四月初旬のある朝の事。
大きな幹線道路を車で走っていて交差点で停車していると、道路沿いにある眼鏡店の大きな看板の下、ちょうど支柱を囲むようにして二重三重の人垣が出来ていた。
何事かと眺めていると、人垣の隙間から見えたのは支柱の根元辺りに沢山の花束が供えられている光景であった。
どうやらごく最近、この場所で彼らは大切な仲間を喪ってしまったようだった。
夜になって再びこの場所を通り過ぎても何人かの若者が事故現場で手を合わせていた。
彼らの立つすぐ横には警察が設置した看板が立てかけられていた。
前日の未明に、この場所で大型トレーラーとオートバイによる衝突事故が起きたようで、目撃者がいたら最寄りの警察署へ連絡して欲しいというものであった。
あれからほぼ毎日この場所を通り過ぎた。
供えられた花束が少しずつ枯れ始めたように感じると、その次の日にはまた新しい花束に取り替えられて、他にジュースのペットボトルなども置かれていた。
亡くなった少年がどの様な少年だか知らないし、どのような状況で事故が起きたか分からないけれど、若い生命が失われるほど悲しい事はない。
ただ仲間たちだけは、彼の事をいつまでも思い労わるように現場を訪れ、また定期的に欠く事なく、そこに花束を供え続けているのである。
少年たちが暴走族である事は知っているけれど、その律儀な態度や友人の事をいつまでも大切にする思いというのは間違いなく美しく、見る者の心を打つのであった。
遺されたものにとっても厳しい試練が続くだろうけれど、彼の分も強く逞しく生き抜いて欲しいものだ。
