●個人売主の中古住宅につけられる「かし保険」 | マンションってたのしいなぁ

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元不動産会社社員・ホームインスペクター・自宅マンション理事・主婦・母・・・それぞれの立場で思った不動産・マンションのことをいろいろと。

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先ほど広報室と『個人が売主の中古住宅』で加入できる瑕疵保証(瑕疵保険)についてプチ勉強会。その勢いで、私が考える瑕疵保険の注目ポイントを書いてみます。


中古住宅を買おうか迷っている人は、検討段階で瑕疵保証の話を耳にするかもしれませんが、まだまだ情報が少なくどういった検査会社を選ぶべきかわからないことも多いと思います。
なお、瑕疵保険とはなんぞや?を説明すると長くなるので、そこはこちらをご覧ください。
『さくら事務所の中古一戸建て瑕疵保証“まんがいち2”』




ちょっと難しい話になりますが、瑕疵保険は、保証する検査会社が倒産した場合でも、最終的に保険会社がお金を払ってくれるという安心感ばかりが印象に残りがちですが、実際は保証する検査会社が倒産しない限り、その会社が雨漏りなどを補修する500万円や1000万円を顧客に支払う義務を負います。


顧客に補修費用を支払ったあとに保険会社が検査会社にその費用を支払ってくれますが、一時的には最大1000万円までの支払い義務を負うわけです。もし500万や1000万を支払う資力がない会社だと、倒産しない限り保険会社が直接顧客には支払えませんから、会社や代表者が借入して支払うのか、または債務超過となるのか・・・


結局倒産すれば顧客は保険会社に直接請求できるようになりますので、やはり顧客が補てんしてもらえるべきお金を損することはありません。ですが、資力があまりに足りないと、最終的に顧客が補修金額を支払ってもらうのに一体どのくらいの時間がかかり、どんな手間が発生するのか想像もつきません。


保証期間中に保証対象住宅が不具合を発生しない可能性もありますから、そこに賭ける検査会社も出てくるかもしれませんが、保証期間内に万が一500万円や1000万円クラスの雨漏りや傾きが発生する家が1件でも出ればその賭けには負けてしまうわけで、そのリスクは全く読めません。だって、瑕疵保険に入るための検査は非破壊で壁の内部などをくまなく調べているわけではありませんから。




そういったことを考えると、私個人としては、個人間売買の瑕疵保証を行う検査会社は『500万または1000万円を一時的に支払える資力があること』が望ましいと思いますし、また、顧客からいただく保証料についても『保証リスクを考慮した適正な料金になっていること』が望ましいと思っています。


瑕疵保険に加入する我々検査会社は、保険会社に「瑕疵保険に入る料金」を支払っています。当社のご依頼者に、当社が保険会社に支払う保険料だけを料金としてご請求すれば『さくら事務所は安価でかし保険入れてお得でっせ!!!』と、客寄せパンダにはしやすいです。


ですが実際は、万が一の事故発生時に手続きを対応できる人材を確保できるようにし、複数の案件で事故が発生してもお支払が滞ることがないようにするための資力準備も必要ですから、原価そのまま(=赤字)で保証料を設定するわけにはいきません。仕入れた商品を原価のまま設けゼロで出し続けた場合、一時的には依頼殺到?で売上が多くなったとしても、結局利益ゼロなので継続不可能になるという話です。




保証料金は、検査会社各社が自由に設定できるようになっていますから、価格競争は起こってしかるべきです。ですが、保証すべきことを、適切に保証できる料金であることが顧客を守ることにつながる商品ですから(恐ろしく潤沢な資金がある場合を除き)、「瑕疵保険に入れる」ならどれも一緒!だとは思わず、継続可能な事業形態を目指している会社かどうかを確認することをお勧めします。