間もなくお歳暮の季節を迎えるが、昔一度だけカニの缶詰の詰め合わせをお歳暮に頂いたことがある。


ものものしい金色の缶詰の蓋を開けると、これまたご丁寧に包装紙で包まれており、それを開いて初めてカニの身が姿を現わしたときは、何だか馬鹿丁寧な感じがして違和感を覚えたものである。


しかし、その後よくよく調べてみると、あの包装紙は単に高級感を演出する為のものではないらしい事がわかったのである。


この包装紙は、「酸性パーチ」または「硫酸紙」と呼ばれ、カニ等の甲殻類に含まれる硫黄成分と、缶の鉄や錫が化学反応して硫化鉄や硫化錫となり、カニ肉を黒変させてしまうのを防ぐ役割を果たしているのだという。尚、酸性パーチは他にもカニ肉の身崩れを防ぐ役割もあるらしい。


それから、缶詰の中で起きやすい化学現象に「ストラバイト現象」というものがある。

これは、カニやエビ、サケ肉に含まれる成分と、缶の錫や鉄が化学反応を起こして「燐酸アンモニウムマグネシウム」というガラス状の結晶を発生させる現象である。


この結晶は誤って食べてしまっても有害ではなく、胃酸に溶けるので特に問題はないが、この化学反応により、カニ肉が変色したり、食味を落としてしまう等、商品価値を著しく下げることもある。

加えて、缶詰に「ガラス片」が混入していると消費者に誤認を与え、クレームを生む原因にもなってしまうのだ。


この「ストラバイト現象」は、酸性パーチを敷いても発生を防ぐことができないので、缶詰製造業者にとってはいまだに頭をかかえる問題なのだという。


いずれにしても、消費者の我々としては、カニ缶の中にごく稀に「ガラス片のようなもの」が混入する虞があることぐらいは事前に予備知識として持っていた方がいいのかもしれない。



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