画家、フェルメールの
           ≪真珠の首飾りの少女≫と≪真珠の耳飾りの少女≫が、今、上野に来ている
           彼女たちの、上野での滞在期間の差は約2週間。
           ほぼ同時に二人の少女に会えるのだ。
           こんなに幸運なことはない、と勇んで上野へ出かけていった。
 
 
 
         国立西洋美術館:ベルリン国立美術館展
                    学べるヨーロッパ美術の400年 2012.6.13~9.17
  
 
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    ヨハネス・フェルメール
    ≪真珠の首飾りの少女≫ 1662~65
   
    日本では初公開ということ。
    少女の手にしている真珠の首飾りの輝きを、どうして
    も確かめたかったので、初日に出かけた。
 
    左の窓から射し込む光を受けて、 
    部屋の中に一人立つ少女
    手紙を読んだり、書いたり、楽器を演奏している女性
    日常の家事をこなす召使い           など、
 
    フェルメールには30数点という少ない作品しかないの
    だが、その少ない作品の中で、
    <左の窓から光が射す室内に立つ女性>
    をテーマにした作品が多く描かれている。そして
    このテーマがフェルメールの特徴だと言われている。
 
                                                   ≪手紙を書く女≫       イメージ 4                            
 
     オランダの天候は、変わりやすく、曇りがちらしい。少女は  
     窓からの陽の光があるうちに、真珠の首飾りを当てている。
     それにしては、窓辺の鏡は小さいようだ。
 
 
     「毛皮に縁取られた黄色いサテンのガウン」を着た女性を
     描いた作品は数点有るが、≪手紙を書く女≫の、机の上
     には、リボンの付いた”真珠の首飾り”が載っていた。
 
 
      15世紀から18世紀にかけて、400年にわたるヨーロッパ美術
              の歴史をたどる美術展だから、ボッティチェッリ、ミケランジェ
              ロ、レンブラントなど巨匠の作品もあった。
      でも、何だか忘れてしまった。
      見てきたかったのは、真珠の首飾りの輝きだったのだから。
 
      当時流行したらしい、ゆったりした衣服。
      首飾りのリボンの長さを調節して、結ぼうとしている少女。
      そのリボンについている真珠の玉はいくつあるか、そればかりを目を凝らして数えていた。
      光があたって輝いているのは10個くらい。大きさは9mmくらいか。
      左耳で揺れている真珠のイヤリングのほうが、光を反射して大きく輝いていた。
 
      首飾りと、耳飾りと、、、同じ画の中にしかも至近距離で描かれているものだから、ついつい
      真珠の大きさと輝きを比べてしまった。
      そんなことはどうでも良い。
      画の中にあふれている柔らかな光を浴びて、画の前で静かな時間を楽しめば良いことだったのだ。
      (それは開館直後の時間なら、出来るかも知れない。)
 
      もっとも、その画の前で静謐な、至福の時間を楽しむことは、現地に行かない限り厳密にはできない
      ことであり、そんな贅沢は言ってはいられない。
      まずは空路はるばるベルリンから運ばれてきた、”首飾りの少女”をねぎらい、盛大な歓迎の気持ち
             を表しておかなければ、という気もあって初日に訪ねたのだ。 
      お陰で、東京であなたにお目に掛かれます!
      開催後、1ヶ月ほどして(7月15日)入場者10万人突破の新聞記事を見たから、≪少女≫にも私達の
      歓迎の気持ちは伝わっているだろう。 
      柔らかな光が溢れ、いつまでも見飽きない、最もフェルメールらしいといわれる作品に出会えた、
      ベルリン国立美術館展であった。
      
   
 
 
               東京都美術館:マウリッツハイス美術館展
                  オランダ・フランドル絵画の至宝 2012.6.30~9.17
 
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          過去何度か来日したことがあるらしい ≪真珠の耳飾りの少女≫
          何といっても、インパクトが凄い!
          振り向いた目の強さと、半開きの赤い唇、少女の頭を覆うターバンの青い輝き。
          何より、自分の目で見て確かめて来たい、という気持ちは抑えられない。
 
          開催から5~6日経った、ウイークディの午後3時過ぎ。
          最も空いているだろうと思われる時間帯だったが、入館まで10分待ち、≪少女≫のいる部屋
          に入ってから、うねうねと曲がりながら進むこと20分~30分。
          やっとお目にかかれたと思ったら、
          ”立ち止まらないで、真っ直ぐお進み下さい”の有難いご案内。
 
          精一杯ゆっくり、それこそ10cm刻みの歩幅で進んでも、数分のうちには押し流されるように
          ≪少女≫から離れてしまう。
          何とも心残りではあるが、みんながこの≪少女≫に会いたがっているのだから、仕方ない。
          
          他の作品もゆっくり鑑賞したし、ショップで絵はがきや小物のグッズも買った。
          午後5時10分、せっかくだから精養軒にでも行って喉を潤そう、と出たところに、係りの方が
          ”もう一度ご覧になりたい方は、こちらからどうぞ”と、案内している。
          「えっ、もう一回≪真珠の耳飾りの少女≫を見てきていいの? 
          都の美術館は、こんなことも出来たのだっけ?」と、 友人と顔を見合わせる。
          もちろん、直通のエレベーターに飛び乗って、≪少女≫のいる部屋に直行した。
 
          閉館時間まで、あと15分~20分くらい。
          ≪少女≫の前には、もう人影はほとんどない。 
          「ラッキー、ラッキー」と言い合って、≪少女≫の前にたち、今度こそじっくりとその目を見る。
 
 
       イメージ 5               ≪真珠の耳飾りの少女≫ (部分)    1665ころ                                       
 
               
              黒の背景から飛び出してくる、二つの瞳の強い光
              射すくめられそうな視線
              修復時に書き加えられたという、唇左の白い点
              真珠の首飾りの放つ、巨大ともいえる輝き
              なめらかで、あくまで白い肌
 
              ガラスで保護されてはいたが、まじまじと近くで≪少女≫の顔を見てきた。
              美しい肌のことを、”陶器のような”と表現することがあるが、まさしく”陶器”のように
              白く透き通った、肌理細やかな肌であった。
              
              ターバンのブルーの陰影は、フェルメールがラピスラズリを惜しげもなく使えた境遇に
              あったからこその、賜物だろう。
              こちらを振り向いた時の、一瞬の射るような眼差しが、時を止めてしまう。
              物言いたげな半開きの唇が、見る者の思考を止め、会ったこともない少女の口から
              出てきそうな言葉を探してしまう。いろいろと。
 
              精養軒では、逆戻りして見てもいい「東京都美術館」のサービス(?)と、
              真近でゆっくり、穴のあくほど見られた≪少女≫の肌の白さと、肌理細かさ、
              瞳の強い光、フェルメールブルーの輝きに、話が尽きなかった。
 
       
    舟木さんの”真珠”はもちろん  
    「その人は昔」 の≪少女≫                   「その人は昔」  1977年6月発売
                                         作詞:松山善三  作曲:船村徹                             イメージ 6                                       
 
    ♪ その人は 昔
       海の底の 真珠だった
 
       その人は昔
        山の谷の白百合だった
 
       その人は昔
        夜空の星の輝きだった
 
                  ~  ~  ~   
 
        その人は昔  僕のすべて
 
           ~  ~  ~
 
        その人は昔  僕のいのち
 
            ~  ~  ~      ♪
 
 
      ここ1、2年、舟木さんのコンサートの構成は <その人は昔のテーマ>が入っていることが多い。
       そして、北海道の雄大な自然が描かれた、映像が素晴らしい映画のテーマ曲として紹介される。
 
      荒い波の音が聴こえ、静かにイントロが始まると、私の頭の中には、渋谷の雑踏ではぐれ、お互
      いを必死に探しまわるシーンが自動的に流れて来る。
      美しい照明で演出された幻想的な空間に、舟木さんの高く張り上げた声が吸い込まれていくと、
      百人浜の波音がいつまでも耳に残り、立ち尽くす舟木さんの後ろ姿のシルエットが、目に焼きつ 
      いて離れない。
 
 
      僕のすべてだったあの人は、海の底でやさしく育まれた真珠。
       海の底で育まれた乳白色の柔らかな光沢の中から、七色の輝きを放つ真珠。
      あの人は真珠。  真珠はあの人。
 
      ところがフェルメールの時代、宝石のモチーフは伝統的に  ” 虚栄 ”  を表すらしい。
      上野にはるばるやって来ている二人の≪少女≫を飾っている真珠の輝きは、
      ” 虚栄 ” を表しているのか?
 
      ≪首飾りの少女≫は鏡に向かって何を思い、≪耳飾りの少女≫は何を言いたくて
      あんなに強い視線を、こちらに向けているのだろう?
 
      ” わからないなら、もっとこっちへおいでよ ” とフェルメールが手招きをするから、上野の森の
      二つの真珠には、ますます人が溢れかえっていく。