マルチ商法と看護師【中編】

さて、ママ友Aさんに紹介したい元看護師さんがいると言われ、怪しみながらの当日。
お菓子屋さんで焼き菓子を購入して、Aさん宅に出発です。
車で30分ほどで到着。
大きなお家の離れに案内されます。

Aさん母も一緒に迎えてくださって、子ども達と遊んでくれます。
Aさん母が元栄養士さんで、今までもお昼は一緒に軽食を作って、子ども達とワイワイしながら食べていました。
その日も午前中は子ども達と遊んで、昼前に料理を準備します。

そこに元看護師が登場。

せめてこの元看護師が子連れだったなら、この段階でそこまでの違和感はなかった。
同じ保育園のママ同士のランチに30代の女性が一人で来るって、明らかにおかしい
とりあえず自己紹介をしつつ、ダイニングで座りながらみんなで軽食を食べます。

元看護師さんはとある大病院のナースを、妊娠を機に退職。
またいずれ復職したいとのことでした。

…知らんがな

正直、今日会ったばかりの赤の他人の情報なんてどうでもいい。

興味がない。

なのに元看護師はずーっと一人で喋っている。

学生時代の苦労話を延々と。

参考になる話ならまだしも、どれだけ大変だったかを語っている。

……知らんがな

にこやかに会話しようと試みたけれど、思い切り警戒モードで笑顔が引き攣る。

食後、子ども達はおもちゃで遊び出したので、大人はティータイム。
そこで元看護師からひとこと。

「持病があるらしいね」

そう、私には離婚後に発症した病気があります。

Aさんには話したことがあります。

でも何故元看護師にその病名が筒抜けに

会ったこともない他人に、何でAさんは病気の話をしたの？
更に引き攣った笑顔になる私に怒涛の営業トークが炸裂。

きたきたきたきたっ

食材や調味料、水やサプリメント。

病気や子どもの話を絡ませながら、営業を続ける元看護師。

顔をあからさまに逸らして「はあ」とか「あぁ」とか適当に返事をしながら、どうやって逃れるか考えます。

20代の頃、友人から同じように人を紹介された時。
友人と紹介された人を相手に、説教をしたこともありました。
でもその場では何の効果もなかった。
（数年後、洗脳がとけて謝罪にきました）

今はそんな意欲も体力も時間もない。

Aさんもママ友だし、友人というには関係性が浅い。
子どもを通して今後付き合いがあるならともかく、離れた場所に住んでいるので中学生くらいまでは関わることなく過ごせるだろう。

脳みそフル回転です。