まんてん農場の晴耕雨読日記 -2ページ目

続・インテリジェンス農業。



昨年から取り組んでいる、某大学との土壌改良事業があります。
目標はまんてん農場の農法における土壌改良技術の体系化です。
いわゆる、デジタル化。

今まで感覚や勘が頼りだった昔からの農業は、もはやその感覚が退化し始めている現代人には無理なのかもしれません。その退化の代わりに僕たち人類が手に入れたのが「インテリジェンス」です。
情報分析により感覚や勘を数値化(デジタル化)する事。こうする事が、この時代に農業を進化させ継承させる事に繋がります。

全てがデジタル化出来るわけではありませんが、その数値を元に、僕らは風を読み、土の臭いを嗅ぎ、僕らの知らない土の中でとても小さく、とてもエネルギッシュに動いている微生物の動きを想像する…そういう事がこれからの農業には必要なのだ!と思うのです。

…というわけで、昨年から、微生物研究の権威でもある立命館大学の久保教授に、まんてん農場の土壌を分析してもらい、幾つかの仮説を立てて農業のメカニズムに近づく…という事をやってきました。

昨年末のブログ「インテリジェンス農業。」はコチラ

そして、今回は冬の間に土壌分析をした膨大なデータを元に、実際に農場の土を見ながら仮説の検証をする為に、わざわざ滋賀県から久保教授に我らがまんてん農場までお越し頂きました。



教授曰く、土壌の状態は数値に表れている通りの良好な有機土壌で、その成果物として育っているほうれん草の状態は驚く程良い状態との事。

そう言って頂けると非常に嬉しいモノですが、数値化されたデータは何となく無機質で、有機的な栽培をしてきた僕らにとってはもう少しパッションに響く熱い言葉が欲しかったりもします。

数値とは結局の所、有機農業で言う有機物が微生物の働きによって無機化した最小単位の成分のような物で、僕らが欲しいのは、その数字がどんな意味を持って、どんな仕組みで出てくるのか…?です。

農場の実地踏査を終えた後、会議室で待ちに待ったそのパッションに響く作業が始まります。



数値化された、土壌の炭素、窒素、リン酸、カリウムの量、総細菌数、土壌循環値、PH…
あらゆる数値に対して、紐付けをしていきます。

そこで生まれてくる新たな仮説と検証方法。

コレが解決すると、まんてん農場の農法は飛躍的に進化します。
分析結果上では分からなかった成分数値が、片っ端から農法と結びついていきます。
これは思った以上の快感です。

そして、いよいよ昨年末立てた仮説に基づいて土壌改良を施したビニルハウスの収穫。
土壌改良後初の検証結果が出ました。



見て下さい!過去最高の出来です。

でもまだまだです。
土の中の動きを感じる事すら出来ていません。

だからこそ、まだまだ伸びしろがあります。

このデータを引っさげて、僕らが風を読み微生物の動きを感じられるようになったら…そしてそれが更に数値が出来たら…

農業はもっともっと面白くなるはずです。

こうやってまんてん農場は少しずつインテリジェンス集団になっていきます。

これからが楽しみです。

ボスのコリーでした。



2014!

こんにちは!!
キンタです!

そして…あけましておめでとうございます。

1月も終わろうとしているこの時期になって、
ようやく新年の挨拶などをしている不肖ぶりをお許しくださいまし(^^;

さてさて、上記のとおり、今年も早くも一ヶ月が経過するわけですが、
皆様、健やかな日々を送られておりますでしょうか。

僕はといえば、

10日の夜に自転車で転びまして、おでこがパックリンコしました。
そしてその十日後には再び転び、右ひざをズルムチェケラッチョしました。

まあ、これで厄を払えたのならば安い物ですが、
これが今年一年の災厄を表す前兆ではないこと祈るばかりです…。


今年も寒い日が続いていますね。
飛騨では連日、最低気温はマイナス10℃超えを記録しています。

でも、雪の方はといえば、今年は結構少ないのです。

雪が続いた後は時々、ハウスが潰れたりしていないか畑を見に行くのですが、
今年は今のところ全然へっちゃらな感じです。

もう毎年冬の恒例なのですが、
僕としては冬の間は常にハラハラしておりまして、
屋根の上にどっしりと積もった雪を見ては、
「今晩ツブれたらどうしよう…次の雪でツブれたらどうしよう…」
とドンヨリしていたものです。

でもそのかわりに、
「このくらいの雪なら大丈夫」というモノサシもなんとな~く身に付いたので
今年はストレス少なめな快適ウインターを過ごしております。

…もっとも、金属は経年と共に疲労して弱くなっていくので、
まったく安心はできませんけど( ̄ε ̄)


そんな「畑は今~眠りの中~♪」な写真をどうぞ。

あ、このボケ↑は、「はたけ」ではなく、飛騨っぽく「はた」と読んで下さいね。
そうしない字余りになっちゃいますので。


これは今月22日の様子です。
雪は6日間、降りっぱなしのフィーバー状態。
畑はちょっと勾配のある3~400mほどの長い坂の上にある為、ふもとに軽トラを残し、
新田次郎の「八甲田山」さながらのラッセルをして向かったのでした。

長い坂を登りきったところで右に曲がり、今度は少し坂を下ります。
ここまで来ると愛しのハウスくん達が視界に入るわけですが…


…無事だ。

みんな無事だった!!


雪中行軍をした甲斐があったというものです。

その場に除雪道具を放り出し、
(ここは一応、車道ですが、こんな時期に誰も来るわけないし)
雪に足を取られるのも気にせずに、一気に駆け寄り
「太郎!次郎!お前たち無事だったのか!」と涙を流したのでした。


(どっちも高倉健という高度なギャグはいかがだったでしょうか)


今年は3棟だけ屋根を張ったままなのですが、
だーれも来ない山の中で、
ハウスの中からビニール越しに眺める雪もなかなか良いものです。

まあ…帰りは再び徳島大尉にならないといけないんですけど…。


 こちらは一昨日、28日の様子。
どういうわけか今年は1月なのに雨が降る日が続いております。
雪は、晴れよりもむしろ雨で解けるので、八甲田山は一気に一般自動車での通行が可能になりました(笑)


これは何の足跡?

山はやっぱり人よりも動物たちの世界なんだと改めて感じます。



 
最後に動物フォト。
僕らに、畑のための土地を借してくださっている方の牛舎で暮らすモーモーさん達です。




以上、現状報告でした。

そうそう。
よく聞かれるのですが「お前ら、冬の間は何しとるんや?」というご質問。
去年までは少しでも収入源を確保する為にタラの芽の栽培を行っていましたが、
これとは別に、今年は椎茸の選別の作業を行っています。
現段階では栽培までは行っておらず、よそから入ってきたものを出荷できる状態にする作業に従事させていただいております。

この椎茸作業、「いかに効率的に作業を行うか」というとても重要な課題がありまして、
これはほうれん草の作業においても共通項となります。
お金も稼ぎつつ、本業に向けての鍛錬にもなる、という一石二鳥なお仕事。
紹介をして頂いた企業様には本当に感謝です。

2月末まで続く椎茸の選別作業。
こちらの様子はまた改めてアップしようと思います。
お楽しみに!


そして3月からはいよいよほうれん草も本格始動!
今年はスタートを早めていきたいので、たとえ3月上旬の時点でまだ雪が多くても、
その雪を掘ってでも屋根を張ります!

去年よりスタートした大学の研究機関様による綿密な土壌分析で、僕たちの畑に足りているものとそうでないものを洗い出し、そこに人間が画策して改善できる部分をどんどん提案していただき、それらを遂行していきます。
また冬場の仕事が出来たことによる通年の人員確保が可能になったことも大きな要素でして、
パートさんの雇用がしやすくなりました。
前者による安定的な生産と、後者による取りこぼしのない最大限の出荷。
このふたつこそが企業として最大の理想であり、
そこに近づくことが最大の目標です。


もはや前進あるのみの「まんてん農場」にどうぞご期待下さい!!


うーむ…キマッたぜ…

仕事納め

こんにちは。

ドカ雪の飛騨より今年最後のブログをお送りします!


今年もあっという間に年末。
僕らの農場も今日で仕事納めです。



*********


前回のブログの後、土壌改良の為にぼくらとしては前代未聞の量の肥料をまきました。





その量、1200kg!
これは、これまでの経験から「これくらいかな~?」という当てずっぽうの量ではありませんよ。
きちんと研究機関での診断結果に基づき、ほうれん草栽培を行っていく上で適正であると判断された施肥量なのです。
いやはや、来年の栽培がとても楽しみ♪



この日が今年最後のトラクターがけでした。
今年も一年、ごくろうさま。
すでに結構なじーちゃんトラクターですが、来年も頑張っておくれよ!


そしてその数日後、別のハウスに同じようにドカっと肥料投入。

コチラのハウスは屋根を張ったまま冬を過ごします。
今回は、雪ざらしのハウスと屋根付きハウスとで同量の施肥を行い、その結果の数値的な差異を検証する目的もあります。




せっせと肥料を運んでいたら、空からはでっかい雪が…。
あっという間に屋根は白く染まり、やがて雪の厚みが増してくると、屋根から入る光をさえぎり暗くなっていきました。


雨と違い、雪が積もるとあたりの景色が一変するので、
なんだか半月ほど前の画像がとても昔のように見えます。


そして今朝の我が家から見えた景色は…



こんなに積もってしまいました!


**********


さて、今年の農場ブログも今日でおしまいです。

来年はまた新たな試みをどんどん行い、とどまることなく前に進んでいきたいと思います。


毎回思うことではありますが、僕らはまだまだ半人前の、駆け出しもいいところです。

それは農家としても、ひとつの企業に勤める社会人としても、
また、作った作物をお客様のところまで届ける商売人としても、
とにかくまだまだ色々なことが合格点に達していません。

そういった意味では、この一年は農法の新しい試みが比較的上手くいったことと、
どうしても足りなかった手数がパートさんの採用により改善されたこと、

また販売していただいてる店舗様・レストラン様からの声や、
それを直接口にして頂いた方の好評を耳にすることが出来て、
それが本当に嬉しい気持ちになれたこと等々…、

足りていなかったパーツがどんなものなのかを再確認し、
さらに、それらのパーツを少しだけ回収できたような気がしています。

これからも、関わって下さったすべての方への感謝と、
農業を行っていく上での土への敬意、
労力を惜しむことなく取り組む決意、
そういったものを忘れず、また来年も少しずつ前に進みたいと思います。


それでは2014年もまんてん農場をよろしくお願い申し上げます!

皆様におかれましてはどうぞ良いお年をお迎えください!