人徳の研究―「水五則」に学ぶ人間の在り方/松原泰道 16081 | 年間365冊×今年20年目 合氣道場主 兼 投資会社・コンサル会社 オーナー社長 兼 グロービス経営大学院准教授による読書日記

人徳の研究―「水五則」に学ぶ人間の在り方/松原泰道 16081

人徳の研究―「水五則」に学ぶ人間の在り方/松原泰道
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★★★★☆

三回目以上だが、
軍師黒田官兵衛を見終わった(・・・だいぶ前だけど)後に
初めて読む。

「岡田如水」はもうちょっとドロドロし、
人間臭い男だったが、
そういえば、「水五訓」は黒田官兵衛如水発祥説、
というのもあったっけ。

前回同様、印象に残ったのは広田弘毅。
そういえば、孫会社に出向して心身ともに辛い時だったはず。

 「水は、方円に従う」と学びました。

 自分の置かれた容器が

 たとえ小さくて不満な形であっても、

 その容器を充実して、すなわち、

 職場に欠かせない人間になろうと努力するなら

 「流れに随って、流れに任せない」

 つまり流れを超え、流れをリードする

 大きな人物に成長するのです。


 第二次世界大戦後、

 A級犯罪人に問われて刑死した広田弘毅は、

 日本のすぐれた外交官であり、

 政治家でした。


 総理大臣にもなった大人物ですが、

 彼は若い頃、外務省の人事異動で、

 大使からオランダの公使に

 落とされたことがあります。


 友人たちは、彼の悲運を慰めますが

 彼は辞令を受け取って少しも動揺しません。

 むしろ、友人を慰めるかのように、

 一首の俳句を作って示します。


 風ぐるま風が吹くまで昼寝かな


 風車は風力で回るもので、

 風車にエンジンはありません。

 どのように精巧な風車であっても、

 風がない限り、自分で回ることはできないのです。

 

 広田弘毅は、それを、

 「風が吹くまで昼寝かな」

 と吟じるのです。


 あせったり、悔やんだりのやきもきする

 氣持ちが、左遷という悲運で濾過されるのです。

 風車は、広田の新しい赴任地オランダの名物です。


 彼は、巧みに名物の風車をあしらって

 「待つことのできる」

 人間に自分を成長させるのです。

 彼は無情の風車の説法を聞き得たと

 言えるでしょう。


そうか。
前回本を読んだのはあの時か。
確かにこの本に「待つ」を教えてもらった。
やはり本のお蔭で豊かに生きている。生かされている。


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