小さな人生論/藤尾秀昭 24069 | 年間365冊×今年20年目 合氣道場主 兼 投資会社・コンサル会社 オーナー社長 兼 グロービス経営大学院准教授による読書日記

小さな人生論/藤尾秀昭 24069

 

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先日のグロービスマネジメントスクールでの懇親会にて、

「毎日一日一冊読書されている小野先生にとって

 一番のお勧めの本は何ですか?」との質問を頂戴した。

その際、言葉に窮したが、今思えばこの本を挙げればよかったと。

まだまだ修行が足りぬ。

 

その「小さな人生論」、十八回目だが

丸二年間もご無沙汰してしまったようだ。

 

 一隅を照らす

 「古人言く、径寸十枚、これ国宝に非ず。
  一隅を照す、これ則ち国宝なり、と」

 伝教大師最澄『天台法華宗年分学生式』の
 冒頭に出てくる言葉である。
 これは最澄の師、唐の湛然の著
 『止観輔行伝弘決』にある次の話を踏まえている。

 むかし、魏王が言った。
 「私の国には直径一寸の玉が十枚あって、
  車の前後を照らす。これが国の宝だ」。

 すると、斉王が答えた。
 「私の国にはそんな玉はない。
  だが、それぞれの一隅をしっかり守っている人材がいる。
  それぞれが自分の守る一隅を照らせば、
  車の前後どころか、千里を照らす。これこそ国の宝だ」と。

 この話にこもる真実に深く感応したのが、
 安岡正篤師である。
 爾来、安岡師は「一燈照隅」を己の行とし、
 この一事を呼びかけ続けた。

 「賢は賢なりに、愚は愚なりに、
  一つことを何十年と継続していけば、
  必ずものになるものだ。
  別に偉い人になる必要はないではないか。
  社会のどこにあっても、
  その立場立場においてなくてはならぬ人になる。
  その仕事を通じて世のため人のために貢献する。
  そういう生き方を考えなければならない」

 その立場立場においてなくてはならぬ人になる、
 一隅を照らすとはそのことだ、という安岡師の言葉には、
 私たちの心を奮起させるものがある。

 国も社会も会社も自分の外側にあるもの、
 向こう側にあるもの、と人はともすれば考えがちである。
 だが、そうではない。
 そこに所属する一人ひとりの意識が国の品格を決め、
 社会の雰囲氣を決め、社風を決定する。
 一人ひとりが国であり社会であり会社なのである。

 世界が激しく揺れ動いているいまこそ、
 一人ひとりに一隅を照らす生き方が
 求められているのではないだろうか。

 

我が道場の名前、太陽光発電所保有会社の名前は

ここに由来する。

 

安岡正篤先生の言葉、

改めて噛み締めたい。

 

小さな人生論/藤尾秀昭 21360

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小さな人生論 (小さな人生論シリーズ)/藤尾秀昭 19254